大人になると、私たちはつい物事に「正解」や「成果」を求めてしまう傾向があるのではないでしょうか。
しかし、人生を豊かにするためには、もっと「遊ぶ」感覚を取り戻すことが大切になります。
今回は、ヨガマットの上で純粋に遊ぶことが、いかにして脳の柔軟性を高め、心身を解放していくのかについてお話ししていきましょう。
「遊戯三昧」と東洋思想における遊びの歴史的背景 遊びという概念は、東洋思想の歴史において非常に重要な位置を占めてきました。
中国の古代思想家である荘子は、「逍遙遊(しょうようゆう)」という言葉を残しています。
これは何かの目的のためにあくせくするのではなく、とらわれのない心で自由に世界を遊び歩く境地を意味した概念にほかなりません。
また、日本古来の禅の精神には「遊戯三昧(ゆげざんまい)」という教えが存在します。
これは、何事にも執着せず、今この瞬間の行為そのものに完全に没頭し尽くすことを指す仏教用語となります。
現代の私たちは、資本主義社会の中で絶えず「記号の消費」や「他者からの評価」にさらされ、知らず知らずのうちに心をすり減らしていることでしょう。
ヨガの八支則にある「サントーシャ(知足:今あるものに満足すること)」を体現し、結果を気にせずにただ身体を動かすことの喜びに浸る時間が、本来の自分を取り戻すための鍵となるはずです。
脳の柔軟性(神経可塑性)の科学的メカニズム ヨガで遊ぶことは、精神論にとどまらず、最先端の科学の観点からもその効果が実証されつつあります。
ここで重要なキーワードとなるのが「神経可塑性」という専門用語を紐解いてみましょう。
神経可塑性とは、新しい経験や学習、環境の変化に応じて、脳の神経回路が自ら配線をつなぎ変え、構造的にも機能的にも変化する能力を定義したものになります。
海外の最新研究によれば、ヨガの実践は脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれるタンパク質の分泌を促し、記憶や学習に関わる海馬の体積を維持・増加させることが明らかになりました。
マットの上で、普段やらない難しいアサナ(ポーズ)に挑戦してバランスを崩したり、失敗して笑い合ったりする「Playfulness(遊び心)」の刺激が、脳に新しい回路を生み出すのです。
「間違えないように完璧なポーズをとらなければ」という緊張状態よりも、「転んでもいいから試してみよう」という好奇心の方が、はるかに脳のアンチエイジングに寄与すると言えるでしょう。
執着を手放すミニマリズムとENQAN(ヨガ)の実践 EngawaYogaでは、身体を通じた実践をENQAN(ヨガ)と呼び、日々の鍛錬を大切にしてきました。
ヨガを深める上で効果的なのが、物理的な物だけでなく、心の中の不要なルールやプライドを削ぎ落とすミニマリズムの思想を取り入れるアプローチが効果的です。
「ポーズは美しく見えなければならない」という執着を手放すことで、私たちは初めて自由に動くことができるようになるでしょう。
例えば、目を閉じてバランスポーズをとってみたり、これまで避けていた苦手な動きにわざと取り組んでみたりするのも面白い試みとなります。
選択肢や固定観念を最小限に減らすことで、かえって身体の感覚は研ぎ澄まされ、直感的な気づきが生まれやすくなるわけですね。
このように、余計なものを手放してシンプルに遊ぶプロセスこそが、脳の凝り固まった配線を書き換え、私たちが本来持っている波動(SIQAN)を軽やかに整えてくれるに違いありません。
日常の抽象度を上げ、自己探求(JIQAN)を深める ヨガで培った脳の柔軟性と遊び心は、そのまま日常生活の質を根本から変容させる力を持っています。
物事を「成功か失敗か」という二元論でジャッジするのをやめ、少し抽象度を上げて日常を眺めてみてください。
すると、些細な出来事の中にも、たくさんのときめきや喜びが隠れていることに気づけるようになります。
この視点の転換は、自分の人生の「王道」を見極めるための内観、すなわち自己探求(JIQAN)を深める上で欠かせない要素となるはずです。
結果を求めず、ただ純粋に今を味わい尽くしてみてください。
マットの上で思い切り遊ぶことで、脳を柔らかくし、心身脱落した自由な状態へとご自身を導いてあげてほしいと思います。
あなたの人生という壮大な遊びが、より輝きに満ちたものになることを心から願ってやみません。




