ヨガを推奨しております。
それは、ヨガがポーズをとるだけの体操ではなく、人生を「身軽(Lightness)」にするための、極めて実践的な哲学だからです。
私たちは、何か新しいことを始めたいと願うとき、つい「何が必要か」「何を足すべきか」を考えがちです。
新しい資格、新しいウェア、新しい人脈、新しい知識。
しかし、ヨガの智慧は全く逆の方向を指し示します。
「新しい一歩を踏み出したければ、まずは荷物を降ろしなさい」と。
パンパンに詰まったスーツケースにお土産が入らないように、両手がふさがった状態では新しいチャンスを掴めないように。
私たちの人生に変化を起こすための第一歩は、徹底的に「身軽になること」から始まります。
今日は、現代社会を生きる私たちが無意識に抱え込んでしまった重荷と、それを手放して軽やかに生きるためのヨガ的なアプローチについて、物質、精神、そしてスピリチュアルな観点から、深くお話ししていきたいと思います。
もくじ.
現代人が抱える「重さ」の正体
「なんだか最近、生きるのが重たい」
そう感じることはありませんか?
物理的な体重の話ではありません。朝起きた時の気だるさ、休日に予定がないことへの不安、常に何かに追われているような焦燥感。
この「重さ」の正体は、私たちが社会生活を営む中で知らず知らずのうちに背負わされてきた、目に見えない荷物です。
1. モノの重力:所有は執着を生む
資本主義社会は「所有すること=豊かさ」であると私たちに刷り込みます。
しかし、モノには「重力」があります。
家の中にモノが溢れていると、それらを管理し、維持し、掃除するためのエネルギーが奪われ続けます。
「高かったから捨てられない」「いつか使うかもしれない」という思考は、過去への執着と未来への不安そのものです。
ヨガの教え「アパリグラハ(不貪)」は、必要以上のモノを持たないことを説きます。
それは節約のためではなく、モノが発する重力から魂を解放するためです。
2. 情報と人間関係のノイズ
スマホを開けば、誰かのキラキラした日常や、ネガティブなニュースが洪水分のように押し寄せます。
SNSでの人間関係は、「いいね」や既読スルーに一喜一憂する、疲れるゲームと化してはいないでしょうか。
「繋がっていなければならない」という強迫観念は、鎖のように私たちを縛り付けます。
不要な人間関係の整理は、冷淡さではなく、自分自身を守るためのアヒムサ(非暴力)です。
3. 「私」という定義の檻
「私はこういう人間だ」「私はもう〇〇歳だから」「私は過去に失敗したから」
自分自身に対する決めつけや定義ほど、重たいものはありません。
過去の経歴、プライド、トラウマ、他者からの評価。
これらで作られた「セルフイメージ」という鎧を着ていては、新しい一歩など踏み出せるはずがありません。
ヨガが教える「空(くう)」のパワー
では、どうすればこの重荷を下ろし、身軽になれるのでしょうか。
そのヒントは、ヨガが目指す究極の状態である「空(Shunya)」にあります。
器は空っぽだからこそ、役に立つ
コップが水で満たされていたら、それ以上新しい水を注ぐことはできません。
部屋が家具で埋め尽くされていたら、そこで踊ることはできません。
「空っぽであること」は「何もない」ことではなく、「無限の可能性を受け入れるスペースがある」ということです。
呼吸に見る「手放し」の極意
ヨガの呼吸法(プラーナヤーマ)では、「吐く息」を重視します。
完全に吐き切るからこそ、新鮮な空気が自然と入ってくるのです。
人生も同じです。
古いものを完全に手放す(Exhale)からこそ、新しい展開(Inhale)が自然と向こうからやってくる。
自分からガツガツと掴みに行く必要はありません。
ただ、スペースを空けておけば、宇宙の法則(ダルマ)として、必要なものが流れ込んでくるのです。
スピリチュアルな視点:波動を軽くする
ここからは少し、目に見えないエネルギーのお話をしましょう。
全ての物質や意識は、固有の周波数(波動)を持っています。
重たい感情(怒り、嫉妬、不安、後悔)や、不要な物質、乱雑な部屋は、低い周波数を放ちます。
逆に、感謝、喜び、整理整頓された空間は、高い周波数を放ちます。
「風の時代」を軽やかに泳ぐ
スピリチュアルの世界では、今は「風の時代」だと言われています。
物質的な重さよりも、情報や精神性、軽やかさが重視される時代です。
この時代において、重たい荷物を抱えていることは、向かい風の中を歩くようなもの。
逆に、身軽であればあるほど、時代の風に乗って、想像もしなかった場所へと運ばれていくことができます。
これを「シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)」と呼びますが、身軽な人ほど、この幸運な偶然に遭遇しやすくなるのです。
直感というナビゲーションシステム
荷物を下ろし、思考のノイズが減ると、本来私たちが持っている「直感」というナビゲーションシステムが正常に作動し始めます。
「なんとなくこっちに行ってみよう」「あの人に連絡してみよう」
理由のない、ふとした閃き。
それは、あなたのハイヤーセルフ(高次の自己)からのメッセージです。
身軽であることは、この微細なメッセージをキャッチするためのアンテナ感度を高めることでもあります。
実践編:今日からできる「身軽化」のアクション
概念的な話だけでなく、具体的にどうすればいいのか。
今日から始められる小さなステップをいくつかご提案します。
物理的な断捨離:
まずは、目に見えるモノから。「1年間使わなかったものは手放す」などルールを決めて、空間に余白を作りましょう。クローゼットの隙間は、心の隙間です。
デジタル・デトックス:
寝る前の1時間だけでもスマホの電源を切る。通知をオフにする。フォローしているアカウントを見直す。情報の流入量を物理的に制限し、脳を休ませます。
「やらねばならない」を捨てる:
一日のスケジュールの中で、本当にやりたくてやっていることはどれくらいありますか? 義理や習慣で続けているだけのことは、思い切ってやめてみる。「空白の時間」を恐れずに作ってみてください。
瞑想習慣を持つ:
一日5分で構いません。静かに座り、思考を手放す時間を持つこと。これは「心の断捨離」です。思考のゴミを毎日掃除することで、心は常にフレッシュな状態を保てます。
スーツケース一つで旅に出るイメージを持つ:
もし明日、旅に出るとしたら何を持っていくか? その想像の中で選ばれなかったものは、実は今のあなたにとって必須ではないものかもしれません。
終わりに:何者でもない、ただの「私」へ
身軽になるとは、何かを失うことではありません。
むしろ、本来の自分を覆い隠していた余計な装飾を取り除き、裸の魂へと還っていくプロセスです。
肩書きも、過去の栄光も、見栄も、不安も。
すべてを脱ぎ捨てて、ただの「私」として立ったとき。
その足取りは驚くほど軽く、目の前の景色は鮮やかに輝いて見えるはずです。
新しい一歩を踏み出すのに、特別な準備はいりません。
ただ、荷物を下ろすだけ。
パラシュートを背負ったまま川を泳ぐのをやめるだけです。
身軽になったあなたには、きっと素晴らしい新しい未来が待っています。
もし、その手放し方が分からなくなったら、いつでも縁側にいらしてください。
温かいお茶と、静かな時間を用意して、お待ちしております。(言葉のあやです)
ではまた。


