多様なアプローチとしてのヨガ:現代社会に広がる、多彩なスタイルと進化

ヨガ概論・歴史

 

多様なアプローチとしてのヨガ:現代社会に広がる、多彩なスタイルと進化

「ヨガ」という言葉から、どんなイメージが浮かびますか?

ゆったりとした呼吸に合わせて、しなやかにポーズをとる姿?

瞑想を通して、静寂な境地に至る、精神的な修行?

それとも、鍛え抜かれた肉体美を競い合う、競技スポーツのようなもの?

現代社会において、ヨガは、驚くほど多様な顔を見せています。古代インドで生まれた、心身と精神を統合するための叡智体系は、時代を超え、国境を越え、人々のニーズや価値観に合わせて、柔軟に進化を遂げてきたのです。

まるで、色とりどりの花が咲き乱れる庭園のように、現代のヨガは、多様な流派やスタイルが百花繚乱となっています。身体的な鍛錬に重点を置くもの、精神的な探求を深めるもの、健康増進やリラクゼーションを目的とするもの…。

ヨガは、もはや、特定の型にはまったものではなく、一人ひとりの個性やライフスタイルに合わせて、自由に選択できる、パーソナルな実践へと変化していると言えるでしょう。多様なヨガスタイルを見ていきます。

 

1. 古典ヨガの系譜:伝統を受け継ぐ、ハタ・ヨーガ

ヨガの源流を辿ると、紀元前後にパタンジャリによって体系化された、「古典ヨガ」にたどり着きます。古典ヨガの教えは、ヨガのバイブルとも呼ばれる『ヨーガ・スートラ』にまとめられ、現代ヨガのあらゆる流派の基盤となっています。

そして、古典ヨガの実践体系を、より具体的に発展させたのが、「ハタ・ヨーガ」です。ハタ・ヨーガは、呼吸法(プラーナーヤーマ)、ポーズ(アーサナ)、浄化法(シャットカルマ)、瞑想などを組み合わせることで、心身に働きかけ、意識を高めていくヨガです。

現代でも、ハタ・ヨーガは、多くの流派の基礎となっており、初心者から経験者まで、幅広い層に親しまれています。ハタ・ヨーガという名前でのヨガクラスも多く見受けられます。

 

2. ダイナミックな流れ:アシュタンガ・ヨガやヴィンヤサ・ヨガ

力強く、流れるような動きが特徴の「アシュタンガ・ヨガ」は、1950年代に、パタビ・ジョイスによって体系化されました。アシュタンガ・ヨガは、太陽礼拝をベースとした、決められた順番のポーズを、呼吸と動きを連動させて行う、ダイナミックなヨガスタイルです。

「ヴィンヤサ・ヨガ」は、アシュタンガ・ヨガから派生した、より自由度の高いヨガスタイルです。呼吸と動きを連動させるという基本は共通していますが、決まったポーズの順番はなく、指導者によって、様々なバリエーションが展開されます。

EngawaYogaでお伝えしているBTYも大きくはヴィンヤサ・ヨガ流れを汲むものになります。

 

3. 静と動のバランス:陰ヨガとリストラティブヨガ

ゆったりとしたペースで、一つひとつのポーズをじっくりと深めていく、「陰ヨガ」は、近年、注目を集めているヨガスタイルです。陰ヨガは、筋肉ではなく、関節や結合組織に働きかけ、身体の柔軟性を高めると共に、心身をリラックスさせる効果も期待できます。

「リストラティブヨガ」は、ボルスターやブランケットなどのプロップス(補助具)を多用し、身体に負担をかけずに、深いリラクゼーションへと導くヨガスタイルです。シニアヨガなどの名前でも開催されており年配の方でも無理なく取り組めます。ストレスや疲労の軽減、睡眠の質向上、自律神経のバランスを整える効果などが期待できます。

 

4. 精神性を重視するヨガ:クンダリーニ・ヨガとラージャ・ヨーガ

「クンダリーニ・ヨガ」は、身体に眠る潜在的なエネルギー(クンダリーニ)を覚醒させることを目的とした、スピリチュアルなヨガスタイルです。呼吸法、マントラ、瞑想などを組み合わせ、チャクラ(エネルギーの交差点)を活性化することで、意識を高め、自己変容を促します。

「ラージャ・ヨーガ」は、「ヨガの王道」とも呼ばれ、瞑想と心の制御に重点を置くヨガです。パタンジャリの『ヨーガ・スートラ』で説かれる八支則に基づき、心の作用を静止させ、解脱(悟り)を目指す、伝統的なヨガです。多くのヨガは「ラージャ・ヨーガ」の一部の実践と解釈することもできますが、あくまでも八支則に基づき実践するのが「ラージャ・ヨーガ」であり、目的が解脱でありますので、普通のスタジオでは受講できないタイプのヨガではあります。

 

5. 現代社会のニーズに応える:ヨガセラピーとマインドフルネスヨガ

「ヨガセラピー」は、ヨガのポーズ、呼吸法、瞑想などを用いて、心身の不調を改善し、健康を促進する、統合的なアプローチです。ストレス、不安、うつ病、慢性疼痛、不眠症など、様々な症状に対して、効果が期待されています。

「マインドフルネスヨガ」は、ヨガのポーズを行いながら、呼吸や身体の感覚に意識を集中することで、「今、ここ」に意識を present することを目的としたヨガスタイルです。雑念を手放し、心を穏やかにすることで、ストレス軽減効果や集中力向上効果が期待できます。ある意味ではすべてのヨガがマインドフルネスヨガであると言えますが、もともとはマインドフルネスはサティ(念)という仏教用語から来ており、出自がインドとなります。そもそもヨガの実践の中に「マインドフルネス」は含まれているので、マインドフルネスヨガというのはあまり良い名前とは言えません。

 

多様性の中に、ヨガの本質を見出す

このように、現代のヨガは、実に多様化しており、そのスタイルやアプローチは、枚挙にいとまがありません。しかし、その根底には、古代から受け継がれてきた、ヨガの普遍的な理念が流れています。

それは、心と身体、そして精神の調和を図り、より健やかで、幸せな人生を送るための、実践的な智慧です。

どのヨガスタイルを選ぶかは、個人の好みや目的、ライフスタイルによって異なります。重要なのは、自分に合ったヨガを見つけ、楽しみながら、継続していくことです。

ヨガは、決して、完璧なポーズをとることや、他者と比べることではありません。自分自身の内側に意識を向け、心身と向き合い、自己成長を促す、それがヨガの本質です。

多様なアプローチを通して、あなたもヨガの世界を探求し、その奥深さを体験してみてはいかがでしょうか。

 

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ヨガの基本情報まとめの目次は以下よりご覧いただけます。

 


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。