316.今やっていることに100%の注意を向ける

365days

禅の世界には、「喫茶喫飯(きっさきっぱん)」という言葉があります。「茶を飲むときは、ただ茶を飲み、飯を食うときは、ただ飯を食え」という意味です。この短い言葉の中に、心を静め、今この瞬間を十全に生きるための、深遠な叡智が凝縮されています。これは、私たちが目指すヨガ的な生き方の核心であり、前項で述べたシングルタスクを、さらに深く、実践的なレベルへと押し進めるための指針となります。

私たちの心は、ほとんどの時間、「今」にいません。皿を洗いながら、昨日の上司の言葉を反芻したり、明日のプレゼンのことを心配したりしています。身体は台所にありますが、心は過去や未来という、もはや存在しないか、まだ存在しない場所を彷徨っているのです。この心と身体の分離こそが、私たちのエネルギーを消耗させ、日々の営みから喜びや実感を奪い去る元凶です。

「今やっていることに100%の注意を向ける」とは、この分離した心と身体を、再び一つに統合するための実践です。それは、近年広く知られるようになった「マインドフルネス」の本質そのものと言えるでしょう。それは、何か特別なことをする必要はありません。あなたの日常の、ありふれた、時には退屈にさえ思える行為の一つ一つを、神聖な儀式の舞台へと変える試みなのです。

例えば、朝の歯磨き。あなたは普段、何を考えながら歯を磨いていますか? おそらく、今日のスケジュールや、昨夜見た夢のことでしょう。そうではなく、歯磨きという行為そのものに、全神経を集中させてみるのです。歯ブラシを持つ手の感触、毛先が歯や歯茎に触れる感覚、歯磨き粉のミントの香り、口の中に広がる泡の感触、そして水を吐き出す時の音。そこには、驚くほど豊かで微細な感覚の世界が広がっていることに気づくはずです。

あるいは、掃除の時間。掃除機をかけながら、そのモーター音の振動、床の上を滑るヘッドの動き、ホコリが吸い込まれていく様子に意識を向けます。雑巾で床を拭く時は、腕の筋肉の動き、水の冷たさ、そして拭き清められた床の輝きを、ただ感じます。

この実践は、行為の結果に対する執着から私たちを解放してくれます。これは、古代インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』で説かれる「カルマヨガ(行為のヨガ)」の教えと深く響き合います。カルマヨガとは、行為の結果に期待したり、一喜一憂したりすることなく、ただ、行為そのものに身を捧げる生き方です。今やっていることに100%の注意を向ける時、私たちは自然と「うまくやろう」「早く終わらせよう」といった結果へのこだわりから自由になります。行為が、目的のための手段ではなく、それ自体が目的となるのです。その時、退屈な作業は、世界との交感の場、動く瞑想へと変容します。

引き寄せの観点から見ると、この実践は極めて重要です。なぜなら、私たちの創造の力、現実を形作る力は、過去や未来には存在せず、唯一「今、この瞬間」にのみ存在するからです。私たちが「今」から意識を逸らし、未来の欠乏(まだ手に入れていないもの)や過去の不足(満たされなかったこと)に心を奪われている時、私たちはその欠乏や不足の波動を宇宙に発信し続けていることになります。

しかし、「今、ここ」の行為に100%没入している時、そこに欠乏の入り込む隙間はありません。ただ、皿を洗うという行為の充足感、歯を磨くという行為のリアリティがあるだけです。その「今、満たされている」という感覚、その静かで力強い波動こそが、さらなる豊かさや調和を引き寄せる、最も確かな磁場となるのです。未来を創造するための最も効果的な方法は、未来を思うことではなく、今この瞬間を、全身全霊で生き切ることなのです。



【ショートメール講座】
1年で、人生はもっと身軽になる。
ブログのエッセンスを365通に凝縮した「あるがままに生きるヒント365」。
毎日届く本質的な言葉が、あなたの運気と視点をアップデートします。
軽やかな日々へのヒントをお受け取りください。

【ENGAWA】あるがままに生きるヒント365
は必須項目です
  • メールアドレス
  • メールアドレス(確認)
  • お名前(姓名)
  • 姓 名 

      

- ヨガクラス開催中 -

ENQAN(エンカン):【軽い身体へ】
野生的な身体と、極限の軽さを研ぎ澄ますヨガ
「その身体は、まだ野生を知らない。」

太陽礼拝から始まる怒涛のアーサナ、そして逆転・後屈が織りなす圧倒的な運動量。
都市の重力に縛られた身体を呼び覚まし、
エゴを解体するダイナミックなシークエンス。

重力から解放された「野生的な器(身体)」を再構築し、
直観が鋭く働く、極限まで軽い身体へとあなたをチューニングします。

『ぐずぐずしている間に
人生は一気に過ぎ去っていく』

人生の短さについて 他2篇 (岩波文庫) より

- 内観クラスも開催中 -

JIQAN(ジカン):【軽い自己へ】
自己をどこまでも軽くし、人生をシフトさせる探究
「自己を『増やす』のをやめれば、人生は軽くなる。」

恐怖、恥、プライド、重いエゴを削ぎ落とし、
自己を極限まで軽くする「自己螺旋探究プログラム」。
身体の解放(ENQAN)を土台に、内観を通じて不足から充足の世界へ。

重い自己を脱ぎ捨て、本来のあなたが歩むべき「王道」へ
平行移動を始めましょう。

『色々と得たものをとにかく一度手放しますと、
新しいものが入ってくるのですね。 』

あるがままに生きる 足立幸子 より

- 瞑想会も開催中 -

engawayoga-yoyogi-20170112-2

SIQAN(シカン):【軽い波動へ】
日本一簡単な「心身脱落」の、ただゆるめる瞑想
「何もしないことが、最大の解決策になる。」

「集中しよう」とする作為を捨て、ただ肩の荷を下ろしていく。
心身脱落・脱落心身の境地へ誘う、
日本一簡単なミニマル瞑想。

身体を弛緩させることで淀んだ重みは消え、
クリアなオーラと軽い波動が自然に訪れます。
「ただ在るだけ」という充足が、本来の状態であることに気づく時間を。

瞑想は時間×回数×人数に比例して深まります。

『初心者の心には多くの可能性があります。
しかし専門家と言われる人の心には、
それはほとんどありません。』

禅マインド ビギナーズ・マインド より

- おすすめ書籍 -

ACKDZU
¥1,250 (2026/04/29 14:11:38時点 Amazon調べ-詳細)
¥2,079 (2026/04/30 02:38:17時点 Amazon調べ-詳細)

ABOUT US

アバター画像
Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。