DAY 12 | 服が語る、偽りの自分:「なりたい私」ではなく、「今の私」を選ぶ

自己啓発

「クローゼットという名の、自己イメージの劇場」

ミニマリストゲーム12日目。私たちの旅は、クローゼットという、極めて個人的で、そして象徴的な空間へと、足を踏み入れます。クローゼットは、単に衣類を収納する場所ではありません。そこは、私たちの自己イメージ、願望、そして、目を背けたい現実が、静かに、しかし雄弁に陳列された、プライベートな劇場なのです。

そこには、「いつか痩せたら着る服」という、未来の理想の自分へのチケットが眠っています。そこには、「特別な日に着るための服」という、訪れるかどうかもわからない、非日常への期待が掛けられています。そこには、「かつて似合っていた服」という、過ぎ去った若さや栄光への、ほろ苦いノスタルジーが漂っています。そして、「流行っているから買った服」という、他者の評価を求める、社会的な自分への同調が、ひっそりと佇んでいます。

これらの服は、すべて、ある種の「偽りの自分」を、演じるための衣装です。それらは、「今の、ありのままの自分」ではなく、過去の自分、未来の自分、あるいは、他者から見た自分を、語りかけてきます。そして、これらの衣装で溢れかえったクローゼットを開けるたびに、私たちは、無意識のうちに、本当の自分との間に、微かな、しかし確実なズレを感じ、疲弊していくのです。

ミニマリストになる、ということ。それは、この自己イメージの劇場を、一度、更地に戻す作業です。そして、そこに、過去でも未来でもない、「今の私」が、心から喜びを感じ、最も輝ける、選び抜かれた衣装だけを、再び招き入れること。今日、私たちは12枚の服と共に、この偽りの自分を演じるための、重い衣装を、一枚、また一枚と、脱ぎ捨てていきます。

 

服と自己の、不健康な同一化

なぜ、私たちは、着もしない服を、これほどまでに手放せないのでしょうか。それは、私たちが、服を、単なる「身体を覆う布」以上のもの、すなわち、「自己のアイデンティティの一部」として、深く、そして不健康に、同一化してしまっているからです。

「痩せたら着る服」を手放すことは、痩せることを諦めた、という敗北宣言のように感じられます。高級ブランドの服を手放すことは、自分がそのステータスにふさわしくない人間だと、認めることのように思えます。かつて愛用していた服を手放すことは、その時代の輝かしい自分と、決別する儀式のように、痛みを伴います。

私たちは、服という「モノ」を通して、自分自身の価値を測り、自己の物語を、自分自身に、そして他者に、語り続けているのです。この構造に無自覚である限り、私たちのクローゼットは、常に、現実の自分と、理想の自分との間の、ギャップを埋めるための、願望の器であり続けます。そして、そのギャップは、決して埋まることがないため、私たちのクローゼットは、永遠に、満杯のままなのです。

ヨガ哲学には、「アスミター(Asmita)」という概念があります。これは、純粋な意識である真我(プルシャ)が、心や身体といった、移ろいゆく自己の構成要素と、誤って自己同一化してしまうことによって生じる、苦しみの根源(クレーシャ)の一つです。私たちが服と自己を同一化してしまうのも、このアスミターの一つの現れと見ることができます。私たちは、移ろいゆくファッションや、変化する身体という「道具」と、本来の自分自身の価値とを、混同してしまっているのです。

ミニマリストのクローゼットが、なぜ、あれほどまでに静かで、美しいのか。それは、そこにある服が、持ち主の「道具」として、明確に、そして謙虚に、その役割を果たしているからです。服は、主人である「今の私」を、快適にし、美しく見せ、その活動をサポートするために存在している。決して、服が主人となり、持ち主に、「こうあるべきだ」と、無言のプレッシャーを与えることはないのです。

 

「今の私」を、最高に輝かせるという選択

では、どうすれば、この偽りの自分を語る服から、自由になれるのでしょうか。その鍵は、判断の基準を、過去や未来から、徹底的に「今、この瞬間」へと、引き戻すことにあります。

クローゼットの中の服を一枚手に取り、自らに、こう問いかけてみてください。

「もし、今日が、人生で最高の一日だとしたら。私は、この服を着て、その一日を過ごしたいだろうか?」
「この服は、『今の私の身体』を、美しく見せ、心地よくしてくれるだろうか?」
「この服は、『今の私のライフスタイル』に、本当に合っているだろうか?」
「この服を着ると、私の心は、本当に、ときめき、自信が湧いてくるだろうか?」

これらの問いに、少しでも、ためらいや、言い訳が生まれるとしたら。それは、あなたが手放すべき服の、明確なサインです。

このプロセスは、時に、厳しい現実を、私たちに突きつけます。太ってしまった自分の身体、変化してしまったライフスタイル、もはや戻ることのない過去。しかし、その現実を、静かに、そして優しく受け入れることこそが、真の自己受容への、第一歩なのです。過去の幻影や、未来の幻想にしがみつくのをやめ、不完全で、しかし、かけがえのない「今の自分」を、全面的に肯定する。そして、その「今の自分」を、最高に輝かせるための服だけを、選び抜く。それは、何よりもパワフルな、自己愛の実践と言えるでしょう。

 

今日のゲーム:12の偽りの自己を脱ぎ捨て、本当の自分に出会う

さあ、あなたの劇場の幕を開け、今日のゲームを始めましょう。クローゼットの中から、12枚の、「今のあなた」ではない、誰かを演じるための服を、見つけ出してください。

サイズが合わなくなった服、何年も着ていない服、着ていても、どこか落ち着かない服、誰かに良く思われるために買った服。それらを、一枚ずつ、丁寧に畳みながら、その服が象徴していた、過去の、あるいは未来の自分に、感謝と共に、別れを告げます。

「理想の私を夢見させてくれて、ありがとう。でも、私はもう、今の私を生きることに決めました。」

このゲームを終えたとき、あなたのクローゼットには、物理的な「余白」が生まれているはずです。しかし、それ以上に、あなたの心の中に、自己イメージの混乱から解放された、静かで、クリアな空間が広がっていることに、あなたは気づくでしょう。

服は、私たちを隠すための鎧ではなく、私たちを表現するための、美しいキャンバスであるべきです。今日、あなたが脱ぎ捨てる12の偽りの自己は、本当のあなたが、より自由に、そして鮮やかに、そのキャンバスに描かれるための、素晴らしい始まりとなるのです。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。