129. シータリー呼吸 – 身体と心を冷やす月の息吹

自己啓発

私たちの内なるエネルギーには、太陽のように熱く活動的な側面(ピンガラ)があれば、月のように静かで冷静な側面(イダー)もあります。プラーナーヤーマの世界も同様に、カパラバティのように身体を温め、覚醒させる「陽」の技法があれば、その対極に、身体と心を鎮め、冷却する「陰」の技法が存在します。その代表が、「シータリー(Śītalī)」、そしてその変形である「シートカーリー(Śītkārī)」です。

シータリーとは、サンスクリット語で「冷却」「鎮静」を意味する言葉です。その名の通り、この呼吸法は、体内に溜まった過剰な熱を冷まし、心を穏やかに鎮める効果があります。特に、暑い夏の季節や、イライラ、怒り、焦りといった「熱い」感情に支配されている時に、まるで内側から涼しい風が吹き抜けるような、即効性のある安らぎをもたらしてくれます。

シータリーの実践方法は非常にユニークです。

  1. 楽な姿勢で座ります。

  2. 舌を口から突き出し、その両端を巻き上げて、細いストローのような形を作ります。(遺伝的にこれができない人もいます。その場合は、次に紹介するシートカーリーを実践してください。)

  3. この舌のストローを通して、シューという音を立てながら、ゆっくりと息を吸い込みます。まるで冷たい飲み物をストローで吸うように。

  4. 吸い込んだ息の冷たさが、口の中、喉、そして胸へと広がっていくのを感じてください。

  5. 息を吸いきったら、口を閉じ、鼻からゆっくりと息を吐き出します。

舌を丸めることができない場合は、「シートカーリー」を実践します。これは、唇を軽く開き、上下の歯を優しく合わせます。その歯の隙間から「シー」という音を立てて息を吸い込む方法です。効果はシータリーとほぼ同じです。

このシンプルな呼吸法がもたらすのは、単なる清涼感だけではありません。

生理学的には、体温を実際に少し下げる効果があると言われています。また、唾液の分泌を促し、喉の渇きを潤します。精神的には、過剰に高ぶった神経を鎮め、心に平穏をもたらします。古代のテキストでは、怒りや敵意を和らげ、心に満足感を与える効果があるとされています。

では、この「冷却」のプラーナーヤーマが、「引き寄せ」の智慧とどのように結びつくのでしょうか。

私たちが望む現実を創造する上で、最大の障害となるものの一つが、「熱い感情」です。

  • 焦り:「早く結果が欲しい」という焦りは、過剰な熱です。この熱は、信頼と委ねの心を焼き尽くし、宇宙の流れに抵抗するエネルギーを生み出します。

  • 怒り:思い通りにならない現実に対する怒りや不満は、破壊的な炎です。この炎は、感謝の心を忘れさせ、さらなる不満な現実を引き寄せる原因となります。

  • 執着:「こうでなければならない」という強い執着もまた、心を燃やす熱です。この熱は、より良い可能性や、予期せぬ素晴らしい展開を受け入れる柔軟性を奪ってしまいます。

シータリー呼吸は、これらの「引き寄せを妨げる熱」を鎮めるための、携帯可能な冷却装置のようなものです。感情が高ぶり、「もうダメだ」と感じた時、あるいは他者への嫉妬や自己への不満で心が燃え上がりそうな時。ほんの数回、この月の息吹を実践してみてください。

物理的な冷気が口から入ってくる感覚に集中することで、意識は燃え盛る感情から離れ、客観性を取り戻します。そして、高ぶった神経が鎮まるにつれて、あなたはより大きな視点から状況を見つめ直すことができるようになります。「まあ、いいか」「何とかなるだろう」という、軽やかで涼やかな心が戻ってくるのです。

この「心の冷却」は、宇宙の流れに身を任せる「受容性(イダー)」を育む上で決定的に重要です。熱くなっている時には見えなかった解決策や、新たな道筋が、心がクールダウンした時にふと見えてくることは少なくありません。シータリーは、あなたを感情の奴隷から、感情を賢く使うマスターへと変容させる手助けをしてくれるのです。

あなたの内に燃え盛る情熱は、創造のための大切な燃料です。しかし、その火が燃え広がり、あなた自身を焼き尽くしてしまっては元も子もありません。シータリーという月の智慧を学び、情熱の炎を賢くコントロールすることで、あなたは力強く、しかし常に穏やかで涼やかな心をもって、人生という旅路を歩んでいくことができるでしょう。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。