12.緊張と弛緩 – 人生のリズムを身体で学ぶ

365days

私たちは無意識のうちに、「緊張」を悪しきもの、「弛緩」を善きものとして捉えてしまいがちです。ストレス社会への警鐘として「リラックス」が声高に叫ばれるあまり、私たちはあらゆる緊張から逃れるべきだとさえ思い込んでしまう。しかし、生命の営みとは、そして宇宙の法則とは、そのような単純な二元論で割り切れるものではありません。ヨガの実践は、緊張と弛緩が織りなすダイナミックなリズムこそが、生命の豊かさの源泉であることを、私たちの身体を通して教えてくれます。

考えてみてください。ヨガのアーサナにおいて、もし弛緩しきっていたら、私たちは重力に負けて崩れ落ちてしまうでしょう。例えば、木のポーズ(ヴリクシャーサナ)で安定して立つためには、軸足で大地を力強く踏みしめ、体幹を引き締め、バランスを保つという「意図的な緊張」が不可欠です。この緊張があるからこそ、私たちは天に向かって伸びやかに枝葉を広げることができる。人生においても同様です。目標に向かって努力する時の集中力、困難な状況を乗り越えようとする時の精神的な張り、大切なものを守ろうとする時の意志の力。これらはすべて、創造的で肯定的な緊張の現れなのです。

一方で、ヨガが弛緩、すなわち「手放すこと」の価値を深く教えてくれるのもまた事実です。すべてのアーサナの稽古の終わりには、必ずと言っていいほどシャヴァーサナ(屍のポーズ)が訪れます。ここでは、先ほどまで使っていた意図的な緊張をすべて解き放ち、身体の重みを完全に大地に預けます。コントロールしようとする意志を手放し、ただ、在る。呼吸すらも、自然な出入りに任せるのです。この完全な降伏の状態において、私たちの心身は深く癒され、再編成されます。日々の生活においても、頑張り続けた後に休息し、回復する時間、あるいは、自分の力ではどうにもならないことを受け入れ、大いなる流れに身を任せる「委ね」の姿勢が、私たちを消耗から救い、新たなエネルギーを育んでくれます。

この緊張と弛緩の相互作用は、東洋思想における「陰陽」の概念そのものです。緊張は陽、弛緩は陰。光と影、昼と夜、吸う息と吐く息。どちらか一方が優れているわけではなく、両者が互いに入れ替わり、バランスを取り合うことで、万物は生成発展していきます。吸う息(プラーナ)で身体は拡張し、エネルギーに満ちて緊張し、吐く息(アパーナ)で身体は収縮し、不要なものを手放して弛緩する。この呼吸のリズムこそ、私たちが意識的にコントロールできる最も根源的な生命のダンスなのです。

ヨガのシークエンス(一連の流れ)は、この人生のリズムを凝縮した体験の場です。太陽礼拝のように、ダイナミックな動きの中で緊張と弛緩をリズミカルに繰り返し、エネルギーを高めていく。そして、その動的な稽古の後に訪れる深い静寂と弛緩。この体験を通して、私たちの身体は、いつ力を入れ、いつ力を抜くべきかを学んでいきます。それは、アクセルとブレーキを巧みに使い分ける運転技術を習得するようなものです。

日常生活にこの知恵を持ち帰ってみましょう。仕事に集中する時は、健全な緊張感を保ち、最大のパフォーマンスを発揮する。しかし、仕事が終われば、その緊張を完全に手放し、趣味や家族との時間で深く弛緩する。問題解決に取り組む時は、あらゆる知恵を絞って緊張感を持って臨むが、人事を尽くした後は、結果を天に委ねて心を緩める。

人生とは、緊張と弛緩という二つの極の間で踊る、美しい舞踏のようなもの。ヨガのマットの上でこのリズムを身体で体得する時、私たちはどんな人生の局面においても、力むことなく、かといって怠惰になることもなく、しなやかで創造的なステップを踏み続けることができるようになるのです。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。