人生が壊れる時、それは目覚めの合図。ヨガが教える「破壊と再生」の真実

自己啓発

ヨガを推奨しております。
それは、ヨガが単に身体を整えるだけでなく、人生という大きなサイクルの「波乗り」を教えてくれるからです。
私たちは皆、安定を求めます。
変わらない毎日、確かな未来、永遠に続く関係。
しかし、宇宙の法則(ダルマ)において、変化しないものなど一つもありません。
時には、大切に積み上げてきたものが、音を立てて崩れ去ることもあります。
失恋、失業、病気、離別、あるいは理由のない虚無感。

現代社会では、こうした「崩壊」を「失敗」や「不幸」と呼びます。
しかし、ヨガの視座から見れば、それはまったく異なる風景に見えてきます。
今日は、私たちが恐れてやまない「破壊」というプロセスが、実は新たな「再生」への招待状であるということについて、深く静かにお話ししてみたいと思います。

 

シヴァ神の踊り:創造のために、まず壊す

ヨガの発祥地インドには、シヴァという神様がいます。
シヴァは「破壊と再生の神」と呼ばれます。
彼が踊るダンス(タンダヴァ)は、宇宙のリズムそのものを表しており、その激しい動きによって古い世界を破壊し、同時に新しい世界を創造しているとされます。

ここでのポイントは、破壊と創造はセットであるということです。
更地(さらち)にしなければ、新しい家は建ちません。
息を吐ききらなければ、新しい空気は入ってきません。
種は、その殻を内側から破壊しなければ、芽を出すことができません。
つまり、生命の本質において「壊れること」は「生まれること」と同義なのです。

しかし、私たちは「壊れること」だけを極端に恐れます。
「今まで通り」にしがみつき、賞味期限の切れた関係や、魂が喜ばない仕事を必死で守ろうとします。
ヨガ的な視点で見れば、それは「流れをせき止める」行為であり、それこそが苦しみ(ドゥッカ)の原因となります。
もし今、あなたの人生で何かが壊れかけているなら、それはシヴァ神が「さあ、次のステージへ行く時間だよ」と、踊りながら近づいてきているのかもしれません。

 

現代社会が抱える「終われない病」

現代社会は、右肩上がりの成長神話に支配されています。
経済も、会社の売上も、個人のキャリアも、常に「増えること」「続くこと」が善とされます。
SNSを見渡せば、「積み上げ」や「継続」を称賛する言葉で溢れています。

もちろん、継続は尊い力です。
しかし、終わらせるべき時に終わらせないことは、執着(ラーガ)です。
もうワクワクしないのに惰性で続けている趣味。
互いに傷つけ合うだけのパートナーシップ。
心身を壊してまでしがみつく社会的地位。

私たちは「終わる」ことを「負け」だと思い込まされています。
だから、終わらせる勇気が持てず、ずるずると腐敗していく状況に身を置いてしまう。
自然界を見てください。
花は咲いたら必ず散ります。散ることを拒否して咲き続けようとする花はありません。
散るからこそ、土に還り、次の春の養分となるのです。
私たちもまた、自然の一部です。
潔く「終わらせる」こと、手放すことは、生命としての健全な新陳代謝なのです。

 

カオス(混沌)を受け入れる練習

破壊と再生の間には、必ず「カオス(混沌)」の期間があります。
古い家は解体されたけれど、新しい家の設計図はまだできていない。
この「中間の時期」が、私たちにとっては最も居心地が悪く、不安な時間です。

「私はこれからどうなってしまうんだろう?」
「自分は何者なんだろう?」

暗闇の中を彷徨うような感覚。
スピリチュアルな用語では、これを「魂の暗夜(ダークナイト・オブ・ザ・ソウル)」と呼ぶこともあります。
しかし、このカオスこそが、可能性のスープです。
形が決まっていないからこそ、何にでもなれる可能性を秘めています。

