DAY 8 | 「高かったから」という幻想:サンクコストの罠から、自由になる

自己啓発

「過去の亡霊に、現在の家賃を払う」

ミニマリストゲームの第二週が始まりました。最初の週で、あなたは「手放す」という行為のリズムを身体で覚え、明らかな不要品を生活から取り除く爽快さを味わったかもしれません。しかし、今日から私たちは、より手ごわい、目に見えない敵と対峙することになります。それは、モノそのものではなく、私たちの心の中に深く根ざした「執着」という名の、内なる抵抗勢力です。

その抵抗勢力の中でも、最も強力で、最も論理的な仮面を被って現れるのが、「高かったから、もったいない」という声です。一度は憧れて、勇気を出して手に入れた高価な服。奮発して購入したものの、使いこなせていない最新のガジェット。それらを前にしたとき、私たちの手はぴたりと止まります。手放すという選択は、過去の自分の決断が「間違いだった」と認めるような、痛みを伴う行為に感じられるからです。

しかし、ミニマリストへの道は、この痛みを直視し、その正体を見極めることから始まります。「高かったから」という一見すると正当な理由は、実は、私たちを現在の自由から縛り付け、未来の可能性を奪う、巧妙な心理的な罠なのです。今日、私たちは8つのモノと共に、この「サンクコスト(埋没費用)」という名の幻想を、静かに手放していきます。

 

サンクコストの呪縛:なぜ私たちは、過去に囚われるのか

経済学や心理学の世界で、「サンクコスト・ファラシー(埋没費用の誤謬)」として知られる認知バイアスがあります。これは、「すでに投下してしまい、回収不可能なコスト(サンクコスト)を惜しむあまり、その後の合理的な意思決定ができなくなる」という、人間の不合理な傾向を指します。

例えば、期待外れの映画を、入場料がもったいないからという理由で、最後まで観続けてしまう。採算が取れないとわかっている事業から、これまでの投資を無駄にしたくない一心で、撤退できずに損失を拡大させてしまう。これらはすべて、サンクコストの罠に陥っている典型的な例です。

これを、私たちのモノとの関係に置き換えてみましょう。あなたが過去に支払ったお金は、そのモノを購入した瞬間に、すでにあなたの手から離れています。そのコストは、もう二度と戻ってはきません。それにもかかわらず、私たちは、その過去の出費を「正当化」するために、現在、そして未来にわたって、そのモノを所有し続けるという「コスト」を支払い続けてしまうのです。

ここでいうコストとは、お金だけではありません。
– 空間のコスト:そのモノが占有する、あなたの貴重な居住スペース。
– 精神のコスト:それを見るたびに感じる、かすかな罪悪感や、「使わなければ」というプレッシャー。
– 時間のコスト:それを管理し、手入れし、心の片隅で気にかけ続ける、目に見えない時間。

ヨガ哲学の観点から見れば、これは過去の行為の記憶痕跡である「サムスカーラ(Samskara)」に、心が強く囚われている状態です。過去の「投資」というサムスカーラが、現在の自由な判断を曇らせ、「手放す=損失」という誤った等式を、私たちに信じ込ませているのです。

 

価値の再定義:所有は資産ではなく、負債である

この呪縛から自由になるための、最も効果的な方法は、視点を180度転換させることです。つまり、手放すことを「損失」と捉えるのではなく、むしろ、未来永劫支払い続けるはずだったコストから解放される「利益」であると、捉え直すのです。

使っていない高価なバッグは、あなたの資産ではありません。それは、あなたのクローゼットの一角に家賃を払い続け、あなたの心に静かな重圧をかけ続ける、「負債」なのです。その負債を手放す決断は、過去の自分を否定する行為ではありません。むしろ、過去の判断の過ちから学び、これからの自分を、より賢明で、より自由な道へと導くための、最も勇気ある自己肯定の行為と言えるでしょう。

過去のあなたは、その時点での最善の判断で、そのモノを選んだのです。その経験には、価値があります。しかし、今のあなたにとって、それがもはや不要なのであれば、その役割は終わったのです。過去の自分に感謝と共に別れを告げ、現在の自分にとって、本当に価値のあるものに、空間と、時間と、精神のエネルギーを再配分する。それこそが、ミニマリストとしての、誠実な生き方です.

 

今日のゲーム:8つの経済的自由を手に入れる

さあ、今日のゲームを始めましょう。今日のターゲットは、あなたの家の中で、「高かったから」という理由だけで、生き長らえている8つのモノたちです。

クローゼット、棚、引き出しの中を探してみてください。値札が付いたままの服、一度しか使わなかった専門的な調理器具、思ったような効果が得られなかった美容器具。それらを一つ一つ手に取り、静かに問いかけてみてください。

「もし今日、私がこれと初めて出会ったとして、同じ金額を払って、これを家に迎え入れるだろうか?」

答えが「ノー」であれば、それが、あなたが手放すべきモノです。そのモノを手放すとき、あなたは、単に物体を処分しているのではありません。あなたは、過去の経済的な決断の呪縛から、現在の自分を解放しているのです。一つ手放すたびに、あなたは、少しだけ経済的に、そして精神的に自由になります。

今日手放す8つのモノは、あなたがミニマリストとして、より大きな自由へと向かうための、力強い宣言となるでしょう。過去は、私たちの師ではあっても、私たちの主人であってはならない。その静かな真実を、モノとの対話を通して、深く、身体で学んでいく。それこそが、ミニマリストゲーム第二週の、本当の目的なのです。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。