【禅とヨガ】「本来の面目」とは何か?本当の自分を取り戻すスピリチュアルな旅

自己啓発

禅(Zen)の世界では、私たちが生まれながらにして持っている、飾りのない真実の姿を「本来の面目(ほんらいのめんもく)」と呼びます。
これは単なる哲学的な言葉遊びではありません。
現代社会で生きる私たちが抱える、「生きづらさ」や「空虚感」の根源を照らし出し、そこから解放されるための、極めて実践的なキーワードなのです。

今日は、禅とヨガ、二つの東洋の叡智が交差するこの「本来の面目」という概念について、少し深く掘り下げてみたいと思います。
なぜ私たちは「自分ではない誰か」になろうとして苦しむのか。
そして、どうすれば「本来の自分」に還ることができるのか。
そのヒントを、静かな時間の中で一緒に探っていきましょう。

 

「本来の面目」とは? —— あなたが生まれる前の顔

禅の公案(問い)に、次のような有名な言葉があります。
「父母未生以前(ふぼみしょういぜん)、本来の面目(ほんらいのめんもく)、なんぞ」

意味はこうです。
「お父さんとお母さんが生まれる前、つまりあなたがこの世に肉体を持って現れるずっと前から存在していた、あなたの本当の顔とは、一体どんなものですか?」

ドキッとしませんか?
私たちは普段、「自分」というものを、名前、年齢、職業、性格、過去の記憶などで定義しています。
「私は山田太郎で、35歳の会社員で、真面目な性格です」といった具合に。
しかし、これらはすべて後から付け加えられた「仮面(ペルソナ)」に過ぎません。
生まれたばかりの赤ん坊には、名前も肩書きもありませんでした。
さらに言えば、受精卵になる前、宇宙の意識の一部であったときのあなたは、何者だったのでしょうか?

「本来の面目」とは、そうした社会的なレッテルや、後天的に身につけたアイデンティティをすべて剥ぎ取った後に残る、純粋な「存在そのもの」のことです。
それは、汚れることもなければ、傷つくこともない。
増えることも減ることもない。
ただ、静寂の中に光り輝いている、あなたの命の根源的な姿です。
ヨガではこれを「真我(アートマン)」や「プルシャ(純粋意識)」と呼びます。
言葉は違えど、指し示している真実は同じです。

 

現代社会という「仮面舞踏会」の苦しみ

しかし、現代社会は私たちに「本来の面目」を忘れさせようとする圧力を絶えずかけ続けています。
私たちは幼い頃から、「立派な人になりなさい」「勝ち組になりなさい」「空気を読みなさい」と教育され、次々と新しい仮面を被ることを強要されます。

  • 良い社員の仮面
  • 良き妻・夫の仮面
  • 物分かりの良い友人の仮面
  • SNSでリア充を演じる仮面

仮面を被ること自体は、社会生活を円滑にするために必要なスキルかもしれません。
問題なのは、「仮面が肌に張り付いて取れなくなってしまうこと」です。
演じているうちに、演じている役柄こそが「本当の自分」だと錯覚してしまうのです。

「もっとフォロワーを増やさなきゃ」「もっと稼がなきゃ」「もっと若く見られなきゃ」
こうして私たちは、本来の自分が求めてもいない「外部の価値観」に振り回され、終わりのない競争(ラットレース)へと巻き込まれていきます。
その結果、心は渇き、得体の知れない不安や虚無感に襲われるようになります。
「何かが足りない」
「ここは私の居場所じゃない気がする」
そう感じるのは、あなたの内側にいる「本来の面目」が、分厚い仮面の下で窒息しかけているサインなのです。

 

ヨガとは「仮面を脱ぐ」リハーサル

ヨガ(Yoga)という言葉は、サンスクリット語で「結合する(Yuj)」を意味します。
何と結合するのか?
それは、バラバラになってしまった「仮面の自分(エゴ)」と「本来の自分(真我)」を、再び統合することです。

