ヨガが現代において普及した経緯(日本編):東洋の叡智、日本社会への浸透 – 伝統仏教と天風哲学との出会いから現代ヨガブームへ

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ヨガが現代において普及した経緯(日本編):東洋の叡智、日本社会への浸透 – 伝統仏教と天風哲学との出会いから現代ヨガブームへ

現代の日本において、ヨガは、フィットネス、健康法、リラクゼーション、あるいはスピリチュアルな実践として、幅広い層に親しまれています。ヨガスタジオは街のいたるところにあり、書籍や雑誌、テレビ番組でも頻繁に取り上げられるなど、ヨガは、もはや、日本社会に深く根付いた文化現象と言えるでしょう。

しかし、古代インドで生まれたヨガが、どのようにして日本に伝わり、現代のようなブームに至ったのでしょうか?

今回は、ヨガが日本に伝わった経緯を紐解き、その歴史的背景、受容の過程、そして、現代ヨガブームに至るまでの流れを、時代背景や文化的な文脈を踏まえながら、解説していきます。

 

1. ヨガとの出会い:仏教伝来と共に (6世紀)

ヨガが日本に初めて伝わったのは、6世紀、仏教伝来と共にであったと考えられています。仏教の経典には、瞑想や呼吸法など、ヨガと共通する要素が含まれており、特に、禅宗の坐禅は、ヨガの瞑想と深い関わりを持っています。

しかし、当時のヨガは、仏教の一部として捉えられており、独立した実践体系として認識されていたわけではありませんでした。(たぶん)

 

2. 近代ヨガの萌芽:明治時代 – 西洋経由の出会い (19世紀後半)

明治時代に入ると、日本は西洋文明を積極的に導入し、近代化を推し進めていきました。その過程で、西洋から様々な思想や文化が流入し、ヨガもまた、西洋を経由して、日本に紹介されるようになりました。

19世紀後半、スワミ・ヴィヴェーカーナンダなどのインドのヨガ指導者たちが、西洋でヨガの普及活動を開始すると、その影響は、日本にも及んできました。

 

3. 心身統一法の誕生:中村天風 – ヨガと日本の精神文化の融合 (20世紀初頭)

20世紀初頭、日本のヨガ普及に大きな影響を与えたのが、中村天風(1876-1968)です。彼は、実業家、思想家として活躍し、独自の「心身統一法」を創始しました。

天風は、若き日に肺結核を患い、西洋医学に見放されたことをきっかけに、東洋思想やヨガに傾倒しました。彼は、インドでヨガを学び、自身の体験に基づいて、心身統一法を体系化しました。

心身統一法は、呼吸法、瞑想、自己暗示などを組み合わせることで、心身のバランスを整え、潜在能力を引き出すことを目的とした実践体系であり、ヨガの影響を色濃く受けています。

天風の教えは、政財界のリーダーや文化人など、多くの著名人に支持され、戦後の日本社会において、自己啓発や精神的な成長を目指す人々にとって、大きな影響力を持つようになりました。

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4. 戦後ヨガの黎明期:健康法としての普及 (1950年代~)

戦後、日本社会は、復興と高度経済成長に向けて、大きく動き出しました。人々の生活は豊かになる一方で、ストレスや生活習慣病といった、新たな問題も浮上してきました。

こうした時代背景の中で、ヨガは、健康法として注目を集め始めます。1950年代には、沖正弘氏や藤本昌丈氏といった、ヨガのパイオニアたちが、インドでヨガを学び、日本に紹介しました。

この時期のヨガは、主に健康増進や美容効果を目的としたものであり、アーサナ(ポーズ)や呼吸法を中心に実践されていました。

 

5. ヨガブームの到来:1980年代~ – 多様化と現代社会への適応

1980年代に入ると、日本は、バブル経済の好景気と共に、健康志向や美容ブームが高まりました。ヨガは、女性を中心に、ますます人気を集め、ヨガスタジオが全国各地に開設されるようになりました。

この時期、海外から様々なヨガスタイルが導入され、ヨガの多様化が進みます。アシュタンガ・ヨガ、アイアンガー・ヨガ、パワーヨガ、ホットヨガなど、現代的なヨガスタイルが、次々と日本に上陸しました。

 

6. 現代日本のヨガ:ライフスタイル、スピリチュアリティ (21世紀)

21世紀に入ると、ヨガは、単なる健康法やフィットネスを超え、ライフスタイルやスピリチュアリティの一部として、日本社会に深く浸透していきました。

  • ヨガスタジオの増加: 全国各地にヨガスタジオが急増し、多様なスタイルのヨガクラスが提供されています。

  • オンラインヨガの普及: インターネットやスマートフォンアプリを利用した、オンラインヨガが普及し、いつでもどこでもヨガを楽しむことができるようになりました。

  • ヨガイベントの開催: ヨガフェスティバルやヨガリトリートなど、ヨガ関連のイベントが数多く開催され、ヨガコミュニティが広がっています。

  • ヨガと mindfulness: ストレス軽減や心の健康を目的とした、マインドフルネス瞑想を取り入れたヨガスタイルが注目されています。

  • ヨガと社会貢献: ヨガを通して、社会貢献活動を行う団体や、ヨガの普及を通じて、国際交流を促進する活動も盛んに行われています。

 

