悩みすぎて辛いあなたへ。それは本当に「命を削ってまで」考えることですか?【ヨガ哲学の視点】

自己啓発

ヨガを推奨しております。
それは、ヨガが単に身体を柔らかくする体操ではなく、硬く絡まった「心」の結び目をほどく、精妙な技術だからです。

私たちは日々、悩みます。
仕事のミス、人間関係のもつれ、将来のお金、家族の健康、SNSでの評判。
朝起きた瞬間から夜眠りにつくまで、頭の中は「どうしよう」「なんであんなことを」「もしこうなったら」という思考で埋め尽くされています。

真面目な人ほど、深く悩みます。
誠実な人ほど、答えが出るまで考え続けようとします。
しかし、ここで一度、静かに立ち止まって、自分自身に問いかけてみてほしいのです。

「それは、本当に自分の命を削ってまで、悩むべきことなのだろうか?」

今日は、悩みの渦中にいるあなたに向けて、ヨガ哲学の視点から、心の重荷を少し下ろすためのお話をしたいと思います。

 

現代人は「悩み」を過大評価している

現代社会は、私たちに「考えること」を強要します。
「改善しろ」「最適化しろ」「リスクヘッジしろ」。
常に思考を回転させ、問題を解決し続けることが、優秀であり、善であると教え込まれてきました。

その結果、私たちは「悩むこと」=「誠実に生きること」だと勘違いしてしまうようになりました。
悩んでいないと、サボっているような気がする。
心配していないと、無責任な気がする。
そうやって、無意識のうちに「悩むこと」を自分に課してしまっているのです。

しかし、ヨガの視点から見れば、そのほとんどは「チッタ・ヴリッティ(心の作用)」の暴走に過ぎません。
脳が勝手に作り出した、実体のないホラー映画を、延々と再生し続けているようなものです。

 

命の時間は、悩むための時間ではない

少し厳しい言い方になるかもしれませんが、私たちの命には限りがあります。
心臓が動く回数も、呼吸をする回数も、生まれた時から決まっています。
あなたが布団の中で眉間にしわを寄せて悩んでいるその一瞬一瞬も、二度と帰ってこない貴重な「命の時間」が削られています。

ヨガでは、生命エネルギーのことを「プラーナ」と呼びます。
悩むという行為は、このプラーナを大量に消費します。
激しい運動をしたわけでもないのに、一日中悩んだあとにドッと疲れが出るのはそのためです。
私たちは、大切な生命エネルギーを、解決もしない「不安」という穴に、自ら投げ捨てているのです。

その悩みは、あなたのプラーナを捧げるに値するものでしょうか?
上司の機嫌や、他人の評価のために、あなたの輝くべき生命力を消費していいのでしょうか?
おそらく、答えは「NO」のはずです。

 

「問題」は、あなたが重要だと思った瞬間に生まれる

ヨガ哲学には、世界の見方を根底から覆すような教えがあります。
それは、「外側の世界に問題はない。問題を作り出しているのは、あなたの心(認知)である」というものです。

例えば、「雨が降っている」という現象自体は、良いことでも悪いことでもありません。ただの自然現象です。
しかし、そこに「今日はピクニックに行きたかったのに!」というあなたの執着が重なった瞬間、雨は「忌まわしい問題」へと変わります。
逆に、水不足に悩む農家の人にとっては、同じ雨が「恵みの雨」となります。

つまり、あなたが「これは大変なことだ」「重要事項だ」とラベルを貼ったものだけが、あなたにとっての「悩み」として立ち現れるのです。
逆に言えば、あなたがそのラベルを剥がしてしまえば、それはただの「現象」に戻ります。

これをヨガでは「ヴァイラーギャ(離欲・無執着)」の実践と言います。
対象から少し距離を置き、「へぇ、雨が降っているな」「ああ、上司が怒っているな」と、ただ事実だけを観察する。
そこに「私のせいだ」とか「最悪だ」という物語(ストーリー)を付け加えない練習です。

 

スピリチュアルな視点:魂は傷つかない

もう少しスピリチュアルな、高い視点(メタ認知)を持ってみましょう。
ヨガの教えでは、私たちの本質は、肉体でも心でもなく、永遠に輝く「アートマン(真我・魂)」であると説きます。

映画のスクリーンを想像してみてください。
スクリーンには、悲劇や戦争、別れのシーンが映し出されるかもしれません。
観客である私たちは、それを見てハラハラし、涙を流します。
しかし、どれほど激しい炎の映像が映し出されても、スクリーン自体が焼けることはありません。
どれほど悲しいシーンでも、スクリーンが濡れることはありません。

あなたの本質である「魂」は、このスクリーンと同じです。
人生で何が起ころうとも、失敗しようとも、恥をかこうとも、あなたの魂自体は決して傷つくことも、汚れることもないのです。
ただ、そのドラマを体験しているだけです。

「私は傷つかない存在なのだ」
この絶対的な安心感を思い出したとき、悩みの深刻さは薄れ、人生というドラマをもう少し気楽に楽しめるようになるはずです。

 

「どうにかしよう」とする手を放す

では、具体的にどうすればいいのでしょうか。
解決策を考え続けるのをやめることです。
逆説的ですが、「なんとかしよう」とあがくのをやめた瞬間に、物事が好転し始めることがよくあります。

これを「サレンダー(降伏・委ねる)」と言います。
「もう自分の小さな頭で考えるのは限界だ。あとは宇宙(あるいは神様、大いなる流れ)にお任せします」と、白旗を上げることです。

これは諦めではありません。
自分のコントロールできない領域(他人の気持ちや、未来の結果)を支配しようとする「エゴの抵抗」をやめるということです。
川の流れに逆らって泳ぐのをやめ、力を抜いて仰向けになり、流れに身を任せてみる。
そうすると、無駄な力が抜け、自然と必要な場所へと運ばれていきます。

 

今日できる、小さなプラクティス

悩みで頭がいっぱいになってしまったら、次のことを試してみてください。

1. 「これは命を削る価値があるか?」と問う
悩みが湧いてきたら、心の中でこう唱えます。「この悩みは、私のプラーナを犠牲にするほど重要なことか?」と。9割の悩みは、そこで「いや、そこまでじゃないな」と気づくはずです。

2. 身体の感覚に戻る
悩んでいるとき、意識は「頭」に偏り、身体がお留守になっています。
足の裏の感覚、お尻が椅子に触れている感覚、呼吸が出入りする感覚。
意識を「今、ここ」の身体に戻すだけで、思考の暴走は強制的にストップします。

3. 空を見上げる
物理的に視線を上げることは、精神的にも視座を上げる効果があります。
広大な空を見上げ、「あの雲に比べれば、私の悩みなんてちっぽけなものだな」と感じてみる。宇宙的なスケールで物事を見る癖をつけるのです。

 

終わりに:あなたは、ただ幸せであっていい

私たちは、幸せになるために生まれてきました。
悩むために生まれてきたのではありません。
苦しむことが誠実さの証明ではありません。

もっと、自分に優しくなってください。
もっと、適当でいてください。
「まぁ、なんとかなるか」という言葉は、無責任な言葉ではなく、生命への深い信頼を表す言葉です。

命を削ってまで悩むことなど、この世界には一つもありません。
大丈夫。すべては、あるべきように流れています。
その流れを信じて、今日はただ、温かいお茶でも飲んで、ゆっくり休みましょう。

この縁側は、あなたが荷物を下ろすために、いつでもここにあります。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。