八支則 – ステップを踏みしめるように、ヨーガの深みへ

ヨガ外論・歴史

ヨーガスートラは、古代インドの哲学者パタンジャリによって編纂されたヨガ哲学の古典的なテキストです。 その体系の中核をなすのが「ヨガの八支則」です。 単なるポーズ(アーサナ)や呼吸法(プラナヤマ)にとどまらない、ヨーガの全貌を理解するには、この八支則を理解することが不可欠です。 本稿では、ヨーガスートラの八支則を詳細に解説し、各段階の意義、実践方法、そして現代社会における意義を考察します。

 

ヨーガスートラと八支則:ヨガの包括的な体系

ヨーガスートラは、約195の短いスートラ(格言)から成り、ヨガの実践方法、心の状態、解脱への道などを体系的に説明しています。 その中で、特に重要なのが、サダーナ・パーダ(Sadhana Pada、修行の章)に記述されている「ヨガの八支則」です。 八支則は、ヨガの修行を8つの段階に分類したものであり、段階的にステップを踏んでいくことで、心の状態を制御し、解脱(カイヴァリヤ)に至るとされています。 八支則は、単なる身体の鍛錬にとどまらず、倫理観、精神修養、そして解脱に至るまでの、包括的な体系を示しています。

 

八支則:段階的な修行の道筋

八支則は、以下の8つの段階から構成されています。 これらの段階は、それぞれ独立したものではなく、互いに関連し合い、より高い段階へと進むための基盤となります。

 

1. ヤマ (Yama):社会規範

ヤマは、社会における倫理的な行動規範です。 他者との調和、そして社会全体の調和を保つための、基本的なルールです。

  • アヒムサ (Ahimsa):非暴力: あらゆる生き物への慈悲と、暴力からの解放。 言葉や、心の中での暴力も含まれます。

  • サティヤ (Satya):真実: 正直で誠実な行動を心がけること。 嘘をついたり、ごまかしたりしないこと。

  • アステヤ (Asteya):不盗: 他人のものを盗んだり、不正に取得したりしないこと。 他者の権利を尊重すること。

  • ブラフマチャリヤ (Brahmacharya):節制: 欲望や、衝動をコントロールすること。 エネルギーを適切に管理すること。

  • アパリグラハ (Aparigraha):不貪: 物欲や、名声欲に執着しないこと。 必要なものだけを所有すること。

 

2. ニヤマ (Niyama):倫理規範

ニヤマは、個人の倫理的な規範です。 自己の成長と、精神的な安定を促すためのルールです。

  • サウチャ (Saucha):清浄: 心身の清浄を保つこと。 身体の清潔さだけでなく、心の清らかさ、思考の明晰さも含まれます。

  • サントーシャ (Santosha):満足: 現状に感謝し、満足感を大切にすること。 常に欲求に駆られることなく、心の平安を得ること。

  • タパス (Tapas):苦行・鍛錬: 困難を乗り越えるための努力や、忍耐を意味します。 自己鍛錬を通して、精神的な強さを養います。

  • スヴァーディヤーヤ (Svadhyaya):自己学習: 自己を深く理解し、成長を続けるための学習です。 ヨーガスートラなどの古典を学ぶこと、自己内観を行うことなどが含まれます。

  • イーシュヴァラプラニダーナ (Ishvara Pranidhana):神への献身: より大きな存在への信頼と、謙虚さ。 何かに専心し、献身的に取り組む姿勢。

 

3. アーサナ (Asana):身体のポーズ

アーサナは、身体のポーズです。 身体を調整し、心を落ち着かせるための、具体的な実践方法です。 正しい姿勢を保つことで、身体の機能を向上させ、精神的な安定を促します。

  • 身体の調整: 正しい姿勢、柔軟性、筋力、バランス能力の向上。

  • 心の安定: 身体の安定は、心の安定に繋がります。

 

4. プラナヤマ (Pranayama):呼吸法

プラナヤマは、呼吸法です。 呼吸をコントロールすることで、心身をリラックスさせ、集中力を高めるための、具体的な実践方法です。

  • 呼吸のコントロール: 深い呼吸、ゆっくりとした呼吸、そして意識的な呼吸を通して、心身を調整します。

  • 心の状態の制御: 呼吸のコントロールは、心の状態の制御に繋がります。

 

5. プラティヤーハーラ (Pratyahara):感覚の制御

プラティヤーハラは、感覚の制御です。 外部からの刺激に惑わされず、自分の心に意識を集中するための、重要なステップです。 五感を制御することで、心の状態を安定させ、瞑想への準備を整えます。

 

6. ダーラナ (Dharana):集中

ダーラナは、集中です。 特定の対象物に意識を集中させることで、心を落ち着かせ、雑念を取り除きます。 これは、瞑想への準備段階です。

 

7. ディヤーナ (Dhyana):瞑想

ディヤーナは、瞑想です。 心を静め、自分自身と向き合うための、精神的な実践です。 瞑想を通して、私たちは、自己理解を深め、心の平安を得ることができます。

 

8. サマーディ (Samadhi):三昧

サマーディは、三昧です。 意識の集中と、対象への没入状態です。 これは、ヨガの究極の目標であり、煩悩や苦しみから解放された状態です。

 

八支則の現代社会への応用:実践的なアプローチ

ヨーガスートラの八支則は、古代インドの知恵ですが、現代社会においても、その普遍的な価値は失われていません。 八支則の教えを実践することで、私たちは、心の平安と、自己実現への道を歩むことができます。 以下に、現代社会における八支則の具体的な応用例を示します。

  • ヤマ: 職場や家庭における倫理的な行動、環境問題への配慮、エシカル消費。

  • ニヤマ: 自己啓発、健康的な生活習慣、心の状態のケア、感謝の心。

  • アーサナ: 運動不足解消、姿勢改善、ストレス軽減、リラックス。

  • プラナヤーマ: ストレス軽減、集中力向上、睡眠の質の向上。

  • プラティヤーハラ: 情報過多からの解放、集中力の向上、心の静寂。

  • ダーラナ: 仕事や勉強への集中、目標達成への意識。

  • ディヤーナ: ストレス軽減、心の安定、自己認識の向上。

  • サマーディ: 心の平安、自己実現、解脱。

 

八支則を学ぶためのステップ:段階的なアプローチ

八支則は、段階的にステップを踏んでいくことで、より深い理解と、実践へと繋がります。 焦らず、自分のペースで、一つずつステップを踏みしめていきましょう。

  1. ヤマとニヤマの理解: まずは、ヤマとニヤマの教えを理解し、日常生活に活かしましょう。

  2. アーサナとプラナヤーマの実践: アーサナとプラナヤマを定期的に実践することで、心身の調和を図りましょう。

  3. プラティヤーハラの練習: 感覚の制御を通して、心の状態を安定させましょう。

  4. ダーラナとディヤーナの練習: 集中と瞑想を通して、心の静寂を体験しましょう。

  5. サマーディを目指して: 継続的な実践を通して、サマーディを目指しましょう。

 

結論:ヨーガの深みへの旅路

ヨーガスートラの八支則は、ヨガの包括的な体系を示し、段階的な修行の道筋を示しています。 それぞれの段階を実践することで、私たちは、心身の健康増進、精神的な成長、そして自己実現へと導かれます。 焦らず、自分のペースで、一つずつステップを踏みしめることで、ヨーガの深みへと進んでいきましょう。 それは、単なる身体の鍛錬ではなく、人生そのものを豊かにする、深遠な旅路です。

 

 

ヨガの基本情報まとめの目次は以下よりご覧いただけます。

 

 



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。