抵抗こそがエゴである【抵抗をエゴと呼ぶ】

スピリチュアル

ヨガを推奨しております。
それは、ヨガがポーズをとる体操ではなく、生きることそのものを楽にする智慧だからです。
人生において、私たちが感じる苦しみのほとんどは、実は出来事そのものではなく、その出来事に対する私たちの反応から生まれています。
その反応の正体こそが、「抵抗」です。

今日は、ヨガ哲学における最も重要なテーマの一つ、「抵抗(Resistance)」と「エゴ(Ego)」の関係について、少し深く、静かに掘り下げてみたいと思います。

 

「嫌だ」と思った瞬間、エゴが生まれる

朝、目が覚めて雨が降っていたとします。
その事実は、ただの気象現象であり、中立です。
しかし、私たちが「うわ、最悪だ。駅まで濡れるのが嫌だな」と思った瞬間、そこに苦しみが生まれます。
「雨が降っている」という現実に対して、「降るべきではない(あるいは晴れていてほしい)」という「抵抗」が生じたからです。

この「現実に対して『NO』を突きつけるエネルギー」、これこそがエゴの正体です。
エゴとは、何か固定的な実体があるわけではなく、「これは嫌だ」「あれが欲しい」「こうあるべきだ」という、現実への抵抗の動きそのものなのです。
逆に言えば、抵抗がなければエゴは存在できません。
雨が降っているという事実に対して、ただ「雨が降っているな」と完全に受容しているとき、そこに「雨を嫌がっている私(エゴ)」はいません。ただ、雨と共にある意識があるだけです。

 

現代社会は「抵抗」を推奨する

しかし、現代社会は私たちに猛烈な勢いで「抵抗すること」を推奨してきます。
「現状に満足するな」「もっと上を目指せ」「アンチエイジング(老いへの抵抗)」「病気との戦い」「ストレス社会に負けるな」
これらはすべて、「今のままの現実ではダメだ」というメッセージです。
私たちは幼い頃から、現状を否定し、より良い未来を勝ち取るために努力することが美徳だと教え込まれてきました。

もちろん、より良くあろうとする意欲は大切です。
しかし、その原動力が「今の自分への否定(抵抗)」である限り、私たちは決して満たされることはありません。
なぜなら、抵抗のエネルギーは摩擦を生み、心身を疲弊させるからです。
現代人が抱える慢性的な疲労感や、原因不明の不調の多くは、24時間365日、無意識に何かに抵抗し続けていることによるエネルギー漏れではないでしょうか。
「まだ足りない」「もっと急がないと」
その焦燥感こそが、エゴが囁く抵抗の声なのです。

 

川の流れに逆らって泳いでいないか

人生を大きな川の流れに例えてみましょう。
私たちは皆、その川に浮かんでいます。
ヨガ的な生き方(サレンダー=委ねる生き方)とは、力を抜いて仰向けになり、川の流れに身を任せて海へと運ばれていくことです。
景色を眺め、時には流れてくる果物を味わいながら。

一方、エゴ的な生き方とは、必死に上流に向かって泳ごうとすることです。
あるいは、岩にしがみついて「流されたくない!」と踏ん張ることです。
「あっちに行きたいのに、こっちに流されるなんて許せない!」と川に向かって文句を言っている状態です。
当然、体力は消耗し、溺れそうになります。苦しいのは、川が悪いからではなく、あなたが流れに「抵抗」しているからです。

「でも、流されるがままでは堕落してしまうのでは?」
エゴは必ずそう反論します。
しかし、委ねることは怠惰ではありません。
自分の小さな意志(エゴの計画)を手放し、もっと大きな意志(宇宙の計画、あるいはタオ)を信頼するという、非常に勇気のいる能動的な行為です。
抵抗をやめたとき、私たちは初めて、人生が本来連れて行ってくれようとしていた場所へと、スムーズに運ばれ始めるのです。

 

すべての苦しみは「あるがまま」への抵抗から

スピリチュアルな視点で見れば、私たちの魂が経験するすべての出来事には意味があります。
病気も、別れも、失敗も、すべては魂の成長のために配置されたカリキュラムです。
それなのに「こんなことは起きるべきではなかった」と抵抗することは、せっかくの学びの機会を拒絶することになります。

ヨガ哲学には「サントーシャ(知足)」という教えがあります。
これは「我慢して満足する」ことではありません。
「今、起きていること」に対して抵抗せず、完全にイエスと言うことです。
どんなにネガティブに見える状況でも、抵抗をやめて完全に受け入れた瞬間、その状況が持つ質的な変化が起こります。
苦しみが、静寂に変わるのです。
エゴが消滅し、ただ「観る者(プルシャ)」としての視点が立ち上がるからです。

 

抵抗を手放す練習

では、どうすればこの頑固な抵抗癖を手放せるのでしょうか。
まずは、自分の内側にある「抵抗」に気づくことです。
日常の些細な瞬間に、それは隠れています。

  • 信号が赤になったときのイライラ(待つことへの抵抗)
  • 他人の何気ない一言へのカチンとくる反応(批判への抵抗)
  • 自分の体型や性格へのダメ出し(自分自身への抵抗)
  • ヨガのポーズで「痛い、苦しい」と感じる瞬間の力み(感覚への抵抗)

 

イライラや不快感を感じたら、それは「あ、今、私は現実に抵抗しているな」というサインです。
そのことに気づくだけで、エゴの力は半分以下になります。
そして、深呼吸を一つ。
吐く息と共に、握りしめていた拳を開くように、抵抗を空へと手放していく。
「ま、いいか」「これが今の現実だ」と認めてしまう。

ヨガマットの上は、この練習をするための実験室です。
きついポーズの中で、身体のこわばり(抵抗)に気づき、呼吸でそれを解いていく。
その身体的な感覚(ソマティックな体験)が、日常の精神的な抵抗を手放すための土台を作ってくれます。

 

終わりに:最強の生き方

抵抗しない人は、最強です。
なぜなら、戦っていないからです。
戦わなければ、負けることもありません。
柳の枝のように、雪が積もればしなり、風が吹けば揺れる。
しかし、決して折れることはない。

抵抗こそがエゴであると知り、その抵抗を手放していくこと。
それは、弱くなることではなく、世界と調和し、無限のエネルギーを味方につけることです。
肩の力を抜いて、人生という川の流れを、もう少しだけ信頼してみませんか。
そこには、エゴが計画していたよりもずっと面白い景色が、きっと広がっているはずですから。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。