物語というのは身体に効きます。
特に疲れた時には物語が食事とは異なる滋養を与えてくれます。
私は昔読んだ本で村上春樹さんの「ダンス・ダンス・ダンス」が印象に残っています。
初めて読んだのは大学生の頃でした。
その頃の僕は疲れていました。
疲れた時には大好きな物語を読もう
私が初めて村上春樹の本を読んだのは大学生の頃でした。
多くの大学生が経験することだと思いますが、授業がとても面倒になりつまらないものに感じてしまっていた時がありました。
テンションが上がらないからか、なんだか疲れっぽくもなっておりました。
その時によく図書館にいました。
図書館はそれなりに大きかったのですが、あまり人のいない地下の場所にその時は行ってました。
地下は文芸作品が多く置いてありました。
有名な作家の全集も置いてあり、ちょっと読んでやろうかと思ったりもしましたが、何せ”お疲れ”ですから、読めるものを読むだけでした。
その時に、読んでいたの村上春樹の小説でした。(他にもありますが)
最初に書いた「ダンス・ダンス・ダンス」もこの時に読んだと思います。
毎日のようにひっそりと図書館で過ごしておりました。
誰かから隠れているわけでもなく、誰かに会いたくないとかそういう否定的な気持ちがあったわけではないのです。
”間”が必要だったように思います。
小説を読んでいると、またなんだか「何かをしたくなる」もので、ある程度読むのに疲れると外に戻って活動を再会してました。
そんな日々をしばらく続けていました。
それが物語の強さに思います。
半年か1年かわかりませんが、そこそこの期間をそのように過ごして、いつの間にか通わなくなりました。(試験前とかは普通に図書館に行ったりしてましたが)
なんだか思い出すだけで楽しいものです。
村上春樹さんの小説は滋養のあるようなそんな小説だと感じてました。
当時発売されていたほぼ全てを読んだかと思います。
あなたもこういった体験はありますか?
文化的雪かき
「ダンス・ダンス・ダンス」の小説のなかで「文化的雪かき」という表現がでてきます。
主人公がフリーランスのライターで自分の仕事を説明する時に発した言葉です。
簡単に説明してしまいますと、「誰かがやらないといけないけど、誰もやりたがらない仕事。面倒だけどそれをすることで次の世代へ大切なことが残る仕事。そして、実際にやってくれてる人はいるけど、その人は世の中にあまり知られていないことが多い。」勝手な解釈が多分に含まれていますが、そのなようなニュアンスだったかと思います。
仕事に対して手を抜くことはなく、むしろ細かいところまでしっかりとやる。でも誰もそこは評価してくれない、そんな仕事です。
結局のところ、私たちが生きていられるのはこんな雪かき仕事をしてくれてる名もなき人たちがいるからです。
見えないところにたくさんいることでしょう。
これを読まれてる人でも「わかる」と頷いてくれる人もいるでしょう。
わたしも文化的でなくてもいいので、雪かき仕事をしていけたらと思ってます。
ヨガや瞑想もある種の雪かき仕事だと思ってます。
今ではヨガのほぼ全てが商業的なサービスとしての意味合いしかありませんが、ヨガや瞑想を通じて大切なものを後世に残せたらとも思います。
商業的に成り立つことも大切なことです。
残すことそれ自体が目的ではないのですが、ヨガや瞑想に真摯に向き合っていくことで、ヨガレッスンを受けてくれている人にヨガでの気づきをお渡しできれば嬉しいですし、瞑想会でも何かしらの調和へのサポートができればと思っています。
そのようにして後世に残したいものでもあります。
結果として残れば嬉しいですね。
「ダンス・ダンス・ダンス」は読んだことはありますか?
村上春樹さんの初期のころの作品ですし読んだことがないと思いますが、人というのはいつどのタイミングで心に刺さる言葉に出会うかわかりません。
何気なくとった本などで「それ」が起こることがあります。
そういったことが読書の醍醐味のひとつかと思います。
物語では特に一生深く刺さることがあります。
楽しい時間ですね。
私は大学の図書館で読める時間があって有難かったと思っています。
小説を読むタイミングが減っている人も多いと思いますが、たまには小説を読むのもいかがでしょうか。
村上春樹さんの小説で「ノルウェーの森」というのがありますが、これが村上小説を嫌いになるきっかけの方が多くいるといいます。
ですので、他の作品でおすすめを少しだけ紹介します。
初期のころの作品ですと、「羊をめぐる冒険」「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」がおすすめです。
羊の方は村上春樹さんらしい文体がこの頃からあるんだなというのを観じれるかと思います。
とてもシンプルな作品に思います。
長編ものでしたら「1Q84」が最もまとまった内容で集大成な感じがします。
ねじまきクロニクルも最高なんですが、やはりまずは1Q84だと思います。
この小説で村上春樹さんはある種の目標を達成したように感じました。
長編では最高傑作かと思います。
中編は好みが別れるところですので「スプートニクの恋人」「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」あたりをおすすめしておきます。
両方とも読みやすいです。そして村上春樹っぽさもしっかりと観じれるかと思います。
短編集はもっと好みの別れるところでしょうが、「神の子どもたちはみな踊る」「女のいない男たち」でしょうか。
この中から直観で読んでみてください。
どれも平易な文章なので読みにくいことはないと思います。
面白かったら嬉しいです。
終わりに:物語は刺さりやすい
上記では紹介しておりませんが、私が一番好きなのは「騎士団長殺し」ですね。
主人公がどんどん異様な状況に巻き込まれていくのがとても好きですね。
人生ってこういうことがあるな、と思わされるのと、不思議な世界がすぐ隣にあるのもわかるという感じです。
また読み直したくなってきました。
現実と非現実というのはとても曖昧なものなんだと思ってしまう小説です。
物語というのもまた心にも刺さるんですよね。
物語は刺さる分、危ないところも孕んでいます。
物語で人が操作されてしまいます。
そうならないようにも、しっかりと小説を読むのが大事にも思います。
物語の力を身に宿しておくことで、周りからの操作された物語を弾き返すことができます。
良い小説は浄化にもなる、そんな風にも思います。
今回は少し思い出話しを含めて書いてみました。
それではまた。