ヨガと食の関係 – プラーナを満たす、心と身体に優しいベジタリアン・ヴィーガン

YOGA&BODY-ヨガと身体

ヨガと食は密接に関連しています。ヨガの実践は、心身両面の調和を目指しますが、その調和は適切な食事によって大きく左右されます。特に、ベジタリアンやヴィーガン食は、ヨガの哲学と実践に沿った食生活として注目されており、近年、その実践者も増加しています。

本稿では、ヨガと食の関係性、ベジタリアン・ヴィーガン食のメリット・デメリット、そしてヨガの実践者にとって理想的な食生活について考察します。

 

ヨガにおける食の重要性:プラーナの供給と心身の調和

ヨガの根本概念の一つに「プラーナ」があります。プラーナとは、生命エネルギー、あるいは宇宙のエネルギーと訳され、人間の生命活動の源泉とされています。

ヨガのアーサナ(ポーズ)、プラーナヤマ(呼吸法)、瞑想(ディヤーナ)といった実践は、このプラーナの流れを調整し、心身のバランスを整えることを目指します。

適切な食事は、プラーナを補給し、維持するために不可欠です。栄養価の高い食事を摂ることで、身体機能が向上し、ヨガの実践効果も高まります。逆に、不適切な食事は、プラーナの流れを阻害し、心身の不調を招く可能性があります。

 

ヨガとベジタリアン・ヴィーガン食:倫理的側面と実践

ヨガの哲学は、非暴力(アヒムサー)を重視しています。この考え方は、生きとし生けるものへの慈悲を意味し、食生活にも反映されます。

多くのヨガ実践者は、アヒムサーの精神に基づき、ベジタリアンやヴィーガン食を選択しています。

もちろん、社会や文化の関係でベジタリアンやヴィーガン食を選択していないヨガ実践者も多く、だからといって批判されるようなことではありません。

  • ベジタリアン: 肉類を摂取しない食事。卵や乳製品の摂取については、流派によって異なります。

  • ヴィーガン: 肉類、魚介類、卵、乳製品、蜂蜜などを一切摂取しない食事。動物性食品を一切使用しない生活を心がけることが多いです。

ベジタリアンやヴィーガン食は、動物性食品を摂取しないことで、動物の生命を奪うことを避け、倫理的な食生活を送ることを目指しています。また、環境問題への意識の高まりからも、ベジタリアン・ヴィーガン食への関心は高まっています。

 

ベジタリアン・ヴィーガン食のメリットとデメリット

ベジタリアン・ヴィーガン食には、多くのメリットとデメリットがあります。

 

メリット:

  • 健康増進: 野菜、果物、豆類、穀物などを中心とした食事は、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、生活習慣病の予防に効果的です。コレステロール値や血圧の低下、体重管理にも役立ちます。

  • 環境保全: 動物性食品の生産は、環境負荷が大きいため、ベジタリアン・ヴィーガン食は、環境保全に貢献します。

  • 倫理的な食生活: 動物の生命を尊重した倫理的な食生活を送ることができます。

  • 消化器官への負担軽減: 動物性食品に比べて、植物性食品は消化器官への負担が少ないとされています。

 

デメリット:

  • 栄養不足のリスク: ビタミンB12、鉄分、カルシウム、オメガ3脂肪酸など、動物性食品に多く含まれる栄養素が不足する可能性があります。サプリメントの摂取や、栄養価の高い食品の組み合わせを工夫する必要があります。

  • 食事制限によるストレス: 外食や旅行など、食事制限が難しい状況に遭遇した場合、ストレスを感じることがあります。

  • 費用: オーガニック食品や特殊な食材を使用する場合は、費用が高くなる可能性があります。

  • 社会的制約: ベジタリアン・ヴィーガン食が普及していない地域では、食事の選択肢が限られることがあります。人間関係が崩れてしまう危険性もあります。

 

ヨガの実践者にとって理想的な食生活:プラーナを満たす食事のポイント

ヨガの実践者は、プラーナを満たし、心身の調和を保つために、以下のような点を意識した食事を心がけることが重要です。

  • 新鮮な食材を使用する: 旬の野菜や果物など、新鮮な食材を積極的に摂取することで、栄養価の高い食事を摂ることができます。

  • バランスの良い食事を心がける: 炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂取することが大切です。ベジタリアン・ヴィーガン食では、栄養素の不足に注意し、サプリメントの摂取や、工夫を凝らした献立が必要となる場合があります。

  • 消化の良い食事を心がける: ヨガの実践前後には、消化の良い食事を摂ることが重要です。消化不良は、身体に負担をかけ、プラーナの流れを阻害する可能性があります。

  • 彩り豊かな食事を心がける: 様々な色の野菜や果物を摂取することで、バランスの良い栄養摂取を実現し、視覚的な満足感も得られます。

  • 食事のマインドフルネス: 食事の際にも、マインドフルネスを意識することで、感謝の気持ちを持ちながら食事をすることができます。

 

