私たちは、体調を管理するために体温を測り、体重をコントロールするために体重計に乗ります。では、私たちの活力や気分、日々のパフォーマンス、そして引き寄せる現実に直接的な影響を与えている「エネルギーレベル」については、どれほど意識的に目を向けているでしょうか。ヨガでいうプラーナ、すなわち生命エネルギーの満ち引きを客観的に把握する術を身につけることは、真のセルフケアと、意図的な人生創造の、最も重要な第一歩と言えるでしょう。
ヨガの修行とは、粗大で物質的な肉体(アンナマヤ・コーシャ)への気づきから始まり、より微細なエネルギーの身体(プラーナマヤ・コーシャ)、感情と思考の身体(マノマヤ・コーシャ)へと、意識の焦点を内側へ、内側へと深めていく旅です。自分のエネルギーレベルを客観視することは、まさにこのプラーナマヤ・コーシャの状態に対する「マインドフルネス(気づき)」の実践に他なりません。
あなたの現在のエネルギーレベルを知るための、いくつかの指標があります。ぜひ、ご自身の状態をセルフチェックしてみてください。
まず【身体的なサイン】です。
エネルギーレベルが高い時、身体は軽く感じられ、朝の目覚めはすっきりとし、日中も疲れにくく、自然と背筋が伸びて姿勢が良くなります。呼吸は深く、ゆったりとしています。
逆にレベルが低い時、身体は重くだるく、朝起きるのが辛いかもしれません。慢性的な疲労感があり、気づくと猫背になっていて、呼吸は浅く速くなりがちです。原因不明の頭痛や肩こりも、エネルギーの滞りのサインであることが多いのです。
次に【感情的・精神的なサイン】です。
エネルギーに満ちている時、気分は明るく楽観的で、新しいアイデアが次々と湧き上がります。物事の良い面に目が向き、感謝の気持ちが自然に湧いてきます。集中力が高く、他者の些細な言動に心を乱されることも少なくなります。
逆にエネルギーが枯渇している時、些細なことでイライラしたり、漠然とした不安や心配事に心が囚われたりします。何事にもやる気が起きず、物事を悲観的に捉えがちです。集中力は散漫になり、他者に対して不寛容になる傾向があります。
これらのサインに気づくための、具体的なツールと実践法があります。
一つは「エネルギー・ジャーナリング」です。一日の終わりに、今日のエネルギーレベルを1から10のスケールで評価し、その理由を書き出してみましょう。何を食べ、誰と会い、何をした時にエネルギーが上がり、あるいは下がったのか。数日間続けるだけで、あなたのエネルギーの増減に影響を与える、個人的なパターンが驚くほど明確に見えてきます。
「ボディスキャン瞑想」も非常に有効なツールです。静かに座るか仰向けになり、意識を足先から頭頂まで、ゆっくりと身体の各部位へと巡らせていきます。どこかに緊張や重さ、冷たさを感じないか。あるいは、温かさや軽やかさ、脈動を感じる場所はないか。良い悪いの判断を加えず、ただありのままの感覚を観察することで、エネルギーが滞っている場所や、逆に満ちている場所を、身体を通して知ることができます。
そして最も手軽なのは「呼吸の観察」です。今、あなたの呼吸は深いですか、浅いですか? 速いですか、ゆっくりですか? 呼吸は、私たちのエネルギー状態を最も正直に反映するバロメーターです。
自分自身を客観視する能力は、他者との比較や外部の基準によってではなく、このような自己との丁寧な対話を通してのみ養われます。この「自己モニタリング能力」こそが、学びと成長の基盤であり、あなたがあなた自身の最高の師となるための鍵です。
自分のエネルギーレベルを客観視することは、車のダッシュボードにある燃料計を確認するようなものです。ガス欠で立ち往生してしまう前に、いつ、どのような「給油」(休息、栄養、自然との触れ合い、人との交流など)が必要なのかを、的確に知ることができるようになります。この自己観察の習慣こそが、持続可能で、しなやかで、活力に満ちた人生を送るための、信頼できる羅針盤となるのです。


