166.期待を手放し、信頼を選ぶ

365days

私たちの日常は、無数の「期待」という糸で織り上げられています。「パートナーはこうしてくれるはずだ」「努力すればこのプロジェクトは成功するはずだ」「この道を行けば、幸せになれるはずだ」。これらの期待は、未来への希望となり、行動のエネルギー源となる一方で、私たちの心を縛り、失望という苦しみを生み出す、もろ刃の剣でもあります。

期待とは、一体何なのでしょうか。それは、未来という未知のキャンバスに、自分の都合のよいシナリオをあらかじめ描き込み、「その通りになれ」と要求する、エゴの働きです。それは、他者や世界に対して、目に見えない契約書を突きつけ、自分の思い通りに動くことを強いる行為に他なりません。そして、その契約が履行されなかった時、私たちは「裏切られた」と感じ、怒りや悲しみに囚われるのです。

この「期待」という心のあり方と、似ているようで本質的に異なるのが「信頼」です。ヨガ哲学の文脈で言えば、期待は自己中心的なエゴ(アスミター)の産物であり、信頼はより大きな流れへの「委ね(イーシュワラ・プラニダーナ)」の現れです。

両者の違いは決定的です。

期待は「条件的」です。「あなたがこうしてくれたら、私は満足する」という条件付きの愛です。

信頼は「無条件的」です。「あなたがどうあろうと、私はあなたの最善を信じている」という無条件の受容です。

期待は「結果」に焦点を当てます。「こうならなければダメだ」という一点にエネルギーを集中させ、それ以外の可能性を排除します。

信頼は「プロセス」に焦点を当てます。「どんな結果になろうとも、それは今の私にとって最善の学びであり、プロセスの一部である」と受け入れ、あらゆる可能性に心を開きます。

期待は「コントロール」しようとします。他者や状況を自分の思い通りに操作しようと試みます。

信頼は「手放し」ます。結果をコントロールすることをやめ、宇宙の采配や相手の自由意志を尊重します。

期待に満ちた心は、常に緊張し、未来を監視しています。肩はこわばり、呼吸は浅くなります。一方、信頼に満ちた心は、リラックスし、今この瞬間に根ざしています。山のポーズ(タダーサナ)のように、どっしりと大地に立ち、呼吸は深く、穏やかです。

では、どうすれば期待を手放し、信頼を選ぶことができるのでしょうか。それは、まず、自分が無意識に抱いている期待に「気づく」ことから始まります。誰かに対して、あるいは何かの状況に対して、イライラしたり、がっかりしたりした時、それは期待が裏切られたサインです。その瞬間に立ち止まり、「私は、本当は何を期待していたのだろう?」と自問してみてください。その期待を紙に書き出すのも良いでしょう。

そして、その期待が、いかに自分のエゴから来ており、相手や状況を縛るものであるかに気づくのです。その上で、意識的に「信頼」へとスイッチを切り替えるのです。「私の思い通りにならなくても、きっとこれでいいんだ。この経験には、私がまだ知らない意味があるのかもしれない。私は、宇宙の計らいを信頼しよう。私は、この人の力を信頼しよう」。そう心の中で唱え、深く息を吐きます。

これは、カルマヨガ、すなわち「結果への執着なき行為」の実践そのものです。私たちは、なすべきことを丁寧に行い、最善を尽くす。しかし、その結果がどうなるかは、私たちのコントロールを超えた、様々な要因の織りなすタペストリーです。その結果を、天に、あるいは大いなる流れに、そっとお還しする。これが信頼の態度です。

期待を手放すことは、無気力になることでも、無責任になることでもありません。それは、無駄な心のエネルギー消費をやめ、もっと軽やかに、しなやかに生きるための、成熟した大人の選択です。期待という狭い一本道から、信頼という無限の可能性が広がる野原へと、足を踏み出してみませんか。そこでは、予期せぬ出会いや、想像を超えた美しい景色が、あなたを待っていることでしょう。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。