「手放す」の本当の意味を勘違いしていませんか?やりきった人だけが辿り着ける、ヨガの真髄と究極のリラックス

自己啓発

ヨガを推奨しております。
それは、ヨガが単なるストレッチではなく、人生を「生き切る」ための哲学だからです。

最近、ヨガやスピリチュアルな界隈でよく耳にする言葉があります。
「手放しましょう(Let it go)」
「執着を捨てましょう」
「頑張らなくていいんです」
「流れに身を委ねましょう」

とても耳触りの良い、甘美な言葉です。
現代社会の過酷な競争に疲れた私たちの心には、まるで極上の美容液のように染み渡ります。
しかし、ここで少し厳しいことを申し上げなければなりません。
多くの人が、この「手放す」という意味を決定的に勘違いしています。

はっきりと言っておきます。
何かを徹底的にやりきった人でなければ、本当に手放すことも、諦めることも、緩めることもできません。

中途半端な状態で「手放す」と言うのは、それは手放しているのではなく、ただ「逃げている」だけかもしれません。
今日は、少し耳が痛いかもしれないけれど、ヨガの核心に触れるとても重要なお話を静かに紐解いていきたいと思います。

 

「手放す」は、逃げ口上ではない

現代には「スピリチュアル・バイパス(霊的迂回)」という言葉があります。
現実の課題や苦しみ、面倒な人間関係や仕事の責任から目を背けるために、スピリチュアルな概念を隠れ蓑にすることです。

「嫌なことはしなくていい」
「ワクワクすることだけすればいい」
この言葉を、「じゃあ、面倒な努力は放棄して、楽な方へ逃げよう」と解釈してしまうと、それはヨガではなくただの怠惰(タマス)になります。

ヨガの経典『ヨガ・スートラ』には、ヨガの実践において車の両輪となる二つの概念が記されています。
それは「アビャーサ(修習・絶え間ない努力)」と「ヴァイラーギャ(離欲・手放すこと)」です。

見てください。
「手放すこと」の前に、必ず「絶え間ない努力」がセットになっているのです。
熱を持って取り組み、行動し、汗をかき、壁にぶつかり、それでも進もうとする「アビャーサ」があって初めて、結果への執着を手放す「ヴァイラーギャ」が機能します。

何も持っていない手を開いても、そこから何も落ちてはいきません。
強く握りしめたものがあるからこそ、手を開いた瞬間に「落ちていく」感覚、「軽くなる」感覚、「手放した」という実感を味わえるのです。

 

やりきるとは、燃やし尽くすこと(タパス)

なぜ、やりきることが必要なのでしょうか。
それは、私たちの中にある「未完了のエネルギー」を燃やし尽くすためです。

「あの時、もっとやっておけばよかった」
「全力を出していたら、どうなっていただろう」
この「たら・れば」という後悔の念こそが、最も強力な執着となって、私たちの心を過去に縛り付けます。
中途半端に辞めたことほど、亡霊のようにいつまでも追いかけてくるのです。

一方で、結果はどうあれ「これ以上は無理だ」「自分にできることは全てやった」と言えるまでやりきった時、どうなるでしょうか。
不思議なことに、執着が自然と消えていくのです。
「人事を尽くして天命を待つ」という境地です。
これが本当の意味での「諦める(明らめる)」です。
物事の理(ことわり)が明らかになり、自分のコントロールできる領域を超えたことを悟る。

この燃焼のプロセスを、ヨガでは「タパス(熱業)」と呼びます。
不純物を焼き尽くすための熱です。
仕事でも、人間関係でも、趣味でもいい。
一度、その熱の中に身を投じて、灰になるまで燃やし尽くしてみる。
その灰の中からしか、不死鳥のような本当の自由は生まれません。

 

シャヴァーサナ(屍のポーズ)が気持ちいい理由

ヨガのクラスの最後に行う「シャヴァーサナ(屍のポーズ)」。
ただ仰向けになって寝ているだけのポーズですが、あれがなぜ至福の時間なのでしょうか?

