174.アートや音楽で感情を表現する

自己啓発

私たちの内側には、言葉という網では到底すくい上げることのできない、広大で混沌とした感情の海が広がっています。「悲しい」「嬉しい」「腹が立つ」――私たちが日常的に使う言葉は、その海の表面に浮かぶ、ごく一部の漂着物にすぎません。言葉は世界を分節し、理解可能なものにしてくれる便利な道具ですが、その一方で、名付けようのない複雑な感情のニュアンスや、身体の奥深くで渦巻くエネルギーのうねりを、削ぎ落としてしまうという宿命も持っています。

ヨガの道は、この言語化以前のリアリティ、身体感覚や感情の生々しい手触りを取り戻す旅でもあります。アーサナを通して、言葉にならない身体の声を聴くように、私たちは、言葉にならない心の声にも耳を澄ます必要があります。そして、その声を外の世界に解き放つための最もパワフルな通路となるのが、アートや音楽といった非言語的な表現活動なのです。

これは、単なる気晴らしや趣味の話ではありません。タントラやバクティ・ヨガの伝統において、歌や踊り、楽器の演奏(キールタンやバジャン)は、神へと至る神聖な道そのものでした。それは、個人的な感情の吐露を超え、個(アートマン)が全体(ブラフマン)へと溶け込んでいくための、献身的な祈りの行為だったのです。また、チベット仏教のマンダラ制作は、宇宙の縮図を砂で描き、完成した瞬間にそれを破壊することで、創造と無常という宇宙の真理を体現する、深遠な瞑想の実践です。ここでの表現は、「上手いか下手か」「美しいか醜いか」という二元的な評価からは完全に自由です。大切なのは、表現のプロセスそのものに没入し、自我が消え去る体験をすることなのです。

私たちは、表現というと「他者に何かを伝えること」と考えがちです。しかし、より根源的には、表現とは「自分自身が、自分の内にあるものを知るため」の行為ではないでしょうか。理由のわからないモヤモヤを抱えているとき、ただ無心に粘土をこねてみる。すると、その形を通して、自分が何に怒り、何を恐れていたのかが、不意に明らかになることがあります。喜びで胸がいっぱいになったとき、その気持ちを即興でピアノを弾いてみる。すると、そのメロディは、言葉で「嬉しい」と百回言うよりも、その喜びの本質をあなた自身に教えてくれるでしょう。

アートや音楽による表現は、内に溜め込んだ感情エネルギーを、外へと解放し、変容させる錬金術です。特に、怒りや悲しみといった、社会的に「ネガティブ」とされ、抑圧しがちな感情にとって、この通路は不可欠です。激しいドラムを叩く、叫ぶように歌う、黒い絵の具をキャンバスに叩きつける。これらの行為は、感情を他者や自分自身に向けることなく、安全に解放するための儀式となります。エネルギーは、破壊されるのではなく、創造の燃料へと変換されるのです。

引き寄せの法則との関係で言えば、このプロセスは二つの重要な意味を持ちます。第一に、感情のデトックスです。内に溜め込んだ未消化の感情は、エネルギーのブロックとなり、あなたの波動を重くし、望む現実への流れを阻害します。アートや音楽を通してこれらを表現し、解放することで、あなたのエネルギーシステムは浄化され、軽やかになります。新たな豊かさや喜びが入ってくるための「スペース」が生まれるのです。

第二に、創造のリハーサルです。あなたが自分の内なる世界を、色や形、音として、物質世界に顕現させる行為は、あなたが望む現実を創造するプロセスそのものの縮図です。心の中のビジョンを、具体的な形にする。この経験を繰り返すことで、あなたは自分が「創造主」であるという感覚を、身体レベルで養うことができます。内なる世界のリアリティが、外なる世界のリアリティを形作るのだという、引き寄せの根本原理を体感するのです。

今日、あなたは何を感じていますか? その感情に、どんな色がついていますか? どんな音がしますか? どんな手触りですか? 専門的なスキルは必要ありません。クレヨンを手に取り、ただ線を引いてみる。鼻歌を歌ってみる。身体を揺らしてみる。大切なのは、頭で考えず、内なる衝動に身を任せること。評価や判断という検閲官を一時的に休暇に出し、あなたの内なる子どもを、表現という遊び場で自由に遊ばせてあげてください。そこに、あなたが忘れかけていた、あなた自身の本当の声が響いているはずです。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。