DAY 14 | 十四の虚栄心のかけら:他者の目と、自分自身の価値

自己啓発

「見えない観客に、私たちは何を演じているのか」

ミニマリストゲーム第二週の最終日、私たちは、この旅の中でも、最も繊細で、しかし最も根源的な執着と、向き合うことになります。それは、「虚栄心」です。言い換えれば、「他者からどう見られるか」という、見えない観客の視線です。

私たちは、自分一人のために、モノを選んでいるようで、その実、常に、この見えない観客の存在を、意識しています。ブランドのロゴが入ったバッグ、知的に見える本の並んだ本棚、流行を取り入れた服、友人が持っているのと同じガジェット。これらのモノたちは、その機能や、自分自身の純粋な好みのために選ばれたというよりも、「私はこういう人間です」「私はこのグループに属しています」というメッセージを、他者に向けて発信するための、小道具として、私たちの生活の中に配置されているのではないでしょうか。

これらの「虚栄心のかけら」は、私たちの自己イメージを支え、社会の中で、円滑に自分を位置付けるための、一種の鎧のような役割を果たしてくれています。だからこそ、それを脱ぎ捨てることは、まるで、無防備な裸の自分を、世界の前に晒すかのような、深い恐れを伴うのです。

今日、私たちは、十四の虚栄心のかけらを手放すという実践を通して、この重たい鎧を、一枚、また一枚と、脱いでいくことを試みます。それは、他者の評価という、揺れ動く不安定な大地から、自分自身の内なる価値という、揺るぎない大地へと、拠点を移すための、静かで、しかし、決定的な革命の始まりなのです。

 

モノが語る、「私」という記号

なぜ、私たちは、これほどまでに、他者の目を気にして、モノを選ぶのでしょうか。その答えは、現代社会が、モノを「記号」として消費する、高度なゲームの場となっている、という事実にあります。

かつて、モノの価値は、その「使用価値」、すなわち、どれだけ役に立つか、という点にありました。しかし、生産技術が発達し、あらゆるモノが、一定水準以上の品質を持つようになった現代において、モノは、その機能を超えた、「記号価値」を、その身に纏うようになりました。

高級腕時計は、時間を見るという機能以上に、「成功」や「富」という記号を。オーガニックコットンTシャツは、「着心地の良さ」という機能以上に、「倫理的で、環境意識の高いライフスタイル」という記号を、それぞれ象徴します。

私たちは、これらのモノを所有し、身にまとうことで、その記号が持つ意味を、自分自身のアイデンティティの一部であるかのように、他者に提示するのです。この「記号のゲーム」は、言葉を交わすことなく、瞬時に、自分が何者であるかを伝え、社会的なヒエラルキーの中に、自分を位置付けるための、効率的なコミュニケーションツールとして、機能しています。

しかし、このゲームには、終わりがありません。トレンドは絶えず移り変わり、次から次へと、新しい、より魅力的な記号が登場します。他者の評価を基準にしている限り、私たちは、このゲームから降りることはできず、永遠に、新しい記号を追い求め、消費し続けるという、終わりのない競争に、身を投じなければならないのです。

 

自己肯定感の源泉を、外部から内部へ

この記号のゲームの根底にあるのは、他者からの「承認」によって、自らの価値を確認したい、という、人間の根源的な欲求です。しかし、この承認欲求という渇きは、他者という外部の水源に頼っている限り、決して、完全に癒えることはありません。他者の評価は、気まぐれで、移ろいやすく、コントロール不可能なものだからです。

真の自己肯定感、すなわち、揺るぎない自己への信頼は、外部からの評価によってではなく、自分自身の内なる基準によってのみ、育まれるものです。アメリカの思想家ラルフ・ウォルド・エマーソンは、その著書『自己信頼』の中で、「汝自身以外のものに、汝の平和を求めようとするな」と説きました。社会の常識や、他人の意見といった、外部の権威に盲従するのではなく、自らの内側から聞こえてくる、静かで、微かな声にこそ、耳を傾けるべきだ、と。

ミニマリズムの実践は、このエマーソンの教えを、物理的なレベルで実行する、ラディカルな試みと言えるかもしれません。他者へのアピールのために所有していたモノ、すなわち、虚栄心という名の鎧を、一枚一枚、脱ぎ捨てていく。そのプロセスは、外部からの承認という、甘く、しかし不安定な支えを、自ら手放していく行為です。

最初は、不安で、心もとなく感じるかもしれません。しかし、すべての鎧を脱ぎ捨て、ありのままの、裸の自分として、世界に立つことを決意したとき、私たちは、驚くべき事実に気づくのです。外部の支えがなくても、自分は、自分自身の足で、ちゃんと立っていられる、という事実に。そして、その内側から湧き上がる、静かで、しかし、何ものにも揺るがされない、力強い感覚。それこそが、真の「自己信頼」なのです。

 

虚栄心の鎧を、見つけ、そして脱ぎ去るために

さあ、第二週の締めくくりとして、あなたのクローゼットや、リビングルームに潜む、十四の「虚栄心のかけら」を見つけ出す、内なる探検に出かけましょう。

それらを見つけ出すための、魔法の問いがあります。それは、「もし、明日から、誰にも会わず、誰にも見られない無人島で暮らすとしたら。それでも、私は、本当にこれを、持ち続けるだろうか?」という問いです。

この問いのフィルターを通して、あなたの持ち物を、もう一度、見つめ直してみてください。

一度も履いていない、高価な靴。
それは、あなたの足を喜ばせるためではなく、「これを履きこなせる私」を、誰かに見せるために、存在していませんか。
難解で、ほとんど読んでいない、哲学書。
それは、あなたの知的好奇心を満たすためではなく、「知的な私」を、本棚で演出するために、置かれていませんか。
分不相応だと感じている、ブランドのバッグ。
それは、あなたを力づけてくれますか。それとも、あなたが、そのバッグに「見合う」人間でなければならないと、プレッシャーを与えてきますか。

この問いかけによって、あなたの心をざわつかせ、居心地の悪さを感じさせるモノ。それこそが、あなたが、他者の目を意識して、無意識のうちに身にまとってしまった、虚栄心の鎧です。

それらを十四個見つけ出したら、感謝と共に、手放しましょう。それは、偽りの自分を演じることを、やめるという、解放の宣言です。

虚栄心という重い鎧を脱ぎ捨てたとき、あなたは、驚くほど身軽になっていることに気づくでしょう。もはや、他者の評価に、一喜一憂する必要はありません。あなたは、ただ、ありのままのあなたであれば、それで良いのです。この内なる自由と、静かな強さこそが、ミニマリストゲームの第三週、より深い自己変容の旅へと進むための、何よりの力となるのです。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。