ヨガが上達しない苦しみと「ヨガ嫌い」は別物です。停滞期こそが本当のヨガの始まりである理由

自己啓発

ヨガを推奨しております。
それは、ヨガが単なるエクササイズではなく、私たちの心の在り方を根本から整える、生きるための技法だからです。

しかし、長く実践を続けていると、ふと暗いトンネルに入り込んだような感覚に襲われることがあります。
「いつまで経っても身体が硬いままではないか」
「周りの人はどんどん難しいポーズができるようになっているのに」
「私にはヨガの才能がないのかもしれない」

そんな無力感に苛まれ、マットの上に立つことさえ億劫になってしまう。
そして、「私はもう、ヨガが嫌いになってしまったのかもしれない」と自分を責めてしまう。
もし今、あなたがそのような場所にいるのなら、少しだけこの縁側で休んでいってください。
その感覚は、ヨガを深く実践する誰もが一度は通る、とても大切な通過儀礼なのです。

 

その「嫌い」の正体は、ヨガへの愛そのものである

まず、整理しておきたいことがあります。
あなたが感じている「嫌い」という感情の正体についてです。
本当にヨガそのものが嫌いなのでしょうか?
呼吸をして、身体を動かし、最後にシャヴァーサナ(屍のポーズ)でくつろぐ、その心地よさまで嫌いになってしまったのでしょうか?

おそらく、そうではないはずです。
あなたが嫌悪感を抱いている対象は、ヨガそのものではなく、「思い通りにならない自分自身」ではないでしょうか。
理想とするポーズが取れない自分。
成長が感じられない自分。
他人と比較して劣っていると感じる自分。

その無力感に対する苛立ちを、「ヨガが嫌い」という言葉に変換してしまっているだけなのです。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、それほどまでに強いフラストレーションを感じるのは、あなたがヨガを深く愛し、真剣に向き合っている証拠でもあります。
どうでもいい相手に対して、人は悩みません。
真剣だからこそ、壁にぶつかり、絶望するのです。
その感情は、あなたが次のステージへ進むためのエネルギーそのものです。

 

現代社会が植え付けた「右肩上がり」という病

なぜ私たちは、これほどまでに「上達」や「成長」にこだわるのでしょうか。
それは、私たちが生きる現代社会の構造と無関係ではありません。
資本主義社会は、常に「成長」を求めます。
昨日より今日、今日より明日、より高く、より多く、より効率的に。
生産性が向上しないことは「悪」であり、停滞は「敗北」であるという価値観が、私たちの骨の髄まで染み込んでいます。

私たちは無意識のうちに、この「右肩上がりの成長神話」をヨガマットの上に持ち込んでしまっています。
「前屈が5センチ深まった」「ヘッドスタンドができるようになった」
そういった目に見える成果(KPI)でしか、自分の価値を測れなくなっているのです。
しかし、ヨガの本質はそこにはありません。
ヨガとは、サンスクリット語で「結合(Yuj)」を意味しますが、それは何かを獲得して積み上げていくことではなく、余分なものを削ぎ落として本質に還るプロセスです。
直線的な成長ではなく、螺旋階段のように、同じ場所を回っているようでいて、少しずつ深まっていくものなのです。

 

「できない」は、神様からの贈り物

ヨガの教えに「アビヤーサ(修習)」と「ヴァイラーギヤ(離欲)」という言葉があります。
アビヤーサは、絶え間なく練習を続けること。
そしてヴァイラーギヤは、その結果に対して執着しないこと。
この二つは、鳥の翼のようにセットでなければなりません。

私たちは練習(アビヤーサ)は熱心に行いますが、結果への無関心(ヴァイラーギヤ)を忘れがちです。
「できるようになりたい」という強い執着(ラーガ)が、苦しみを生んでいます。
ポーズができないという事実は、あなたに「身体的な能力不足」を突きつけているのではありません。
「結果をコントロールしようとするエゴを手放しなさい」と教えてくれているのです。