それは、その前の60分や90分、身体を動かし、筋肉を使い、呼吸を深め、集中し続けたという「動(Action)」があるからです。
極限まで「緊張」させたからこそ、極上の「弛緩(Relaxation)」が訪れます。
一日中ダラダラと寝ていたあとにシャヴァーサナをしても、あの深い安らぎは訪れません。ただの昼寝の延長になるだけです。

人生も同じです。
「緩める」ためには、一度ピンと張る必要があります。
「休む」ためには、一度動く必要があります。
現代人は、動くことをせずに緩もうとし、張ることをせずにリラックスを求めます。
それでは、本当の休息には到達できません。
ただ、ぼんやりとした不安が続くだけです。

 

カルマ・ヨガの教え:行為の結果を手放す

インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』において、クリシュナ神は迷える戦士アルジュナにこう説きました。
「行為(カルマ)そのものには専念せよ。しかし、行為の実り(結果)には執着するな」

これは「結果はどうでもいいから適当にやれ」という意味ではありません。
逆です。
「戦え、行動せよ、自分の役割を全うせよ」と鼓舞しているのです。
結果が成功するか失敗するか、賞賛されるか批判されるか、それは宇宙(神)の領域です。
あなたの領域は、今この瞬間の行為に、全身全霊を注ぐことだけです。

現代社会の問題点は、行動する前から「コスパ」や「タイパ」を考えて、結果が見えないことには手を出さないという姿勢にあります。
「これをやって何の意味があるの?」と問う前に、まずは没頭してみる。
損得勘定というエゴの計算を超えて、純粋な行為(フロー状態)に入っていく。
その没頭の先にこそ、エゴが消滅し、すべてが「手放された」状態が待っています。

 

スピリチュアルな視点:意図と過剰ポテンシャル

ここからは少し、意識の使い方の話をしましょう。
リアリティ・トランサーフィンなどの現代的な概念では、「過剰ポテンシャル」という考え方があります。
何かに強い重要性を与えすぎると(絶対に成功させたい!失敗したら終わりだ!)、バランスを崩す力が働き、かえってうまくいかなくなるという法則です。

ここで多くの人が勘違いします。
「じゃあ、重要度を下げればいいんだ。願いなんて持たなくていいんだ」と。
そして、何もしなくなります。

違います。
「意図」とは、「手に入れると決めて、行動すること」です。
「行動」は、過剰ポテンシャルを解消する最高の特効薬なのです。
不安や執着という余計なエネルギーは、行動という運動エネルギーに変換されることで霧散します。

悩んでいる暇があったら、手を動かすこと。
心配している暇があったら、一歩足を踏み出すこと。
行動している最中は、私たちは「手放し」ています。
なぜなら、「今、ここ」に完全に集中しているからです。
逆説的ですが、徹底的に行動している人だけが、結果への執着から自由になれるのです。

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結論:握りしめた拳を、開くために

もし今、あなたが何かを手放せずに苦しんでいるとしたら。
諦めきれずにモヤモヤしているとしたら。
それはまだ、手放すタイミングではないのかもしれません。
まだ、その手の中にあるものを、味わい尽くしていないのかもしれません。

無理に手放そうとしなくていいのです。
むしろ、一度思いっきり握りしめてみてください。
「絶対にやってやる」と、エゴを燃やしてみてください。
泥臭く、必死に、スマートじゃなくてもいいから、やりきってみてください。

そのプロセスの果てに、
「ああ、もう十分だ」
と、心の底から思える瞬間が必ず来ます。
誰に言われるでもなく、自然と指の力が抜け、掌が開いていく瞬間が来ます。
落ちていく荷物を見送るとき、あなたは一抹の寂しさと共に、かつてないほどの清々しさを感じるでしょう。

それが、ヨガの教える「手放す(ヴァイラーギャ)」です。
その時、あなたの手は空っぽになります。
しかし、空っぽになったその手は、無限の新しい何かを受け取る準備ができたということです。

まずは、マットの上で、あるいは日常の中で、汗をかきましょう。
緩めるのは、その後で十分間に合いますから。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。