ヨガと食事の関係:心身の調和を育む食養生 – 古代の叡智と現代の視点から

ヨガを学ぶ

ヨガの探求は、単なる身体の柔軟性や筋力向上に留まらず、心身全体の調和、そして魂の解放を目指す旅路です。その旅路において、食事は単なる栄養補給以上の、深い意味を持つ要素として位置づけられます。本稿では、ヨガと食事の関係について、古代の叡智から現代的な視点までを交え考察していきます。

 

ヨガ哲学における食事の位置づけ:心身を浄化する糧

ヨガの古典文献は、食事を単なる肉体的な欲求を満たす行為とは捉えません。むしろ、食事は私たちの心身の状態、そしてエネルギーの質に直接影響を与える、極めて重要な要素であると説きます。ヨガの最終目標である「サマーディ(悟り)」に至るためには、心身を浄化し、エネルギーを最適化することが不可欠であり、そのためには適切な食事が不可欠なのです。

その核心となるのが、ヨガ哲学における「グナ(性質)」の概念です。すべての物質は、「サットヴァ(純質)」、「ラジャス(激質)」、「タマス(鈍質)」という3つのグナから構成されると考えられ、食事もまた、この影響を受けます。サットヴァな食事は、心身を浄化し、平穏、明晰さ、幸福感をもたらすとされます。具体的には、新鮮な野菜、果物、穀物、豆類などがこれに該当します。一方、ラジャスな食事は、刺激的で、情熱や興奮を高めます。辛いもの、塩辛いもの、酸っぱいもの、カフェインなどが該当します。そして、タマスな食事は、消化に負担がかかり、心身を鈍らせるとされます。肉類、加工食品、油っこいものなどがこれに該当します。ヨガの実践者は、サットヴァな食事を心がけ、心身の調和を促すことを目指します。

また、ヨガの根幹をなす倫理観である「アヒムサー(非暴力)」も、食事と密接な関わりを持ちます。アヒムサーは、他者への暴力だけでなく、自己への暴力も禁じます。不健康な食事は、自己への暴力であり、心身を傷つける行為と捉えられます。この考え方は、しばしば菜食主義を推奨する根拠となります。動物を殺傷する肉食を避け、植物性の食品を摂取することが、より倫理的な選択であると考えるのです。現代的な解釈としては、必ずしも厳格な菜食主義にこだわる必要はないと考えられます。重要なのは、自分の身体と心の声に耳を傾け、不必要な殺生を避けるという意識を持つことでしょう。自分の食の選択が、環境や社会に与える影響を考慮し、より持続可能で倫理的な食生活を心がけることが大切です。

さらに、古代インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、「消化力(アグニ)」が心身の健康を左右する重要な要素と捉えられています。消化力が弱いと、食べたものが十分に消化されず、体内に毒素(アーマ)が溜まり、心身の不調を引き起こすと考えられています。そのため、食材の組み合わせ、調理法、食べるタイミング、量などを考慮し、消化に負担をかけないようにすることが推奨されます。規則正しい生活、適度な運動、ストレスを溜めないことなども、消化力を高めるために重要です。

 

ヨガ的食事法の基本原則:何を、いつ、どのように食べるか

ヨガ的な食事法は、単に「何を食べるか」という食材の選択に留まらず、「いつ、どのように食べるか」という、より包括的な視点を持ちます。

まず「何を食べるか」については、前述のグナの概念に従い、サットヴァな食材を中心に選ぶことが基本となります。新鮮な野菜や果物は、ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含み、心身を浄化します。穀物は、玄米や全粒粉などの精製されていないものを選び、エネルギー源とします。豆類は、良質なタンパク質を豊富に含み、筋肉や細胞の修復を助けます。

ナッツや種子は、良質な脂質、ビタミン、ミネラルを豊富に含み、少量で栄養を補給できます。ハーブやスパイスは、消化を助け、食事の風味を豊かにします。一方で、肉類、加工食品、添加物が多く含まれる食品、古いもの、油っこいものなどは、できる限り避けるべきでしょう。食材を選ぶ際には、できる限りオーガニックで、旬のもの、地元のものを選ぶように心がけ、地球環境にも配慮することが大切です。また、アーユルヴェーダの体質論(ドーシャ)を参考に、自分の体質に合った食材を選ぶことも、心身の調和に繋がります。