できないポーズに出会ったとき、それは「降参(サレンダー)」を学ぶ絶好の機会です。
ヨガの神様(イシュヴァラ)は、あなたに「できない」という体験を通して、「自分の力ですべてをねじ伏せようとする傲慢さ」に気づかせようとしているのかもしれません。
無力感を感じるときこそ、私たちは謙虚になれます。
「私の身体は、私のエゴの道具ではないのだ」と気づいたとき、本当の意味でのヨガが始まります。
身体の声を聞くこと。
今の自分の限界を、優しく受け入れること。
それは、難しいポーズができることよりも、はるかに高度で精神的な「上達」なのです。

 

視覚的なヨガから、感覚的なヨガへ

SNSを開けば、美しいアーサナ(ポーズ)の写真が溢れています。
現代のヨガはあまりにも「視覚的」になりすぎました。
「映える」ポーズが上級者であり、地味なポーズは初心者であるという誤解が蔓延しています。
しかし、古代のヨガ行者たちが目指したのは、外見の美しさではありませんでした。
彼らが探求したのは、「内受容感覚(インターロセプション)」です。

ポーズの形が崩れていても、呼吸が深く入り、マインドが静寂に包まれているなら、それは完璧なヨガです。
逆に、どんなにアクロバティックなポーズが取れていても、呼吸が浅く、心の中で「どうだ、すごいだろう」とエゴが叫んでいるなら、それはただの体操です。

無力感を感じているあなたにお伝えしたいのは、評価軸を「外側の形」から「内側の感覚」へとシフトしてほしいということです。
目を閉じてみてください。
他人の目も、鏡に映る自分の姿も、一度すべて忘れてください。
ただ、吸う息と吐く息の心地よさだけを味わう。
身体の重みや、床の感触だけを感じる。
そこに「上達」や「停滞」という概念は存在しません。
ただ、「今、ここにいる」という圧倒的な事実があるだけです。

 

停滞期(プラトー)は、魂が根を張る時間

植物が育つ過程を想像してみてください。
芽が出て茎が伸びる時期(成長期)もあれば、一見何も変化していないように見える時期もあります。
しかし、何もしていないように見える時、植物は土の中で懸命に根を張っています。
根を張る時間がなければ、大きな花を咲かせることも、強風に耐えることもできません。

ヨガの停滞期もこれと同じです。
目に見える変化がないとき、あなたの内側では、神経系が新しい動きを学習していたり、精神的な受容力が育っていたりと、目に見えないレベルでの深い変容が起きています。
この「何も起きていないような時間」に耐える力。
詩人のジョン・キーツはこれを「ネガティブ・ケイパビリティ(負の能力)」と呼びました。
不確実さや不思議さ、懐疑の中に、性急に事実や理由を求めずに留まり続ける能力です。
すぐに答えを出そうとしないこと。
「上達しない」という宙ぶらりんな状態を、ただ味わい続けること。
この胆力が養われることこそが、ヨガの恩恵なのです。

 

あなたのヨガは、あなただけのもの

最後に。
ヨガが嫌いになりそうなら、一度ポーズの練習をやめてもいいのです。
マットの上で、ただ座っているだけでもいい。
あるいは、ヨガウェアに着替えることなく、縁側でお茶を飲むだけでも、それはヨガになり得ます。

「ヨガとはこうあるべきだ」「上達しなければならない」という定義。
それこそが、あなたを苦しめる最大の「凝り」です。
その凝りをほぐすためにヨガがあるのに、ヨガそのものが凝りになってしまっては本末転倒です。

無力感を感じる自分を許してください。
上達しない自分を許してください。
他者と比較してしまう弱い自分さえも、許してあげてください。
その「許し」の瞬間に、ふっと身体の力が抜け、呼吸が深くなるのを感じるでしょう。
その感覚こそが、あなたが追い求めていたヨガの正体です。

ヨガは逃げません。
あなたがどれだけ背を向けても、呼吸は常にあなたと共にあります。
また気が向いたら、マットの上に帰ってくればいいのです。
ここでは、上達することよりも、あなたがあなた自身と仲直りすることの方が、ずっと大切にされています。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。