95. タパス(苦行) – 自らを鍛え、内なる炎を燃やす

365days

ニヤマ(勧戒)の中に「タパス」という言葉があります。多くの人はこれを「苦行」と訳し、断食や不眠、あるいは身体を極度に痛めつけるような、自虐的で厳しい修行を想像するかもしれません。確かに、タパスの語源である「tap」は「熱する」「燃やす」を意味し、そこにはある種の厳しさや負荷が含まれています。しかし、ヨガ哲学におけるタパスの本質は、無意味な自己否定ではなく、自分自身という原石を磨き上げ、不純物を燃やし尽くし、内なる純粋な輝きを引き出すための、意識的で情熱的な「鍛錬」なのです。

私たちの心と身体は、放っておくと快適さや楽な方へと流されがちです。これは、生命エネルギーを温存しようとする自然な働きですが、同時に成長を妨げ、停滞を生む原因ともなります。この怠惰や慣性の状態を、ヨガでは「タマス」と呼びます。タパスとは、このタマスな状態に意図的に「熱」を加え、挑戦という負荷をかけることで、自分自身をより高い次元へと鍛え上げていくプロセスです。それは、不純物を含んだ鉄鉱石を炉に入れて熱し、不純物を燃やし去って、強靭な鋼鉄を生み出す錬金術にも似ています。

では、現代を生きる私たちは、どのようにタパスを実践すればよいのでしょうか。それは、なにもヒマラヤの洞窟に籠ることではありません。タパスは、私たちの日常生活の中に、無数に実践の機会を見出すことができます。

ヨガのアーサナの練習は、その最たるものです。少し「きついな」と感じるポーズを、逃げ出さずに、あともう一呼吸だけ保ってみる。その瞬間に生まれる内なる熱、それがタパスです。あるいは、毎朝あと5分だけ寝ていたいという心地よい誘惑に打ち勝ち、決めた時間にすっきりと起き上がる。これも立派なタパスの実践です。

他にも、いつもはエスカレーターを使うところを階段で上ってみる、週末に少しだけ食事の量を減らしてみる、なんとなく見てしまうテレビやSNSの時間を、読書や瞑想の時間に充ててみる。これらすべてが、快適さへの引力に抗い、自分の意志力を鍛えるための、日常的なタパスとなり得ます。

ここで重要なのは、タパスは常にアヒンサー(非暴力)の原則と共にあるべきだということです。自分を痛めつけ、傷つけるほどの過度な負荷は、タパスではなく単なる自己破壊です。その動機が「自分はダメだから罰しなければ」という自己否定から来ているのなら、それはヨガの道から外れています。タパスの動機は、あくまで「自分をより良く成長させたい」という、自己への愛と信頼に基づいているべきなのです。それは、厳しいけれども愛情深い師が、弟子の可能性を信じて課題を与えるのに似ています。

タパスの実践を通して、私たちは意志の力(サンカルパ・シャクティ)を養います。そして、この鍛錬によって生まれた内なる熱(アグニ)は、心身に溜まった古い習慣や思い込みのパターン(サムスカーラ)を焼き尽くす浄化の炎となります。この炎によって不純物が燃え尽きたとき、私たちの内側には、「テジャス」と呼ばれる精神的な輝き、オーラのようなものが生まれるとされています。

引き寄せの法則という観点から見ると、タパスは、あなたの意図を現実化させるための「エンジン」を強化するようなものです。いくら素晴らしい目的地(願い)を描いても、そこへ向かうための意志力や集中力、持続力がなければ、旅の途中で挫折してしまいます。タパスは、その旅を力強く進むための精神的な筋力を鍛えるトレーニングです。「私は決めたことをやり遂げられる人間だ」という自己信頼、セルフエフィカシーは、タパスの積み重ねによってしか育まれません。そして、この揺るぎない自己信頼の波動こそが、あなたの意図に力を与え、現実を動かす強力な磁力となるのです。

タパスは、安楽な人生からの逃避ではありません。むしろ、人生の挑戦を正面から引き受け、それを自己成長の燃料として燃やす、情熱的な生き方そのものです。自らに健全な負荷をかけ、内なる炎を燃やし続けるとき、あなたは困難をものともしない、強くしなやかな魂の持ち主となるでしょう。その炎は、あなた自身の道を照らすだけでなく、周りの人々をも温める光となるのです。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。