一年という大きなサイクルの終わりに立つ時、私たちの心には様々な思いが去来します。達成できたことへの満足感、叶わなかったことへの悔い、楽しかった思い出、そして乗り越えた困難の記憶。私たちは無意識のうちに、人生の出来事を「良いこと」と「悪いこと」に分類し、前者には喜び、後者には抵抗や後悔を感じがちです。しかし、より高い視点から自らの歩みを眺めた時、その二元的な分類がいかに表層的なものであったかに気づかされます。
ヨガの教えにある「サントーシャ(知足)」は、単に「今あるものに満足しなさい」という消極的な教えではありません。その真髄は、自らの人生に起こったことのすべてを、光も影も、成功も失敗も、出会いも別れも、その一切を、魂の成長のために必要不可欠な恩寵であったと受け入れ、感謝するという、極めて能動的で創造的な態度なのです。
あなたの人生を、一枚の壮大なタペストリーとして想像してみてください。喜びや成功の瞬間は、輝く金色の糸かもしれません。しかし、悲しみや困難、失敗の経験は、その輝きを一層際立たせるための、深く、豊かな色彩の糸なのです。もし、その暗い色の糸がなければ、タペストリーはどれほど単調で深みのないものになってしまうでしょうか。あなたが「失敗」と呼んだ経験が、あなたに謙虚さを教え、「喪失」と嘆いた出来事が、あなたに愛の真の価値を示してくれたのかもしれません。あなたを傷つけたと感じた人ですら、あなたの内なる強さや慈悲心を引き出すための、重要な役割を演じてくれた師であった可能性はないでしょうか。
この視点に立つための具体的な実践として、あなたの人生年表を静かに書き出してみることをお勧めします。そして、特に辛かった、困難だったと感じる出来事の横に、「この経験が私に与えてくれた贈り物は何か?」と書き加えてみてください。すぐには答えが見つからないかもしれません。しかし、心を静め、深く問い続けることで、すべての出来事が、今のあなたを形作るために、いかに完璧な配置で起こっていたかが見え始めてくるはずです。
このプロセスは、一種の錬金術です。過去の記憶という鉛に、感謝という賢者の石を触れさせることで、それは智慧という黄金へと変容します。この変容が起こる時、私たちは過去の呪縛から完全に解放されます。もはや、後悔や恨みという重荷を背負って歩く必要はありません。すべての過去は、現在の自分を支える、力強い土台へと変わるのです。
人生に無駄なことは、一つもありませんでした。すべての道、すべての涙、すべての笑顔が、あなたを今この場所へと導くために必要でした。あなたの人生のすべてを、その完璧さを、ただ静かに受け入れ、心の底から感謝を捧げましょう。この全肯定のエネルギーこそが、あなたの未来を、さらなる光と豊かさで満たす、最もパワフルな創造の源泉となるのです。


