感謝は、魔法の杖である。「足りない」世界を「満ちている」世界に変える技術

自己啓発

ヨガを推奨しております。
前回は「待つこと」についてお話ししましたが、今回はもう少し内側の世界、私たちの心のレンズについてお話ししたいと思います。
テーマは「サントーシャ(知足)」と「感謝」の関係性についてです。

「もっとお金があれば」「もっと広い家に住めれば」「もっとスタイルが良ければ」。
私たちは無意識のうちに、「今の自分には何かが欠けている」という前提で世界を見ています。
この「欠乏のマインドセット(Scarcity Mindset)」が、私たちを終わりのない消費競争や、自己否定のループへと駆り立てます。
どんなに手に入れても、すぐに次の「欲しい」が現れ、渇きが癒えることはありません。
まるで、底の抜けたバケツに水を注ぎ続けているようなものです。

ヨガの教え(ニヤマ)にある「サントーシャ(知足)」は、この底の抜けたバケツを修復する唯一の方法です。
「足るを知る」。
言葉にするのは簡単ですが、欲望を刺激し続ける現代社会でこれを実践するのは、至難の業のように思えます。

しかし、実はとてもシンプルで強力な「魔法の杖」があります。
それが「モノへの感謝」です。

 

モノは単なる物質ではない

私たちは普段、身の回りのモノを「道具」として、あるいは「当たり前の風景」として扱っています。
蛇口をひねれば水が出る。スイッチを押せば電気がつく。クローゼットには服がある。
しかし、少し想像力を働かせてみてください。

そのコップ一杯の水があなたの手元に届くまでに、どれほどの自然の循環と、人々の労力が関わっているか。
その一枚のシャツが作られるまでに、どれほどの素材と、デザインと、縫製の工程があったか。
すべてのモノは、凝縮されたエネルギーと物語の結晶です。
そして、それらは今、あなたの生活を支えるために、そこに存在してくれています。

 

「ある」ものに光を当てる

「感謝する」とは、意識のスポットライトを「ない」ものから「ある」ものへと切り替える行為です。
「新しい服がない」と嘆く代わりに、「今、私を温めてくれているこの服がある」ことに意識を向ける。
「広いキッチンがない」と嘆く代わりに、「今日のご飯を作れる場所がある」ことに意識を向ける。

試しに、今日一日、自分が使うすべてのモノに心の中で「ありがとう」と呟いてみてください。
朝起きて、布団に「温めてくれてありがとう」。
歯ブラシに「歯をきれいにしてくれてありがとう」。
電車に「運んでくれてありがとう」。

これを続けていくと、不思議な感覚の変化が訪れます。
世界が、自分を応援してくれているような感覚。
自分が、とてつもなく多くの恵みに囲まれて生きているという実感。
これが「サントーシャ」の正体です。
状況が変わったわけではありません。通帳の残高が増えたわけでもありません。
しかし、あなたの心のレンズが変わったことで、世界は「不足の世界」から「充足の世界」へとパラレルシフトしたのです。

 

モノとの関係性が変わると、自分との関係性も変わる

モノを大切に扱い、感謝することは、自分自身を大切にすることと同義です。
雑に扱われたモノに囲まれて暮らすことは、自分を雑に扱うことです。
逆に、一つひとつのモノに敬意と感謝を持って接するとき、その丁寧な意識はブーメランのように自分自身へと返ってきます。
「私は、大切にされる価値のある人間だ」という自己肯定感が、静かに、しかし確実に育まれていきます。

 

感謝は波動を高める最強のツール

スピリチュアルな視点で見ても、感謝(ありがとう)の波動は、最も高い周波数の一つだと言われています。
「足りない」という低い波動(恐怖や不安)を発していると、さらなる欠乏を引き寄せます。
しかし、「ありがとう」という高い波動(愛や喜び)を発していると、さらなる豊かさが共鳴して引き寄せられます。

サントーシャは、我慢することや、諦めることではありません。
「今、すでに十分である」という圧倒的な安心感の土台の上に立つことです。
その土台があって初めて、私たちは枯渇感からではなく、溢れ出る喜びから、次のステップへと進むことができるのです。

今、目の前にあるそのスマホやパソコンに。
そして、それを操作しているあなたの健康な指先に。
まずは「ありがとう」と言ってみませんか。
そこから、あなたの豊かな世界が始まります。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。