ただゆるめる瞑想:体と心の「肩の荷が下りる」感覚

MEDITATION-瞑想

私たちは、何か新しいことを始めようとする時、あるいは人生の状況を変えたいと願う時、まず「何かを足さなければならない」と考えがちです。知識を増やし、スキルを習得し、特別なツールを手に入れ、あるいは目に見える成果を積み重ねることに価値を見出します。瞑想も例外ではありません。心を静めるための高度なテクニックがあるのではないか、特別な状態にならなければ意味がないのではないか、と私たちは考えてしまいます。

しかし、ヨーガ哲学や古の東洋思想は、別の道を示唆しています。それは、「足す」のではなく「引く」こと、そして「持つ」ことではなく「手放す」ことの中にこそ、真の変容と豊かさがあるという考え方です。特に、これから瞑想を始めたいと思っているあなたに、まず「今まで得た知識を、ちょっと手放していただきたいのです」。

瞑想と聞くと、座り方、呼吸法、集中する対象など、様々な情報が頭に浮かぶかもしれません。多くの書籍やウェブサイトには、様々な瞑想テクニックが紹介されています。それらは確かに有用な知識ですが、あまりにも多くの情報に囚われすぎると、かえって身動きが取れなくなってしまうことがあります。あれこれと考えすぎてしまい、「自分には難しいのではないか」「正しくできているのだろうか」といった不安が生じ、結局一歩を踏み出せずに終わってしまうことさえあります。

瞑想は、実はもっとシンプルで、誰にでもできる実践です。それは、特別な何かを付け加える行為ではなく、むしろ不要なものを取り除き、自分自身が本来持っている静けさや明晰さに気づくための「引き算の思想」に基づいています。

 

ただ座るというミニマルな実践:シンプル瞑想

瞑想の最も基本的な形は、「ただ座る」という、これ以上ないほどミニマルな実践です。特別な座法を組む必要も、特定の呼吸を意識する必要もありません。椅子に座っても良いし、床に座っても良いのです。必要なのは、ただ静かに腰を下ろし、そこに留まる時間を持つことだけです。

これを「シンプル瞑想」と呼んでみましょう。時間は、例えば3分でも、5分でも構いません。目を閉じるか、あるいは視線を一点に落とします。そして、ただそこに「存在」します。何かを考えようとする必要も、思考を止めようと頑張る必要もありません。ただ、座っているという事実、呼吸が体の中を出入りしているという感覚、周囲の音など、その瞬間に自分が体験していることを、あるがままに受け止めます。

これは、まるで、コップの中の濁った水を澄ませるようなものです。水をかき混ぜるのをやめ、ただじっと置いておくと、自然と泥や埃が底に沈み、水は澄んできます。私たちの心も同じです。あれこれと意図的に操作しようとするのをやめ、ただ静かに座る時間を持つことで、心の表面を覆っていた思考の波が落ち着き、その奥にある静寂が姿を現し始めるのです。

 

ただゆるめる瞑想:体と心の「肩の荷が下りる」感覚

シンプルに座ることに慣れてきたら、次に試していただきたいのが、「ただゆるめる瞑想」です。私たちは、意識しないうちに体の様々な部分に力が入っています。肩や首、顔、お腹、手などに、無駄な緊張を抱えていることがよくあります。

座りながら、ゆっくりと自分の体に意識を向けてみましょう。どこか強ばっているところはありませんか? もしあれば、そこを「ただゆるめる」と意図してみます。息を吐くたびに、体の力が抜けていくのを想像しても良いでしょう。それは、グッと力を込めてから一気に解放するような劇的な変化ではなく、ほんのわずか、力を緩めるという繊細な感覚かもしれません。

この「ただゆるめる」という行為は、単に体の緊張を和らげるだけに留まりません。私たちの体と心は密接に繋がっています。体の緊張は心の緊張を反映し、心の緊張は体の緊張を生み出します。ですから、物理的に体をゆるめることは、そのまま心の状態にも影響を与え、心の緊張を解きほぐすことに繋がるのです。

これは、長い間背負っていた重い荷物を、そっと下ろすような感覚です。「肩の荷が下りる」というのは、まさに体と心から無駄な力が抜け、解放されることを表す言葉です。ただ座り、ただ体をゆるめる。これだけで、心の状態が変化し始めるのを感じられるはずです。

