私たちは、何か大切なことを成し遂げようとする時、つい眉間にしわを寄せ、深刻な顔つきになってしまいがちです。「目標達成のためには、血の滲むような努力と自己犠牲が必要だ」という物語を、私たちはどこかで深く内面化してしまっています。しかし、宇宙の創造の法則は、私たちのこの生真面目さを笑い飛ばすかのように、全く異なる真実を指し示しています。それは、「楽しむこと」「遊ぶこと」こそが、最もパワフルで、最も効率的な創造のエネルギーである、という事実です。
少しスピリチュアルな視点を借りるなら、私たちの魂の本来の状態は、喜び、愛、そして遊びの感覚に満ちています。深刻さ、不安、義務感といった感情は、エゴ(自我)が生み出す低周波のエネルギーです。あなたが楽しんでいる時、遊んでいる時、心から笑っている時、あなたのエネルギーの周波数(波動)は自然と高まり、魂の本来の周波数と共鳴します。この高周波の状態こそが、望む現実を磁石のように引き寄せるための最適な「受信モード」なのです。
東洋思想、特にインド哲学には、「リーラ(Līlā)」という概念があります。これは「神の戯れ」と訳され、この宇宙の森羅万象すべては、絶対者であるブラフマンが、特に目的もなく、ただ純粋な喜びのために展開している壮大な遊びなのだ、という世界観です。この視点に立つと、私たちの人生で起こる「成功」も「失敗」も、すべてはこの宇宙的な遊びの一部であり、深刻に捉える必要など何一つない、ということになります。
この「楽しむ」というエネルギーを、私たちは子供たちの姿に最も純粋な形で見出すことができます。子供たちは、砂場で城を作る時、「立派な城を完成させなければならない」というプレッシャーからではなく、作ることそのものの喜びに没頭しています。彼らは結果ではなく、プロセスそのものを楽しんでいます。そして、驚くべき集中力と創造性を発揮します。この「フロー状態」とも呼ばれる没頭の感覚こそ、私たちが取り戻すべき創造の原点です。
あなたが自分の願いを深刻に捉えすぎると、そこには「それが手に入らないと困る」という欠乏感や執着がまとわりつきます。この執着のエネルギーは重く、流れを堰き止めてしまいます。一方で、あなたが「これが叶ったら、最高に楽しいだろうな!」と、まるでゲームのように軽やかに意図する時、そのエネルギーは軽やかで、宇宙の流れに乗りやすくなります。
「楽しむこと」は、目標達成のための「手段」ですらありません。楽しんでいるその瞬間、あなたはすでに「目的地」にいるのです。なぜなら、私たちが何かを欲するのは、突き詰めれば、その先にある「喜び」や「幸福感」という感情を味わいたいからです。楽しむという行為は、その最終目的地である感情を「今、ここで」先取りしていることに他なりません。この「すでに在る」という感覚こそが、さらなる喜びの現実をあなたの元へと引き寄せるのです。
【今日の実践】
あなたの「願い事リスト」を、「楽しいことリスト」に書き換えてみましょう。そして今日一日、そのリストの中から、最も費用や時間がかからず、すぐにできる「楽しいこと」を一つ、実行してみてください。それは、好きな音楽をかけて踊ることかもしれないし、美味しいコーヒーを丁寧に淹れることかもしれません。公園でブランコに乗ることだっていいのです。大切なのは、その行為を通して、心の底から「楽しい!」「嬉しい!」という感情を全身で味わい尽くすことです。この純粋な喜びのエネルギーが、あなたの現実創造のエンジンをパワフルに再起動させてくれるでしょう。


