ヨーガスートラ:ヨガの根本教典 – 2000年の時を超えて輝く、心の解放への道

ヨガ概論・歴史

 

ヨーガスートラ:ヨガの根本教典 – 2000年の時を超えて輝く、心の解放への道

現代社会において、ヨガは身体を動かし、健康を促進する手段として、広く親しまれています。しかし、ヨガの本質は、単なるエクササイズやストレッチの枠を超え、はるかに奥深いものです。ヨガは、古代インドで体系化された、心身の統合と精神的な解放を目指す、実践的な哲学体系なのです。

そして、そのヨガの根本的な教えを、体系的にまとめ上げた経典こそが、『ヨーガ・スートラ』です。

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ヨーガ・スートラ:心の作用を静止させる智慧

『ヨーガ・スートラ』は、紀元前2世紀から紀元後4世紀頃に、伝説的な賢者 パタンジャリ によって編纂されたと伝えられています。全196の格言(スートラ)からなるこの経典は、ヨガのバイブルとも呼ばれ、2000年以上にわたり、世界中のヨガ実践者たちの指針となってきました。

パタンジャリは、『ヨーガ・スートラ』の中で、ヨガを次のように定義しています。

“yogaś citta-vṛtti-nirodhaḥ”

(ヨーガとは心の作用の静止である)

私たちの心は、常に揺れ動いています。思考、感情、記憶、欲望… これらの心の波は、私たちを翻弄し、苦しみへと導きます。そのように『ヨーガ・スートラ』では考えます。

『ヨーガ・スートラ』は、この心の波を静止させ、心の真の自由を獲得するための、実践的な道筋を示した経典なのです。

 

心のメカニズムを解き明かす:五つの心の作用

『ヨーガ・スートラ』は、まず、人間の心のメカニズムを分析するところから始まります。パタンジャリは、心の作用を、以下の五つに分類しました。

  1. プラマーナ (pramāṇa):正しい認識 – 知識、知覚、推論などを通して得られる、正しい情報

  2. ヴィパリヤーヤ (viparyaya):誤った認識 – 錯覚、思い込み、偏見などによる、誤った情報

  3. ヴィカルパ (vikalpa):想像 – 言葉や概念に基づく、現実には存在しないものについての思考

  4. ニドラー (nidrā):睡眠 – 意識が休眠している状態

  5. スムリティ (smṛti):記憶 – 過去の経験や情報の想起

これらの心の作用は、複雑に絡み合い、私たちの思考、感情、行動に影響を与えています。

そして、パタンジャリは、これらの心の作用を制御し、静止させることが、ヨガの目的であると説いたのです。

現代に生きる我々もこのような心のメカニズムで日々、翻弄されて感情的になったり苦しんだり悩んだりしていることは理解できることでしょう。

 

八支則:心の静寂を実現するための実践体系

次に八支則 を紹介します。『ヨーガ・スートラ』で最も重要な教えの一つが、「八支則 (aṣṭāṅga-yoga)」です。これは、心の静寂を実現し、解脱(悟り)へと至るための、8つの段階からなる実践体系です。

 

  1. ヤマ (yama):禁戒 – 倫理的な規範、社会との調和

    • アヒンサー(非暴力):あらゆる生命に対する慈悲

    • サティヤ(誠実):真実を語ること、正直に生きる

    • アステーヤ(不盗):盗まないこと、貪欲を捨てる

    • ブラフマチャリヤ(禁欲):エネルギーの保持と制御

    • アパリグラハ(不貪):必要以上のものを所有しない

  2. ニヤマ (niyama):勧戒 – 自己鍛錬、精神的な成長

    • シャウチャ(清浄):身体と心の浄化

    • サントーシャ(知足):現状に満足する

    • タパス(苦行):忍耐と鍛錬

    • スヴァディアーヤ(学習):聖典の学習、自己探求

    • イーシュヴァラ・プラニダーナ(神への帰依):すべてを神に委ねる

  3. アーサナ (āsana):坐法 – 安定した姿勢を保つこと

  4. プラーナーヤーマ (prāṇāyāma):呼吸法 – 呼吸をコントロールする

  5. プラティヤハーラ (pratyāhāra):制感 – 感覚器官を外に向けず、内側へと意識を向ける

  6. ダーラナー (dhāraṇā):集中 – 意識を一点に集中させる

  7. ディヤーナ (dhyāna):瞑想 – 集中が深まり、対象と一体となる状態

  8. サマーディ (samādhi):三昧 – 意識が超越した、悟りの境地

これらの八支則は、段階的に実践することで、心の浄化が進み、最終的にサマーディ(三昧)へと至るとされています。

 

ヨーガ・スートラ:現代社会に生きるための指針

『ヨーガ・スートラ』は、2000年以上前に書かれた経典ですが、その教えは、現代社会を生きる私たちにとっても、多くの示唆を与えてくれます。

ストレスや不安に満ちた現代社会において、ヨガは、心身の健康を促進するだけでなく、私たちが真の幸福へと至るための、実践的な道筋を示してくれるのです。

『ヨーガ・スートラ』は、単なるヨガの教科書ではありません。それは、人生をより豊かに、そして、意味のあるものにするための、普遍的な叡智の宝庫です。

ヨガの実践と『ヨーガ・スートラ』の学びを通して、あなたも、心の真の自由と解放を体験してみてはいかがでしょうか。

 

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ヨガの基本情報まとめの目次は以下よりご覧いただけます。

 


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。