ヨガマットの上で行うアーサナ(ポーズ)や瞑想は、実は「仮面を脱ぐリハーサル」なのです。
社会的な肩書きも、誰かの期待も、過去の栄光も、すべてマットの外に置いてくる。
ただ、呼吸をする一人の生命体として、今この瞬間に存在する。
「身体が硬いから恥ずかしい」「ポーズが綺麗にできない」というジャッジ(判断)さえも手放していく。

シャヴァーサナ(屍のポーズ)で大の字になり、完全に脱力したとき、私たちは一時的に「何者でもない自分」に戻ります。
名前も、性別も、悩みも消え去った、ただの意識の広がり。
その静寂の中で感じる安らぎこそが、「本来の面目」の感触です。
「ああ、私は何かを達成しなくても、ただここに存在するだけで、すでに完全だったんだ」
その気づきが、細胞の一つひとつに染み渡っていく体験。
これこそが、ヨガが私たちに与えてくれる最大のギフトです。

 

本来の面目を取り戻すための3つのステップ

では、日常生活の中で、どうすればこの「本来の面目」と繋がり直すことができるのでしょうか。
スピリチュアルな視点から、3つの実践的なアドバイスをお伝えします。

① 「私は誰か?」と問い続ける(ヴィチャラ)
思考がネガティブになったり、感情が乱れたりしたとき、心の中でこう問いかけてみてください。
「今、怒っているのは誰?」
「今、不安を感じているのは誰?」
答えは「私」です。では、その「私」とは誰でしょう?
感情や思考は、空に浮かぶ雲のようなもので、あなたそのものではありません。
雲を眺めている「空」のような意識。それが本当のあなたです。
この問いかけを続けることで、感情(仮面)と自分(本来の面目)の間にスペースが生まれ、巻き込まれなくなります。

② 「何もしない時間」を恐れない
現代人は「生産性」の奴隷になっています。
何かをしていないと不安、スケジュールが埋まっていないと価値がないと感じてしまう。
しかし、「本来の面目」は、「すること(Doing)」ではなく「あること(Being)」の中に現れます。
1日5分でいいので、スマホを置き、情報を遮断し、ただぼーっとする時間を持ってください。
縁側でお茶を飲むように、ただ風を感じ、呼吸を味わう。
その「無駄」に見える時間こそが、魂の栄養補給になります。

③ 自分の「心地よさ」を羅針盤にする
社会の正解や、他人のアドバイスではなく、自分の身体が感じる「心地よさ(サントーシャ)」を信じてください。
本来の面目と一致した生き方をしているとき、心身は深くリラックスし、呼吸は深くなります。
逆に、無理をしているとき、身体は緊張し、呼吸は浅くなります。
身体は嘘をつきません。違和感を感じたら、立ち止まる勇気を持つこと。
それが、自分自身を大切にする(アヒムサ=非暴力)第一歩です。

 

結論:あなたは、そのままで完全である

禅の言葉に「柳は緑、花は紅(やなぎはみどり、はなはくれない)」というものがあります。
柳が緑色であること、花が紅色であること。
それは当たり前のことですが、それぞれが「あるがまま」の姿で、宇宙の真理を表現しているという意味です。
柳が「もっと赤くなりたい」と願ったり、花が「もっとしなやかになりたい」と悩んだりすることはありません。

あなたも同じです。
誰かになろうとする必要はありません。
何かを付け足す必要もありません。
ただ、余計なものを削ぎ落とし、本来のあなたが持っている輝きを、素直に世界に現せばいいのです。

「本来の面目」に出会う旅は、どこか遠くへ行くことではありません。
すでにここにある、一番近くの自分に「帰る」旅です。

重たい仮面をそっと置いて、本来の柔らかな顔で、深呼吸してみませんか。
そこには、あなたがずっと探していた「懐かしい安らぎ」が待っているはずです。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。