 

ゆるめば起こる瞑想:コントロールを手放す

ただ座り、ただ体をゆるめていると、様々なことが心の中に起こってくるでしょう。思考が湧き、感情が生まれ、体の感覚が変化します。瞑想の目的は、こうした内的な出来事を「コントロールすること」ではありません。思考を無理に止めようとしたり、特定の感情を感じないようにしたりする必要はないのです。

ここで大切なのは、「ゆるめば自然と起こってくる」現象を、ただ観察することです。まるで、川の流れを岸辺から眺めるように、心の中に流れてくる思考や感情を、評価したり判断したりすることなく、ただ見つめます。これが「ただ起こる瞑想」です。

私たちは普段、心の中で起こる出来事にすぐに反応し、それに囚われてしまいがちです。不安な思考が浮かべば、その思考に引きずられてさらに不安になったり、過去の出来事について考え始めたりします。しかし、瞑想の実践を通して、思考や感情は自分自身とは切り離された、単なる心の働きであると気づき始めます。それは、自分自身を定義するものではなく、ただ通り過ぎていく雲のようなものなのです。

コントロールを手放し、ただ起こることに身を委ねることで、心には静寂のスペースが生まれます。このスペースから、普段は気づかないような内なる声、直観が聞こえてくることがあります。それは、頭で考える論理的な声とは異なる、心の奥底からの智慧の囁きです。

 

瞑想で手放して変容する

シンプルに「ただ座る」「ただゆるめる」「ただ起こることを観察する」という実践を続けていくと、少しずつ変化が現れ始めます。それは劇的なものではないかもしれませんが、確実にあなたの内側で何かが動き出しているのを感じるでしょう。

このプロセスは、まさに「手放す」ことによる変容です。私たちは、不要な物質的なものだけでなく、過去への執着、未来への不安、自分自身を縛り付けている固定観念、あるいは「こうあらねばならない」という思考パターンなどを無意識のうちに抱え込んでいます。瞑想は、こうした心の重荷に気づき、それを一つずつ「手放していく」ための実践です。

「色々と得たものをとにかく一度手放しますと、新しいものが入ってくるのですね。」これは、私たちの心が、手放すことによって空いたスペースに、新しい気づきや可能性、そして内なる平和や充足感といった、真の豊かさを受け入れる準備ができることを示唆しています。

手放しが進むにつれて、私たちは自分自身と、そして周囲の世界との関係性が変化していくのを感じるかもしれません。物事への捉え方が変わり、必要以上に反応したり、囚われたりすることが減ります。心が軽くなり、「ゆるん人からうまくいく」という言葉が示すように、力が抜けることで物事がスムーズに進んだり、予期せぬ良い流れに乗れたりすることが増えるでしょう。

また、「瞑想すると出会うことが変化する」という側面もあります。内側が変化すると、外側の世界との相互作用も変わってきます。自分自身の波動が高まり、ポジティブなエネルギーに満たされることで、それに呼応するような人々や出来事を引き寄せやすくなるのかもしれません。

 

さあ、実践しよう

瞑想は、決して難しい特別な修行ではありません。それは、いつでも、どこでも、誰にでもできる、最もシンプルで効果的な自己探求の方法です。完璧を目指す必要はありません。思考が湧いても、集中が途切れても、それは自然なことです。自分を責めることなく、ただ優しく意識を「ただ座る」というシンプルな行為に戻してあげれば良いのです。

まずは、一日のうちでほんの短い時間、例えば朝起きてすぐや寝る前に、たった3分でも良いので、「ただ座る」「ただゆるめる」時間を持ってみてください。「実践しよう」、その一歩を踏み出すことが、あなたの内側に静かな変容をもたらす始まりとなるでしょう。

ミニマリズムが物理的な空間を整えるように、瞑想は私たちの内側の空間を整えます。不要なものを手放し、シンプルになること。その中にこそ、現代を軽やかに生き抜くための、そして自分自身の本質と繋がるための鍵があるのです。気楽に、気軽に、あなたの瞑想の旅を始めてみませんか。

 

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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。