「いつ食べるか」も重要な要素です。規則正しい食事時間を守ることは、体内時計を整え、消化機能を高める上で不可欠です。朝食は、一日のエネルギー源となるため、消化に良いものをしっかり摂るようにしましょう。昼食は、活動量が多い時間帯であるため、ある程度の量を摂っても消化しやすい時間帯です。14時前後が特に消化力の高い時間帯となります。夕食は、就寝前に消化に負担をかけないよう、軽めの食事を摂ることが推奨されます。食事と食事の間隔は、3時間以上空けることで、消化を促進し、内臓を休ませることができます。身体の自然なサインである空腹感を大切にし、本当に必要なときに食べるように心がけましょう。

そして、「どのように食べるか」という点も忘れてはなりません。静かで落ち着いた環境で、食事に集中し、背筋を伸ばしてリラックスした状態で食べることが望ましいです。よく噛んで食べることは、消化酵素の分泌を促し、消化を助けます。ゆっくりと食べることで、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができます。食事への感謝の気持ちを忘れずに、食材、生産者、調理者への感謝を込めて、食事をいただきましょう。また、怒りや悲しみなどの感情が強い時は、無理に食事を摂らず、心の状態が落ち着いてから食事をするように心がけましょう。食事は単なる栄養補給ではなく、五感を研ぎ澄ませ、食事のプロセスを楽しむ、一種の瞑想のようなものと捉えることもできます。

 

現代社会における課題とヨガ的食事の実践:古代の叡智を現代に活かす

現代社会では、多忙な生活や情報過多な環境により、ヨガの教えを実践することが難しい側面も存在します。忙しい現代人は、食事時間が不規則になりがちで、外食や加工食品に頼る傾向があります。栄養バランスも偏りがちで、早食いをしてしまうことも少なくありません。また、糖質制限やファスティングなど、様々な食事法に関する情報が溢れており、どの情報が正しいのか分からず、情報に振り回されてしまうこともあるでしょう。ストレスが原因で、過食に走ったり、食欲不振に陥ったりすることもあります。

このような状況の中で、ヨガ的な食事を実践していくためには、まず、自分の食生活を客観的に見つめ直すことが大切です。そして、完璧を求めすぎず、できることから少しずつ取り組んでいくことが重要です。食事計画を立てたり、作り置きのおかずを用意したり、できる限りお弁当を持参するなど、工夫を凝らすことで、忙しい日々の中でもバランスの取れた食事を摂ることができます。情報に振り回されるのではなく、自分の身体と相談し、自分に合った食事法を見つけるようにしましょう。

過度な食事制限は避け、栄養士や医師などの専門家にも相談しながら、正しい知識を身につけていくことが大切です。また、ストレスマネジメントも重要です。ヨガ、瞑想、運動など、自分に合ったストレス解消法を見つけ、心の状態を観察しながら、食事と心の関係を理解していくことが、より健康な食生活への第一歩となるでしょう。

ヨガ的な食事は、決して特別なものではなく、日常生活の中で、誰もが実践できるものです。まずは、週に一度は菜食にしてみる、おやつをヘルシーなものに置き換えてみる、水をたくさん飲む、食事をゆっくりと味わうなど、小さなことから始めてみましょう。そして、食事が身体や心に与える影響を観察しながら、自分に合った方法を見つけていきましょう。

 

結論:食事を通して、心身の調和を深める旅

ヨガと食事は、心身の調和を追求する上で、切っても切り離せない関係にあります。ヨガの教えを食生活に取り入れることは、単に健康を維持するだけでなく、自己の内面を見つめ、より豊かで充実した人生を送るための、重要なステップとなります。

食事は、単なる栄養補給ではなく、自己との対話であり、自然への感謝であり、生き方そのものです。食材への感謝、調理への丁寧さ、そしてゆっくりと味わうこと。これら一つ一つの行為が、心身の調和を育み、真のヨガを体現することへと繋がります。

この記事では非常に基本的なことを記載しておりますが、あなたの食生活を見つめ直し、より健康で、心豊かな人生を歩むための一助となれば幸いです。食事を通して、ヨガの道をより深く探求する旅を、共に歩みましょう。

 

 

ヨガの基本情報まとめの目次は以下よりご覧いただけます。

 

 


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。