瞑想中は深刻さから離れることができる

自己啓発

瞑想を推奨しております。
それは、瞑想が私たちを「深刻さ(シリアスさ)」という病から解放してくれる、唯一の特効薬だからです。

私たちは、あまりにも人生を深刻に捉えすぎています。
仕事のミス、人間関係の摩擦、将来への不安、健康上の懸念。
これらの一つひとつを、まるで世界の終わりのような重々しさで受け止め、眉間に皺を寄せ、歯を食いしばって生きています。
「真面目であること」は美徳とされていますが、「深刻であること」は決して美徳ではありません。
深刻さは、心身を硬直させ、視野を狭め、生命の喜びを枯渇させる毒のようなものです。

今日は、なぜ私たちがこれほどまでに深刻になってしまうのか、そして瞑想がどのようにしてその重いコートを脱がせてくれるのかについて、少し深くお話ししてみたいと思います。

 

深刻さの正体:エゴによる過剰防衛

なぜ、私たちは深刻になるのでしょうか。
それは「自分(エゴ)」を守ろうとしているからです。

「失敗したら、私の評価が下がる」
「嫌われたら、私の居場所がなくなる」
「病気になったら、私の人生計画が狂う」

すべての深刻さの根底には、「私」という存在への過剰な執着があります。
エゴは常に「自分は特別で重要な存在だ」と信じたがっており、同時に「自分は傷つきやすく、常に脅かされている」という被害妄想も抱えています。
この「守らなければならない私」という荷物が重ければ重いほど、私たちは一挙手一投足に対して慎重になり、深刻にならざるを得ません。

現代社会は、このエゴの恐怖を煽ることで成り立っています。
ニュースは危機を叫び、広告は欠乏感を刺激し、SNSは比較を強要します。
「今のままでは危ない」「もっと武装しなければ」
そうやって私たちは、深刻さという名の鎧を、一枚また一枚と重ね着していくのです。

 

瞑想:劇場の客席に座る時間

瞑想とは、この深刻なドラマが上演されている舞台から降りて、静かに客席に座る行為です。

目を閉じ、呼吸に意識を向けると、最初は様々な思考がやってくるでしょう。
「あのメールの返信、まだだったな」「部長のあの発言、どういう意味だろう」
これらの思考は、あなたを再び舞台の上へと引きずり上げようとします。

しかし、瞑想の実践者は、それらの思考に対して「反応」しません。
ただ、「ああ、そういう思考があるな」と観るだけです。
これを「サクシ・バーヴァ(目撃者の意識)」と呼びます。

ドラマの主人公(エゴ)として渦中にいるときは、すべてが深刻な大問題に見えます。
しかし、客席(観照者)から眺めてみると、それは単なる「現象」に過ぎないことに気づきます。
悲劇だと思っていたシーンが、離れて見ると実は喜劇だった、なんてことはよくあることです。
「なんだ、私はこんな小さなことで、こんなに大騒ぎしていたのか」
その気づきと共に、深刻さはフッと蒸発し、場合によっては笑いさえ込み上げてくることもあります。
瞑想中に起こる静かな微笑みは、エゴの呪縛が解けたサインなのです。

 

「遊び(リーラ)」としての人生を取り戻す

ヨガの哲学には、「リーラ(Leela)」という美しい言葉があります。
これは「神の遊び」という意味です。
この宇宙全体は、創造主による壮大な遊び場であり、私たちの人生もまた、その遊戯の一部であるという考え方です。

深刻になっている時、私たちはこの「遊び心」を完全に忘れています。
人生を、絶対に失敗が許されない「テスト」や「罰ゲーム」のように捉えてしまっています。

しかし、瞑想を通して「空(くう)」の感覚、つまり「すべては移ろいゆく現象であり、実体はない」という真実に触れると、世界の見え方がガラリと変わります。
苦しみさえも、味わい深い体験の一つとして捉えられるようになります。
「絶対にこうでなければならない」という執着が消え、「まあ、こういう展開も面白いか」という余裕が生まれます。

これは、無責任になるということではありません。
むしろ逆です。
深刻さでガチガチになっている時よりも、遊び心を持ってリラックスしている時の方が、私たちは高いパフォーマンスを発揮できます。
一流のアスリートや芸術家が「ゾーン」に入っている時、彼らは決して深刻ではありません。
極めて高い集中力の中にありながら、同時に深いリラックスと楽しさの中にいます。
瞑想は、私たちをその「ゾーン」へと導く練習でもあるのです。

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深刻さは、真実ではない

もし今、あなたが何かに対して深刻に悩み、夜も眠れないほど苦しんでいるのなら、どうかこのことを思い出してください。
「その深刻さは、真実ではない」と。
それは、あなたの脳(エゴ)が作り出した幻想であり、一時的な雲のようなものです。

瞑想の座布団の上は、安全地帯です。
そこでは、あなたは誰の期待に応える必要もありません。
何者かである必要もありません。
ただ座り、呼吸をする。
そのシンプルな行為の中に、絶対的な安心感が隠されています。

息を吸って、吐いて。
吐く息と共に、肩に乗っていた重い荷物を、一つずつ地面に下ろしていきましょう。
深刻さから離れたとき、そこには本来のあなたが持っていた、軽やかで、光に満ちたエネルギーが待っています。
人生は、深刻な顔をして耐え忍ぶものではなく、軽やかなステップで踊るための音楽なのですから。

お茶でも飲みながら、まずは一息つきませんか。
解決しようとするのをやめた時、問題は問題でなくなるのです。

ではまた。

 


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。