窓の外では春の息吹が感じられるというのに、心の奥底にはまだ冬の寒さが残っている。
そんな風に感じることはありませんか?
私たちは、目まぐるしく変化する世界に生きています。
情報は洪水のように押し寄せ、心を休ませる暇もない。
SNSを開けば、きらびやかな日常をアピールする投稿が溢れかえり、自分だけが取り残されているような不安に駆られる。
そんな時代だからこそ、ヨガの教えは、静かな光を灯す灯台のように、私たちを導いてくれるのかもしれません。
ヨガとは、サンスクリット語で「繋ぐ」という意味です。
身体と心(アートマン)、そして、私たちを取り巻く大きな宇宙(ブラフマン)。
ヨガは、これらの間に本来存在している調和を取り戻すための、古来より受け継がれてきた叡智の体系です。何千年もの間、インドの地で育まれ、研ぎ澄まされてきたその教えは、現代社会を生きる私たちにとっても、色褪せることのない普遍的な価値を有しています。現在でも世界中で実践されているのもそういうことだと思います。
そして、ヨガの目指す究極の目的の一つが「意識の進化」です。
古代インドの賢者たちは、私たち人間が、まるで皮を何層にも重ねたタマネギのように、様々な層で構成されていると考えました。
身体、感覚、心、知性… これらはすべて、真の自己を覆い隠すヴェールのようなものです。 そして、その奥深く、純粋な光を放つ核心こそが、真の自己、すなわち「アートマン」であると説いたのです。
しかし、現代社会に生きる私たちは、この真実に気づくことなく、表面的な世界に囚われています。 私たちの意識は、絶え間なく流れ込む情報、複雑な人間関係、満たされることのない欲望に翻弄され、まるで嵐に翻弄される小舟のように、常に揺れ動いているのです。
深刻になりすぎて辛い毎日の人もいることでしょう。
ヨガは、この荒れ狂う心の海を静め、意識を深淵へと導くための、穏やかでありながらも力強い実践です。
アーサナと呼ばれるヨガのポーズを通して、私たちは自らの身体と向き合い、その内側に流れるプラーナ(生命エネルギー)を感じ取っていきます。
呼吸法であるプラーナーヤーマは、心の波を鎮め、意識を今この瞬間に集中させてくれます。 そして、瞑想は、思考のノイズをかき消し、心の奥底に広がる静寂の世界へと誘ってくれます。静寂を感じるのも瞑想のひとつの目的です。
これらの実践を通して、私たちは徐々に心の奥底へと潜っていくことができます。 それは、まるで深い海の底へと潜っていくダイバーのように、最初は怖れや不安を感じるかもしれません。
しかし、諦めずに潜り続けることで、今まで見たことのない美しい景色、触れたことのない神秘的な世界が広がっていることに気づくでしょう。湖面に映る自分の姿が、風のせいで歪んで見えていたのが、風が止み、水面が鏡のように静まり返ることで、ありのままの姿を映し出すように。
ヨガとは、意識の湖面に静寂をもたらし、自分自身の真の姿をありのままに映し出すための、美しくも力強いプロセスなのです。そしてヨガは継続が必要なのです。
この進化の旅は、決して平坦な道のりではありません。
時には、心の奥底に眠る暗い感情や、過去の傷と向き合わなければならないこともあるでしょう。 しかし、諦めずに実践を続けることで、私たちは必ずや意識の進化を遂げ、より穏やかで、力強く、そして喜びに満ちた人生を創造していくことができるはずです。
窓の外の春の息吹は、私たち一人一人の中に眠る可能性を告げているのかもしれません。
ヨガを通して、意識の進化という素晴らしい旅に出かけてみませんか? その先には、きっと、あなたが想像する以上に美しい世界が広がっているはずです。
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