好きなことを仕事にする。
この言葉は、現代においてあまりにも使い古され、手垢にまみれてしまった感があります。
キラキラとした成功法則として語られることもあれば、現実逃避の甘い言葉として批判されることもあります。
しかし、もしあなたが「好きなこと」という言葉の定義を、もっと深い場所から捉え直せるとしたらどうでしょうか。
それは単なる「趣味」や「快楽」の延長ではなく、あなたの魂が震えるような、目に見えない何かに導かれるプロセスだとしたら。
今日は、ビジネス書的な「起業論」ではなく、もう少し静かで、でも確かな熱を帯びた「見えない感覚」を羅針盤にして生きるということについて、お話ししてみたいと思います。
もくじ.
「好きなこと」の正体は、魂の記憶かもしれない
私たちは普段、「好き」という感情を軽く扱いすぎています。
「コーヒーが好き」「旅行が好き」といった嗜好のレベルと、「これをやっている時だけは時間が消える」という魂の没入レベルを混同しているのです。
本当に「好きなこと」とは、理由なく惹かれるものです。
損得勘定や、流行り廃りや、親からの期待といった外側のノイズをすべて取り払った後に、どうしても残ってしまうもの。
それはもしかしたら、あなたがこの世界に生まれてくる前に設定してきた「魂の記憶」や「今生のテーマ」と深く結びついているのかもしれません。
スピリチュアルな表現を恐れずに言えば、それは「宇宙からのサイン」です。
なぜか特定の場所に行くと懐かしさを感じる。なぜか特定の活動をしているとエネルギーが湧いてくる。
その「なぜか」という理屈を超えた感覚こそが、あなたの人生を導く最も信頼できるガイドなのです。
思考(マインド)は嘘をつきますが、感覚(フィーリング)は嘘をつきません。
目に見えない「流れ」を信頼する
好きなことを仕事にしようとするとき、私たちはつい「計画」を立てたがります。
いつまでに、いくら稼いで、どうやって集客して……。
もちろん、現実的な詰めは必要です。しかし、最初からガチガチに計画を固めすぎると、かえってうまくいかないことがあります。
なぜなら、私たちの小さな頭(エゴ)が考えつくシナリオなんて、たかが知れているからです。
それよりも、もっと大きな「流れ(フロー)」を信頼してみることです。
トランサーフィン(リアリティ・トランサーフィン)の概念を借りるなら、「過剰ポテンシャル」を作らないことです。
「絶対に成功させねばならない!」と鼻息荒く力んでいる状態は、宇宙の流れに対して抵抗を生み出します。
そうではなく、もっとリラックスして、ふとやってきた直感に従ってみる。
「なんとなく、あの人に連絡してみようかな」
「なんとなく、この本を読んでみようかな」
その微細な「なんとなく」の連続が、予想もしなかった展開へとあなたを運んでくれます。
それはまるで、川下りのようです。必死にオールを漕いで逆流するのではなく、流れに身を任せて、景色を楽しみながら進んでいく。
すると、必要な人、必要な情報、必要な資金が、絶妙なタイミングで向こうからやってくるのです。
これを「シンクロニシティ」と呼びます。
好きなことを仕事にするプロセスは、このシンクロニシティという波に乗る遊びのようなものです。
「仕事」の定義を書き換える
多くの人は、「仕事=我慢の対価としてお金をもらうこと」という古い方程式を持っています。
だから、「好きなことを仕事にする」という言葉に罪悪感や恐怖を感じてしまうのです。
「そんなに楽をしていいわけがない」「苦しまなければお金は稼げない」と。
しかし、これからの時代の仕事の定義は変わっていきます。
仕事とは、「自分のエネルギー(喜び)を循環させること」です。
あなたが好きなことに没頭し、その純粋な喜びのエネルギーを放っているとき、それは必ず誰かに届きます。
あなたが焼いたパンの美味しさに、誰かが救われるかもしれない。
あなたが書いた文章に、誰かが勇気をもらうかもしれない。
あなたがただ笑顔でいることに、誰かが癒やされるかもしれない。
あなたが「自分自身であること」で発する波動そのものが、価値になるのです。
そこに無理な営業や、嘘のブランディングは必要ありません。
ただ、あなたが心から満たされ、溢れ出たものが他者に届く。その感謝の印としてお金が巡ってくる。
それが、本来の「仕事」のあり方ではないでしょうか。
恐れという「お試し」を越えて
もちろん、好きなことを始めようとすると、必ず「恐れ」がやってきます。
「失敗したらどうしよう」「食べていけなかったらどうしよう」「変な人だと思われないかな」
これは、新しいステージに行く前に必ず通る通過儀礼のようなものです。
ドリームキラー(夢を壊す人)が現れることもあります。
でも、その恐れさえも、実は「幻」です。
まだ起きてもいない未来を勝手にシミュレーションして、自分で作り出した幽霊に怯えているだけです。
ここで大切なのは、恐れを消そうとするのではなく、「恐れがあるまま進む」ことです。
「ああ、私は今ビビっているな」と認めてあげる。
そして、「でも、やっぱりやりたいんだよね」と、自分の魂の声に耳を傾け直す。
ヨガの教えに「アビヤーサ(修習)」と「ヴァイラーギャ(離欲)」があります。
情熱を持って淡々と行動し続けること(アビヤーサ)と、その結果に対して執着しないこと(ヴァイラーギャ)。
「成功するかどうかは天にお任せして、私はただ、この瞬間、好きなことを表現する喜びを味わおう」
そうやって結果を手放したとき、あなたは最強の無敵状態になります。
失うものがない人は強いのです。
結論:見えない世界を味方につけて、現実を遊ぶ
好きなことを仕事にするということは、単なる職業選択ではありません。
それは、「自分という存在を生き切る」という覚悟です。
そして、目に見えない世界(直感、エネルギー、宇宙の法則)と、目に見える世界(行動、お金、現実創造)を統合していく、壮大な実験でもあります。
もし今、あなたの心に小さな灯火(ともしび)があるなら、それを消さないでください。
「こんなこと、仕事になるわけない」と常識で蓋をしないでください。
その小さな灯火は、あなたの魂が「こっちだよ」と合図を送っているサインです。
まずは小さくてもいい。
誰にも言わなくてもいい。
今日から、その「好きなこと」に触れる時間を少しだけ増やしてみる。
座って、ぼんやりと空を眺めながら、「もし何の制限もなかったら、私は本当は何をしたいんだろう?」と問いかけてみる。
答えは、思考の外側から、ふわりと降りてきます。
風のそよぎや、鳥の声に混じって。
見えない何かを感じ取るセンスを磨きながら、この現実世界を軽やかに遊ぶように生きていきましょう。
あなたの人生という映画の監督は、あなた自身なのですから。
ではまた。



