DAY 23 | 時間のミニマリズム:「すべきこと」から、「したいこと」中心の人生へ

自己啓発

「見えない最大の所有物、To-Doリスト」

22日間にわたる実践を通じて、あなたの物理的な空間には、静かで、広々とした「余白」が生まれてきたことでしょう。しかし、私たちの生を窮屈にしているのは、目に見えるモノだけではありません。むしろ、現代人にとって、より深刻な圧迫感をもたらしているのは、目には見えない、しかし常に私たちの思考を支配している、ある所有物です。それは、「時間」、そしてその使い方を規定する、「To-Doリスト(すべきことのリスト)」です。

私たちは、朝から晩まで、この見えないリストに追われています。仕事のタスク、家庭の義務、自己啓発の目標。リストの項目を一つ一つ消していくことに、達成感と安心感を覚える一方で、そのリストが尽きることは決してなく、私たちは常に何かに追われているという、漠然とした焦燥感から逃れることができません。

モノのミニマリズムが、物理的な空間に自由をもたらしたように、「時間のミニマリズム」は、私たちの内なる世界に、真の解放感をもたらします。今日は、この28日間の旅で培った「手放す」という技術を、私たちの最も貴重で、有限な資産である「時間」へと応用する、決定的な一日です。それは、「すべきこと」という外部からの命令に支配された人生から、「したいこと」という内なる衝動に導かれる、より誠実で、喜びに満ちた人生へと、舵を切り直すための、静かな革命なのです。

 

生産性という名の、現代の呪縛

私たちが「すべきこと」にこれほどまでに囚われる背景には、近代社会が絶対的な善としてきた、「生産性」という価値観があります。時間を無駄にせず、効率的に多くのことを成し遂げること。それが、価値ある人間の証であると、私たちは幼い頃から、無意識のうちに刷り込まれてきました。その結果、私たちは、何もしない時間、目的のない時間に、深い罪悪感や不安を感じるようになってしまったのです。

To-Doリストは、この生産性という名の宗教における、日々の祈りのようなものです。それを遂行することで、私たちは「自分はちゃんとやっている」という免罪符を手に入れ、何もしないことへの不安から、一時的に逃れることができます。しかし、その代償として、私たちは、人生から、極めて大切なものを失っています。それは、効率や生産性では決して測ることのできない、生の豊かさそのものです。

例えば、目的もなく、ただ気の向くままに散歩をする時間。友人との、結論の出ない、とりとめのないお喋り。ふと窓の外を眺め、雲の流れをぼんやりと見つめる瞬間。これらはすべて、生産性の観点から見れば、「無駄」な時間として切り捨てられるべきものかもしれません。しかし、こうした「余白」の時間にこそ、予期せぬインスピレーションが訪れ、心の滋養が育まれ、生きる喜びが、静かに満ちてくるのではないでしょうか。

ヨガ哲学は、心の働きを三つの性質「グナ(Guna)」で説明します。その一つである「ラジャス(Rajas)」は、活動性、激しさ、情熱を司ります。生産性を追い求める心は、このラジャスが過剰になった状態です。常に動き続け、何かを達成しようと駆り立てられる心は、やがて疲弊し、燃え尽きてしまいます。時間のミニマリズムとは、この過剰なラジャスを手放し、心の状態を、静けさ、調和、純粋性を司る「サットヴァ(Sattva)」へと、意識的に導いていく実践なのです。

 

「すべきこと」の正体を、見破る

時間のミニマリズムを実践する第一歩は、私たちが抱えている無数の「すべきこと」の正体を、冷静に見つめ直すことから始まります。それらは本当に、私たちが「すべき」ことなのでしょうか。

1. 他者の期待という名の「すべきこと」
「親をがっかりさせないために」「上司に認められるために」「社会人として、こうあるべきだから」。私たちのTo-Doリストの多くは、自分自身の内なる欲求からではなく、他者の期待や、社会的なプレッシャーに応えようとする、他者軸の義務で埋め尽くされている場合があります。

2. 過去の約束という名の「すべきこと」
かつて、自分が「これをやる」と決めたこと。しかし、時が経ち、状況や自分自身の気持ちは変化しているにもかかわらず、過去の自分との約束に縛られ、惰性で続けていることはないでしょうか。私たちは、過去の自分に対して、不必要な義理立てをしているのかもしれません。

3. 不安を埋めるための「すべきこと」
将来への漠然とした不安から、「何かをしていないと落ち着かない」という理由だけで、手当たり次第にタスクを詰め込んでいないでしょうか。忙しくしていることで、私たちは、本当に向き合うべき、自分自身の内なる空虚さから、目を背けているのかもしれません。

これらの「すべきこと」は、ミニマリストゲームで手放してきた、使わないのに場所だけ取っているモノたちと、本質的には同じです。それらは、私たちの貴重な時間とエネルギーを、静かに、しかし確実に、奪い去っていくのです。

 

「したいこと」で、一日を満たすための実験

今日、あなたに提案したいのは、一日限定の、ラディカルな実験です。

1. To-Doリストを、白紙にする
まず、いつも書いているTo-Doリストを、今日は書かない、と決めてください。あるいは、もし既に書いてしまったのなら、それを静かに破り捨てます。これは、あなたが、時間の支配者から、主権者へと移行するための、象徴的な儀式です。

2. 内なる声に、耳を澄ませる
そして、白紙になった一日の前に立ち、自分自身の心に、静かに問いかけてみてください。「今日、私が、本当に、心から『したい』ことは、何だろうか?」と。それは、壮大な目標である必要はありません。「美味しいコーヒーを、ゆっくり淹れたい」「好きな音楽を、ただ聴きたい」「公園のベンチで、ぼーっとしたい」。どんなにささやかなことでも構いません。

3. 「したい」ことから、一日を始める
そして、その日一日は、その内側から湧き上がってきた「したい」という衝動に導かれるままに、過ごしてみるのです。もちろん、どうしてもやらなければならない最低限の義務はあるでしょう。しかし、それ以外の時間は、すべて、この「したい」という感覚を、羅針盤としてみてください。

この実験は、最初は、強い抵抗感や罪悪感を伴うかもしれません。しかし、その不快感の先に、あなたは、これまで味わったことのないような、深い解放感と、内側から湧き上がるような、静かなエネルギーを感じるはずです。

時間のミニマリズムとは、スケジュールを空っぽにすることではありません。それは、他者や過去や不安によって埋められていた自分の時間を、自分自身の、純粋な「意志」と「喜び」で、再び満たし直していく、創造的なプロセスです。モノを減らした先に広がる空間に、本当に大切な家具だけを置くように。時間の余白の中に、あなたの魂が本当に喜ぶ瞬間を、一つ一つ、丁寧に配置していく。それこそが、ミニマリズムが私たちに示す、最も豊かで、自由な時間の使い方なのです。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。