伝統と革新:日本におけるヨガの進化

日本のヨガは、仏教伝来以来、長い歴史の中で、独自の進化を遂げてきました。

伝統的な仏教の瞑想と、中村天風の心身統一法、そして、現代的なヨガのアーサナや呼吸法が融合し、日本人にとって、より親しみやすく、実践しやすい形へと変化してきたのです。

現代の日本社会において、ヨガは、心身の健康を促進するだけでなく、ストレスを軽減し、自己肯定感を高め、より充実した人生を送るための、重要な役割を果たしています。

ヨガは、これからも、日本の文化や社会と調和しながら、進化し続けるでしょう。

禅が日本で花開いたように、日本でヨガが新しく開花することを期待します。

 

補足:中村天風さんについて

激動の明治・大正・昭和を生きた、中村天風(1876-1968)。実業家、思想家、哲学者… 彼は、様々な顔を持ちながらも、一貫して「人間の可能性」を信じ、多くの人々に生きる勇気と希望を与えた、稀代の指導者でした。

中村天風の生涯と業績を振り返りながら、彼の「すごいところ」を掘り下げ、時代を超えて私たちに響く、そのメッセージを読み解いていきましょう。

 

1. 波乱万丈の青年期:運命に翻弄されながらも、不屈の精神で道を切り開く

天風は、裕福な実業家の家に生まれましたが、幼少期から病弱で、15歳で結核を患い、医者から余命3年を宣告されます。死の恐怖と向き合いながら、彼は、生きる意味を問い続け、やがて、東洋哲学、特に禅の思想に傾倒していきます。

20歳の時、天風は、日露戦争に従軍し、陸軍少尉として活躍しますが、戦地で再び病魔に襲われ、軍隊を去ることになります。失意の中、彼は、アメリカへと渡り、ビジネスの世界で成功を収めますが、肺結核が悪化し、再び死の淵に立たされます。

そんな中、アメリカでヨガの大家、カリアッパ師と運命的な出会いを果たします。カリアッパ師は、天風の病状と精神状態を見抜き、ヨガの教えと呼吸法を伝授します。カリアッパ師の指導のもと、天風は健康を取り戻し、さらにヨガの奥義を極めるために、ヒマラヤ山脈の奥深くにある秘境を目指します。

そこで、ヨガ行者たちとの厳しい修行を通して、卓越した精神力と呼吸法「クンバハカ」を習得。

 

2. 心身統一法の創始:東洋の叡智と西洋の合理性を融合

7年間の放浪の末、天風は1926年に帰国。天風は、自身の体験に基づいた「心身統一法」を創始し、多くの人々に指導を始めます。心身統一法は、ヨガ、禅、密教、キリスト教などの要素を取り入れ、呼吸法、瞑想、自己暗示などを組み合わせることで、心身のバランスを整え、潜在能力を引き出すことを目的とした実践体系です。

天風は、東洋の精神的な叡智を、西洋の合理的な思考と融合させ、日本人にとって、より実践的で分かりやすいメソッドを開発しました。それは、単なる宗教的な修行ではなく、科学的な根拠に基づいた、自己成長のための方法論でした。

 

3. 時代を動かした指導者:政財界のリーダーたちを魅了

天風の教えは、時代を動かすリーダーたちを魅了しました。

  • 松下幸之助 (パナソニック創業者): 経営哲学に大きな影響を受け、終生、師と仰いだ。

  • 稲盛和夫 (京セラ創業者): 経営理念「フィロソフィ」に、心身統一法の思想が反映されている。

  • 東郷平八郎 (連合艦隊司令長官): 日露戦争の勝利に貢献した名将。天風の教えを実践し、精神的な支柱とした。

彼らは、天風の教えを通して、リーダーシップ、決断力、そして、逆境に負けない、強い心を養いました。天風は、個人だけでなく、日本の社会全体を、より良い方向へと導く、精神的な支柱としての役割を果たしたのです。

 

4. 「積極的な生き方」のススメ:人生の主人公は、自分自身

天風の教えの根底にあるのは、「積極的な生き方」です。

彼は、常に「今、ここ」に集中し、前向きな思考で、積極的に行動することの重要性を説きました。過去を悔やんだり、未来を不安視するのではなく、「今、この瞬間」を、最大限に生きることが、人生を豊かにする秘訣であると教えたのです。

天風は、心の持ち方次第で、人生は大きく変わることを、自身の体験を通して証明しました。彼は、どんな逆境に遭遇しても、決して諦めず、心の力を最大限に発揮することで、運命を切り開くことができることを、身をもって示したのです。

 

5. 時代を超えて響くメッセージ:普遍的な人間の真理

中村天風は、激動の時代を生き抜き、数々の苦難を乗り越えた、魂の哲人でした。彼の教えは、単なる自己啓発や成功哲学を超え、普遍的な人間の真理を、私たちに示唆してくれます。

  • 心の力: 心は、無限の可能性を秘めている。

  • 積極性: 前向きな思考と行動が、人生を変える。

  • 感謝: 今あるものに感謝し、喜びを見出す。

  • 忍耐: 困難に立ち向かう、不屈の精神。

  • 利他: 社会に貢献し、人々の幸せを願う。

これらの教えは、時代を超えて、現代社会を生きる私たちにとっても、貴重な指針となるでしょう。

中村天風は、日本人に「心の力」の大切さを説き、より良く生きるための道を示した、偉大な先駆者でした。彼の教えは、これからも、多くの人々に、生きる勇気と希望を与え続けるでしょう。

 

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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。