捨てることは「アパリグラハ(不貪)」の実践である【ミニマリストゲーム】

自己啓発

ミニマリストゲームの実践において、最初の、そして最も重要な精神的基盤となるのが、この「アパリグラハ(Aparigraha)」という概念です。
ヨガを深めている方なら一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、これはヨガの八支則における「ヤマ(禁戒)」、つまり日常生活で慎むべきことの5つ目にあたります。
日本語では「不貪(ふどん)」や「不所有」と訳されます。

「貪(むさぼ)らない」こと。
必要以上のものを所有しないこと。
そして何より、「執着しない」こと。

ミニマリストゲームでモノを捨てる行為は、単なる部屋の掃除ではありません。
それは、私たちの心にこびりついた「執着」という垢を落とし、アパリグラハの精神を肉体レベルで実践する、神聖な儀式なのです。

 

所有は「エネルギーの借金」である

私たちは無意識のうちに、「持っていれば持っているほど豊かである」という資本主義の刷り込みの中で生きています。
しかし、ヨガ的なエネルギーの観点から見ると、真実は逆であることも多いのです。

すべての物質はエネルギーを持っています。
そして、あなたが所有しているモノは、あなたの意識(エネルギー)を常に微量ながら消費し続けています。
「メンテナンスしなきゃ」「場所を取るな」「いつか使うかも」「高かったのにな」……。
モノへの執着は、見えないコード(線)となってあなたとモノを繋ぎ、あなたの生命エネルギーを吸い取っているのです。

つまり、不要なモノを大量に所有することは、エネルギー的な「借金」を背負っているようなものです。
アパリグラハの実践としてモノを手放すことは、このコードを断ち切り、漏れ出ていたエネルギーを自分自身に取り戻す作業と言えます。

 

「捨てる痛み」こそが修行

ミニマリストゲームを始めると、必ず「捨てる痛み」に直面します。
「まだ使えるのに」「思い出があるのに」「人からもらったのに」。
エゴ(自我)は、あの手この手で捨てるのを阻止しようと抵抗します。
なぜなら、エゴは「所有物=自分自身」だと錯覚しているため、モノを失うことを「自分が損なわれること」だと感じるからです。

しかし、この痛みこそが、ヨガの修行(タパス)です。
痛みから逃げずに、直視してください。
「私は今、何に執着しているのだろう?」
「なぜ、これを手放すのが怖いのだろう?」

その問いの先には、将来への不安や、過去への未練、他人からの承認欲求など、自分の心の内側にある本当の課題が見えてきます。
その課題に気づき、「ありがとう、さようなら」と手放せた時、あなたはモノだけでなく、心の中の重たい感情も同時にリリース(解放)したことになります。

 

空いたスペースに流れる「気」

アパリグラハを実践し、物理的なスペースが空くと、そこには新鮮な「気(プラーナ)」が流れ込みます。
風通しの良い部屋は、風通しの良い心を作ります。
執着を手放した心は、コップの水が空になった状態と同じです。
空だからこそ、新しい水(インスピレーション、出会い、チャンス)を注ぐことができるのです。

ミニマリストゲームで日々モノを減らしていく過程は、自分自身を透明にしていく過程でもあります。
欲張らず、抱え込まず、ただ必要なものだけで軽やかに生きる。
そのシンプルさの中にこそ、ヨガが目指す「サントーシャ(知足)」――今あるもので完全に満たされているという至福――が待っています。

まずは今日、たった一つで構いません。
あなたのエネルギーを奪っている「執着の塊」を手放してみませんか?
その小さなアパリグラハの実践が、人生を大きく変える最初の一歩になるはずです。

 


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。