ヨガを推奨しております。
それは、ヨガがポーズをとること以前に、自分自身の内側と外側にある「過剰なもの」に気づき、それを手放していく実践だからです。
ふと部屋を見渡した時、「なんでこんなに買ってしまったのだろう？」と愕然としたことはありませんか？
クローゼットの奥で眠る服、数回しか使っていない調理器具、いつか読むはずだった積まれた本。
それらは静かに、しかし確実に、私たちの空間とエネルギーを占拠しています。
今日は、この「なんで買ってしまったのか問題」について、少し掘り下げて考えてみたいと思います。
これは単なる片付けの話ではありません。
現代社会が抱える病理と、そこから自由になるためのヨガ的な処方箋についてのお話です。
もくじ．
やっぱり使わない物は、家にはいらない物
結論から言えば、やっぱりですね、使わない物はいらない物ですね。
非常にシンプルな事実です。
使わないんですから、いらないのです。
もしかすると、それらは「間違えて家に来てしまった」のかもしれません。
お店で見た時は輝いて見えた。広告を見て、これさえあれば幸せになれると思った。
一時的なご縁はあったのかもしれません。
そのことには感謝しつつ、役目を終えた（あるいは最初から役目がなかった）のであれば、手放すことです。
「使わないけどいる物」というのは、厳密には存在しません。
物は、使われて初めてその命を全うします。
アートだって、眺めたり飾ったりして心に栄養を与えるという形で「使って」います。
防災用の備蓄品だって、「安心」という機能として、あるいは来るべき時のために「待機」するという形で使われています。
しかし、棚の奥で埃を被っているお皿は、お皿としての機能を果たしていません。
それは「お皿」ではなく、ただの「陶器の塊」であり、あなたの住空間を圧迫する障害物になってしまっています。
現代社会が生み出す「欠乏感」という幻想
では、なぜ私たちはこれほどまでに物を溜め込んでしまうのでしょうか。
「なんでこんなに買ってしまったのか」と後悔するほどに。
それは、現代の資本主義社会が、私たちの心に巧妙な「欠乏感」を植え付け続けているからです。
テレビをつければ、スマホを開けば、そこには魅力的な商品が溢れています。
「これを持っていないあなたは時代遅れだ」「これを買えばもっと素敵な自分になれる」
そんなメッセージが、24時間絶え間なく私たちに浴びせかけられています。
ヨガの教えに「サントーシャ（知足）」という言葉があります。
「足るを知る」ということです。
今の自分で充分である、必要なものはすでにここにある、という感覚です。
しかし、社会はこの感覚を麻痺させようとします。
なぜなら、みんなが満たされてしまったら、モノが売れなくなるからです。
私たちが衝動的に買ってしまうモノの正体は、実はモノそのものではなく、「安心感」や「承認欲求」、あるいは「未来への期待」なのかもしれません。
「この服を買えば自信が持てるかもしれない」「この便利グッズがあれば家事が楽になるかもしれない」
そうやって、心の隙間をモノで埋めようとした結果が、今の部屋の惨状なのです。
使わない物を手放すプロセス
使わない物は手放します。
それを、淡々とやります。
友人にあげてもいいし、売ってもいいでしょう。
マメにできる人はメルカリなどで一つ一つ売るのがいいでしょうし、それが手間ならまとめてリサイクルショップや寄付に出してしまうのがいいです。
重要なのは、モノを手放すことは、自分自身を責めることではないということです。
「無駄遣いをしてしまった」と自分を責める必要はありません。
それは「勉強代」であり、そのモノを通じて「これは私には必要なかったのだ」ということを学んだのです。
感謝して、さよならを告げましょう。
見えない物は「無い物」になる
モノを整理する時の鉄則があります。
それは「全部出す」ということです。
押し入れの奥、引き出しの中。
見えない場所にある物は、私たちの意識の中では「無い物」と同じになっています。
しかし、物理的には存在し、空間を圧迫し、気の流れを滞らせています。
見えない物を捨てることはできません。
ある（認識している）物しか、判断することはできません。
だから、全部見えるようにする。
こんまり先生も言っているように、一箇所に集めて、山にするのです。
その圧倒的な量（カオス）を直視すること。
「うわっ、こんなにあったのか」と絶望すること。
そこからしか、本当の整理は始まりません。
一つひとつ手に取り、今の自分との関係性を問い直していく作業は、まさに動く瞑想です。
空間の余白が、人生の余白を作る
とにかく物を減らすことが、部屋を綺麗にして、自分のやりたいことをやるコツです。
部屋がモノで溢れていると、私たちは無意識のうちに視覚情報処理にエネルギーを使ってしまいます。
「あれを片付けなきゃ」「あれはどこだっけ」と、脳のリソースが奪われ続けるのです。
モノを減らし、空間に「スカスカ」の状態を作ること。
それは、新しいエネルギーが入ってくるためのスペースを作ることです。
やりたいことをやれてるときに人はエネルギーがものすごく上がります。
そのエネルギーに同調して、運の良いことも起こってくるのです。
また、エネルギーが高いと行動力も出るので、さらにチャンスも活かせるようになります。
引越しが運気アップに最強と言われるのは、強制的に持ち物を厳選し、環境をリセットするからです。
古いエネルギー（使わないモノ）を大量に手放し、新しい場所に身を置くことで、人生の流れが一気に変わるのです。
終わりに：目指すはスナフキン
私自身、まだできてないけど、チャレンジ中のことがあります。
それは収納をスカスカにすること。
これが、なかなかに難しい道のりです。
以前はノマド生活ができるくらいにしようと息巻いてましたが、まだまだ修行の途中です。
ですが今回はまた新たな視点が出てきまして、さらにミニマルにしていかないといけなくなりそうです。
既に世間一般に比べたら相当身軽な方だとは思うのですが、上には上がいますし、ヨガの深みを目指すならば、持ち物は軽いに越したことはありません。
目指すはスナフキンですからね。（ほんとに？）
彼のように、ハーモニカひとつと身軽なリュックで、風の向くままに生きる。
所有するのではなく、世界そのものを庭として楽しむ生き方。
そんな軽やかさを、モノとの関係性を見直すことから始めていきたいものです。
モノの山を崩すことは、あなたを縛っている執着の山を崩すことでもあります。
「なんでこんなに買ってしまったのか」という後悔を、「これから何を選んで生きていくか」という希望に変えていきましょう。
ではまた。
