人生の棚卸しと断捨離。ヨガが教える「やめる」ことから始まる本当の豊かさとは

自己啓発

ヨガを推奨しております。
それは、ヨガが新しい自分を「作り上げる」ためのものではなく、本来の自分を覆い隠しているものを「取り除いていく」プロセスだからです。
私たちは人生という長い旅の途中で、気づけば背負いきれないほどの荷物を抱え込んでしまっています。
物質的なモノだけでなく、人間関係、社会的地位、「こうあるべき」という信念、そして終わりのない欲望。

今日は、一度立ち止まって荷物を降ろし、人生の「棚卸し」をすることについてお話しします。
そして、何かを始めるために、まずは「やめていく」ことの重要性について、ヨガの視点から深く掘り下げてみたいと思います。

 

現代社会という「足し算」の病

私たちは、「増やすこと」が善とされる社会に生きています。
GDPの成長、フォロワー数の増加、スキルの習得、資産の拡大。
資本主義システムは、常に私たちに「もっと(More)」を求めます。
「今のままでは足りない」「このままでは取り残される」という欠乏感を巧みに刺激し、私たちはその不安を埋めるために、さらに何かを得ようと奔走します。

しかし、冷静になって周りを見渡してみてください。
私たちは本当に幸せになっているでしょうか?
便利さは時間を生み出すはずが、私たちはかつてないほど忙しくなっています。
SNSで世界中と繋がれるはずが、孤独感は深まるばかりです。
モノに溢れた部屋で、私たちは何を探しているのでしょうか。

この「足し算」の強迫観念こそが、現代人を苦しめている病の正体かもしれません。
呼吸に例えるなら、私たちは今、必死に息を「吸い続けて」いる状態です。
吸って、吸って、さらに吸おうとして、苦しくなっている。
新しい空気を取り込むためには、まず古くなった息を「吐き切る」必要があります。
人生も同じです。
新しい流れを呼び込むためには、まず手放すこと、やめることから始めなくてはなりません。

 

ヨガ的「棚卸し」の実践

ヨガの聖典『ヨガ・スートラ』には、「アパリグラハ(不貪・不所有)」という教えがあります。
これは、必要以上のものを抱え込まないということです。
所有物は、物理的なスペースを奪うだけでなく、それを維持・管理するための精神的なエネルギー(プラーナ)をも奪い続けます。

では、具体的に何を棚卸し、何をやめていけばいいのでしょうか。
全方位的に見直してみましょう。

1. 物理的な「モノ」の棚卸し
まずは目に見えるところから。クローゼットやデスク周りを見てください。
「いつか使うかも」と思って取ってあるものは、過去への執着か、未来への不安の現れです。
今のあなたを輝かせていないモノは、静かに感謝して手放しましょう。
空間の余白は、心の余白に直結します。

2. 情報とデジタルの棚卸し
スマホの中身はどうでしょうか。
惰性で見ているSNSのアカウント、読みもしないメルマガ、無意識に開いてしまうニュースアプリ。
これらはあなたの貴重なアテンション(注意資源)を食いつぶすノイズです。
「情報を入れない勇気」を持つこと。
静寂の時間を取り戻すために、デジタルな繋がりを整理し、時には切断することも必要です。

3. 人間関係の棚卸し
「付き合いだから」と無理をして会っている人はいませんか?
会った後にどっと疲れるような関係性は、エネルギーの漏水箇所です。
冷徹になる必要はありませんが、自分の魂が喜ばない関係に時間を割くのをやめること。
それは自分を大切にすると同時に、相手の時間を尊重することでもあります。

4. 「思考」と「信念」の棚卸し
これが最も重要で、最も難しい部分です。
「頑張らなければ愛されない」「成功しなければ価値がない」「私はこういう人間だ」
これらは事実ではなく、あなたが過去に採用した「信念(思い込み)」に過ぎません。
これらの古いプログラムが、今のあなたを苦しめているなら、もうアンインストールしていい時期なのです。
瞑想の中で、これらの思考を客観的に観察し、「これはもう要らないな」と手放していく作業。
これが内面的な断捨離です。

 

「やめる」ことは、逃げではない

日本社会には「継続は力なり」「石の上にも三年」という言葉があり、途中でやめることを「逃げ」や「敗北」と捉える風潮があります。
しかし、ヨガ的な視点では、「やめる」ことは「選択」であり「浄化(シャウチャ)」です。

自分に合わないこと、心が枯れることを続けるのは、自分自身への暴力(ヒムサ)になりかねません。
違和感を感じているのに無視して続けることは、自分の内なる声(直感)を殺すことです。
「やめる」と決めることには、始めること以上のエネルギーと勇気が要ります。
それは自分の人生の主導権を、他人や社会のレールから、自分自身の手元に取り戻す行為なのです。

 

スピリチュアルな視点:空白に恩寵が流れ込む

スピリチュアルな法則として、「真空の法則」というものがあります。
宇宙は真空を嫌います。空いたスペースができると、そこには必ず新しい何かが流れ込んでくるという法則です。

コップの水がいっぱいなら、新しい水は一滴も入りません。
同様に、スケジュールがパンパンで、頭の中が悩みでいっぱいの人には、天からのインスピレーションや、素晴らしい出会いが入ってくる隙間がありません。
「運が良い」人とは、実は「隙間がある」人なのです。

恐れずに、空白を作ってください。
予定のない休日。何もない部屋。思考のない瞑想の時間。
その「無(Void)」の中にこそ、無限の可能性(Potency)が潜んでいます。
あなたが意図的に作り出した空白に、宇宙は想像を超えたギフトを届けてくれるでしょう。

 

終わりに:今日から、何をやめますか?

何かを始めようとする前に、まずリストを作ってみてください。
「To Do List(やるべきことリスト)」ではなく、「Not To Do List(やらないことリスト)」を。

無理して愛想笑いをするのをやめる。
寝る前のスマホチェックをやめる。
自分を責めるのをやめる。
「すみません」と反射的に言うのをやめる。
正解を探すのをやめる。

一つやめるごとに、あなたの背負っていた荷物が一つ減ります。
そして、荷物が減るごとに、あなたは本来の軽やかさを取り戻していきます。
私たちが目指すヨガの境地、サマディ(三昧)や解脱(カイヴァリヤ)とは、何かを獲得した先にあるのではなく、すべての執着を手放した先に、自然と現れる本来の状態のことなのです。

棚卸しをして、店じまいをするわけではありません。
より身軽に、より自由に、新しい冒険へと旅立つための準備です。
さあ、あなたは何から手放していきますか?

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。