出張先でアシュタンガに出会ったことが、意外と重要なことになっている

自己啓発

人生の転機というのは、壮大なファンファーレと共に訪れるわけではありません。
むしろ、日常のふとした隙間、あるいは「予定外のハプニング」という顔をして、ひっそりと忍び込んでくるものです。
先日、ふと昔のことを思い出しました。
それは、ある京都出張での出来事です。

当時、私はまだヨガの練習生として、色々なスタジオを巡っては自分に合うスタイルを探している最中でした。

出張先の仕事が終わった後、京都の街を早足で駆け抜け、目当てのスタジオへ。
同僚には「最近ヨガハマってるので!」と言い訳をして2次会から合流する旨を伝えてスタジオの扉を開けました。

当初の予定では、リラックス系のハタヨガクラスを受けるつもりでした。
出張の疲れを癒やすにはちょうどいいだろう、と。

予定不調和の中にこそ、ギフトがある

しかし、何か代行のようで、違うになるらしい。

よくわからないままクラスが始まると、非常にハードに動き始めました。

途中で倒立も出てきました(当時はヨガ始めたばかりなのでビックリ)

結果から言えば、その90分が私のヨガ人生における一つの分岐点となりました。

ハーフプライマリー(アシュタンガの基礎となるシリーズの前半部分)のクラスでしたが、その日、不思議なことが起きたのです。

今までどうしても感覚が掴めなかった「ジャンプスルー(座った状態から腕で体を支えて足を後ろに抜く動作)」が、突然、ふわっとできたのです。そして届かなかった手もいくつかのポーズで届いたのです。
理屈ではなく、身体が勝手に答えを見つけたような感覚。
「あ、これだ」
その瞬間、身体の中に電流のようなものが走り、ただの体操だと思っていたポーズの連なりが、一つの巨大なエネルギーの循環であることに気づかされました。

もしあの日、予定通りリラックスヨガを受けていたら。
もし代行の先生じゃなかったら。
もし同僚に気を遣ってスタジオに行くのを諦めていたら。
今の私の練習スタイル、そして指導者としての在り方は、まったく違ったものになっていたでしょう。(大袈裟ですね笑)

 

的を狙いすぎると、背後の景色が見えなくなる

現代社会は、私たちに「目標設定」と「計画遂行」を強く求めます。
KPIを設定し、最短距離でゴールを目指すこと。
Googleマップで目的地をセットし、一切の無駄なく移動すること。
確かに、狙いを定めることは大切です。
しかし、弓を引いて的(マト)だけを凝視している時、私たちは背後で咲いている美しい花や、空を流れる雲には気づくことができません。

何かを強く狙っている時、私たちは視野狭窄(トンネルビジョン)に陥っています。
「こうあるべきだ」「こうしたい」というエゴのコントロールが強すぎて、世界が差し出してくれている「予期せぬギフト」を受け取るスペースがなくなってしまうのです。

京都でのあの日、私は「リラックスしたい」という狙いを外されました。
しかし、そのおかげで「動く瞑想としてのヨガ」という、もっと大きな宝物を手に入れることができました。
ポイントになる出来事は、私たちが計画した直線の道の上ではなく、道に迷ったり、通行止めにあって迂回したりした、その藪の中に潜んでいることが多いものです。

 

点と点が繋がるのは、振り返った時だけ

スティーブ・ジョブズの有名な言葉に「コネクティング・ザ・ドッツ(点と点を繋ぐ)」があります。
未来を見据えて点を繋ぐことはできません。できるのは、過去を振り返って繋ぐことだけです。

あの京都でのアシュタンガヨガ体験が、これほど重要な意味を持つことになるとは、当時の私は微塵も思っていませんでした。
ただ、「キツかったけど、なんかスッキリしたな」くらいの感想だったかもしれません。
しかし、数年経った今、振り返ってみると、あの点が明確に今の私へと繋がる太い線の一部になっていることが分かります。

ヨガの実践も同じです。
今日マットの上で流した汗、できなかったポーズ、ふと感じた静けさ。
それらが何の意味を持つのか、今は分からないかもしれません。
「こんなことをして何になるんだろう」と虚しくなる日もあるでしょう。
でも、それでいいのです。
意味なんて、後から勝手についてくるものですから。

 

すべては、起こるべくして起きている

私たちは人生をコントロールできると思いたがります。
しかし、本当は大きな流れ(宇宙の意思と言ってもいいし、縁と言ってもいいでしょう)に乗っているだけなのかもしれません。
代行の先生になったことも、ジャンプスルーが開眼したことも、たまたまその時間に京都にいたことも。

大切なのは、目の前に現れた「予定外」を、面白がって受け入れてみること。
「え、アシュタンガ?マジか」と苦笑いしながらも、とりあえずやってみること。
その「こだわりのなさ(アパリグラハ)」こそが、新しい扉を開く鍵になります。

あなたの人生において、一見「ハズレ」だと思った出来事が、実は最大の「アタリ」だったということはありませんか?
もしかしたら、今まさに直面しているトラブルや変更も、未来のあなたが振り返った時、「あれがあったから今がある」と感謝する重要な伏線なのかもしれません。

焦らず、狙いすぎず、目の前の流れに身を任せてみる。
そうすれば、必要なものは必要なタイミングで、向こうからやってくるはずです。
たとえそれが、汗だくの90分のアシュタンガヨガだったとしても。

ではまた。

 

追記

その後の京都の夜は、とても充実した飲み会となりました。

4次会まで行ってしまった気がします笑


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。