ヨガの練習で、あえてバランスの取りにくいポーズをとったり、逆転のポーズをとったりするのは、このカオスへの耐性を養うためでもあります。
ぐらぐらする身体、逆さまになった視界。
その不安定さの中で、呼吸を深め、中心を見つけること。
そうやってマットの上で「不安定であること」に慣れておくと、人生のカオスが訪れたときにも、パニックにならずに「ただ、ここに居る」ことができるようになります。
カオスをコントロールしようとせず、ただその中にくつろぐこと。
それが、再生への最短ルートです。

 

エゴの死と、真我の目覚め

人生の崩壊プロセスにおいて、最も激しく抵抗するのは誰でしょうか?
それは、あなたの「エゴ(自我)」です。
エゴは、現状維持が大好きです。
「私は〇〇である」というアイデンティティを守ることに必死です。

リストラされた時、苦しいのは「収入がなくなること」以上に、「〇〇会社の社員である私」というエゴが死ぬことへの恐怖かもしれません。
失恋した時、悲しいのは「一人になること」以上に、「愛されている私」というエゴが傷つくからかもしれません。

破壊のプロセスは、このエゴの皮を強制的に剥がしていく作業です。
痛いです。怖いです。
でも、剥がれ落ちた後に残るものがあります。
肩書きがなくなっても、誰かのパートナーでなくなっても、若さを失っても、それでも厳然としてそこに在るもの。
ヨガではそれを「プルシャ(真我)」や「アートマン」と呼びます。
決して壊れることのない、永遠の観照者としての私。

人生が壊れる時、私たちは強制的にこの「本質の私」と向き合わされます。
それは、偽物の自分(仮面)が死に、本当の自分が目を覚ますための、通過儀礼(イニシエーション)なのです。
だから、全てを失ったように見える人が、不思議と晴れやかな顔をしていることがあります。
彼らは失ったのではなく、重荷を下ろし、本質へと還ったのです。

 

再生は、静寂の中からやってくる

では、破壊のあとにやってくる「再生」は、どのように起こるのでしょうか?
多くの人は、焦ってすぐに何かを埋めようとします。
別れた翌日にマッチングアプリに登録したり、退職した翌日に転職サイトを見たり。
不安という穴を、手近な何かで塞ごうとするのです。

しかし、真の再生は、焦燥感からは生まれません。
それは、深い「静寂(マウナ)」の中から、ふっと湧き上がってくるものです。
破壊の嵐が過ぎ去ったあと、焼け野原に座り込んで、ただ静かに空を見上げる時間が必要です。
何もしない時間。
誰でもない時間。
自分を謎のままにしておく時間。

そんな真空のような時間の中で、ふと「あ、これをやってみたいかも」という微かな声が聞こえてくることがあります。
それは、頭で計算した損得勘定ではなく、お腹の底から湧いてくる震えのような感覚です。
それこそが、新しい生命(再生)の鼓動です。
その小さな灯火を、大切に育てていけばいいのです。

 

終わりに:あなたは、何度でも生まれ変われる

私たちの肉体は一度きりですが、魂は生きながらにして何度でも死に、何度でも生まれ変わることができます。
もし今、あなたが辛い局面にいるなら、思い出してください。
これは終わりではなく、変容のプロセスなのだと。
芋虫が蝶になるために、一度サナギの中でドロドロに溶けるように、あなたも今、美しく羽ばたくための準備期間にいるのかもしれません。

抗わないでください。
悲しみも、不安も、喪失感も、すべて味わい尽くしてください。
そして、握りしめている手を、そっと開いてみてください。
手放した手のひらにだけ、新しい何かが舞い降りてくるスペースが生まれます。

EngawaYogaの縁側は、そんな人生の通過点にいる人たちが、羽を休めるための場所でもあります。
壊れてもいい。迷ってもいい。
ただ、その呼吸だけは止めないで。
破壊と再生のリズムに身を委ね、新しいあなたが芽吹くその時を、静かに待ちましょう。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。