ベジタリアン・ヴィーガン食の栄養管理:不足しがちな栄養素への対策

ベジタリアン・ヴィーガン食では、以下の栄養素が不足しやすいので、注意が必要です。

  • ビタミンB12: 動物性食品にしか含まれていないため、サプリメントの摂取が必須です。

  • 鉄分: 植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、吸収率が低いので、ビタミンCを一緒に摂取することで吸収率を高める工夫が必要です。ひじきやレバーなど、鉄分が豊富な食材を積極的に摂取することも重要です。

  • カルシウム: 乳製品を摂取しないヴィーガンでは、緑黄色野菜、豆類、豆腐などを積極的に摂取する必要があります。

  • オメガ3脂肪酸: 亜麻仁油やチアシードなどの植物性オメガ3脂肪酸を摂取する必要があります。

これらの栄養素の不足は、貧血、疲労感、骨粗鬆症などの健康問題を引き起こす可能性があります。栄養士や医師に相談しながら、適切な栄養管理を行うことが大切です。

 

ヨガと食の未来:サステナブルな食生活への貢献

ヨガと食の関係性は、個人の健康増進にとどまらず、地球規模の課題であるサステナビリティ(持続可能性)にも深く関わっています。

現代社会における食糧生産システムは、環境への負荷が非常に高く、気候変動、資源枯渇、生物多様性の喪失といった深刻な問題を引き起こしています。特に、畜産業は温室効果ガスの排出量が多く、森林破壊や水資源の消費にも大きく関与しています。

ヨガの哲学は、自然との調和を重視し、アヒムサー(非暴力)の精神を基盤としています。この哲学は、食生活においても、動物の生命を尊重し、環境への負荷を最小限にすることを促します。ベジタリアンやヴィーガン食は、その実践的な側面として注目されており、食生活におけるサステナビリティを高める一つの方法と言えるでしょう。

 

具体的な貢献としては以下の点が挙げられます。

  • 温室効果ガス排出量の削減: 畜産業は、温室効果ガスの主要な排出源です。ベジタリアン・ヴィーガン食は、畜産による温室効果ガス排出量を削減することに貢献します。
  • 土地利用効率の向上: 植物性食品の生産に必要な土地は、動物性食品の生産に必要な土地よりもはるかに少ないです。ベジタリアン・ヴィーガン食は、土地利用効率を向上させ、森林破壊を防ぐことに貢献します。
  • 水資源の節約: 動物性食品の生産には、大量の水資源が必要とされます。ベジタリアン・ヴィーガン食は、水資源の節約に貢献します。
  • 生物多様性の保全: 畜産業は、生物多様性の喪失に大きく関与しています。ベジタリアン・ヴィーガン食は、生物多様性の保全に貢献します。

 

しかし、ベジタリアン・ヴィーガン食が完全に環境負荷ゼロというわけではありません。例えば、大量生産された植物性食品の輸送や加工過程においても、エネルギー消費や廃棄物問題が発生します。

真のサステナブルな食生活を実現するためには、地産地消を心がけ、オーガニック農法など環境負荷の低い生産方法を選んで食品を消費することが重要です。また、食品ロスを減らす努力も不可欠です。

 

結論:心と身体を満たす食生活

ヨガの実践者にとって、適切な食事は、プラーナを満たし、心身の調和を保つために不可欠です。ベジタリアン・ヴィーガン食は、ヨガの哲学に沿った倫理的な食生活として注目されており、また、地球環境の持続可能性にも貢献する、サステナブルな選択肢と言えるでしょう。しかし、栄養バランスに配慮し、適切な栄養管理を行う必要があります。

新鮮な、できれば地元で生産された食材を選び(地産地消)、バランスの良い食事を心がけ、マインドフルネスを意識しながら食事をすることで、私たちはより健康で、より充実したヨガライフを送ることができるでしょう。そして、その食生活は、環境保全や動物福祉といった社会貢献にも繋がる、より良い未来への一歩となるはずです。

単に「健康」という個人の目標にとどまらず、ヨガの実践を通して、私たちは「サステナブルな生き方」という、より大きな視点を持つことができます。 それは、自分自身、そして地球全体の健康と調和を目指す、より深いレベルでの自己実現へと繋がるでしょう。 ヨガの教えを食生活に反映することで、私たちは、心と身体、そして地球を満たす、真に充実したライフスタイルを築き上げることができるのです。

 

 

ヨガの基本情報まとめの目次は以下よりご覧いただけます。

 

 


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。