私たちの身体の内側には、生命エネルギーが渦巻く七つの中心、「チャクラ」が存在します。しかし、それは解剖図には載っていない、エネルギーレベルの微細な器官です。それを理解する最良の方法は、知識として学ぶこと以上に、自らの身体を通して「感じる」ことです。これから行う瞑想は、あなたを内なるエネルギーの旅へと誘い、それぞれのチャクラの存在を体感するための、シンプルでパワフルな稽古です。
まず、静かで誰にも邪魔されない場所を見つけ、快適な姿勢で座りましょう。椅子に座っても、床にあぐらで座っても構いません。大切なのは、背骨が気持ちよく、自然に伸びていることです。軽く目を閉じ、まずは数回、深い呼吸を繰り返します。鼻からゆっくりと息を吸い込み、全身に新鮮な空気が満ち渡るのを感じます。そして、口からゆっくりと、ため息をつくように、すべての緊張や思考を吐き出してください。
呼吸が落ち着いたら、意識をあなたの身体の一番下、坐骨が床や椅子と触れているあたり、尾骨の先端に向けてください。ここが第一チャクラ、ムーラダーラの場所です。地球の核から、力強く、温かい赤いエネルギーが昇ってきて、あなたの基底部に流れ込むのをイメージします。大地との深いつながり、揺るぎない安定感と安心感を、ここで感じてみましょう。吸う息と共にそのエネルギーを受け入れ、吐く息と共に、根が深く、広く張っていくのを感じます。「私はここに、安全に存在している」という感覚を味わいます。
次に、意識をおへその数センチ下、下腹部の中心へと移動させます。第二チャクラ、スヴァディシュターナです。ここに、夕焼けのような美しいオレンジ色の光が、水のように優しく揺らめいているのを想像してください。あなたの感情、創造性、そして生きる喜びの源泉です。呼吸をするたびに、そのオレンジ色の水が滑らかに流れ、身体中の固くなった部分を溶かしていくのを感じます。感情の波を判断せず、ただその流れに身を任せます。「私は人生の流れを信頼し、喜びを感じる」という感覚を育みます。
意識をさらに上へ、みぞおちのあたりへと引き上げます。第三チャクラ、マニプーラ。ここに、太陽のような明るい黄色の炎が、力強く燃えているのを感じてください。あなたの意志、自信、そして行動力の中心です。この炎が、あなたの内側から不要な疑いや恐れを焼き尽くし、全身に活力とパワーを与えてくれます。呼吸と共に、その炎が輝きを増していくのを感じ、「私には自分の人生を創造する力がある」という確信を深めます。
今度は、意識を胸の中央、心臓のあたりへと移します。第四チャクラ、アナーハタです。ここには、瑞々しい新緑のような、あるいは柔らかなピンク色の光が、風のように軽やかに広がっています。すべての境界を溶かす、無条件の愛と慈悲の中心です。吸う息と共に、世界中からの愛を受け取り、吐く息と共に、あなたの愛を全世界へと送り返します。胸の中心が温かくなり、じんわりと広がっていくのを感じながら、「私は愛し、愛されている」という真実と繋がります。
意識を喉の中心、第五チャクラ、ヴィシュッダへと導きます。澄み切った空のような、美しいスカイブルーの光が、穏やかに輝いています。あなたの真実を表現するための場所です。この青い光が、喉の詰まりや言えなかった言葉を優しく浄化していくのを感じてください。あなたの声が、純粋で、誠実な響きを取り戻していきます。「私は自分の真実を、愛をもって表現する」という感覚を味わいます。
さらに意識を上へ、眉間の少し奥、第六チャクラ、アージュニャーへと向けます。第三の眼とも呼ばれるこの場所に、深く、静かな藍色の光が輝いています。あなたの直感と叡智の座です。思考のざわめきが静まり、内なる静寂が訪れるのを感じます。この藍色の光が、物事の本質を見通す明晰さと洞察力を与えてくれます。「私は内なる導きを信頼し、すべてを見通している」という感覚と一体になります。
最後に、意識を頭のてっぺん、頭頂部へと引き上げます。第七チャクラ、サハスラーラ。千の花弁を持つ蓮が、まばゆい紫色、あるいは純粋な白色の光を放ちながら、ゆっくりと開いていくのをイメージします。天から降り注ぐ宇宙のエネルギーと、あなた自身がここで完全に一つになります。個という感覚が溶け、無限の平和と至福、そしてすべてとの一体感に満たされます。「私は宇宙であり、宇宙は私である」という究極の理解の中に、ただ在ります。
しばらくの間、この七つの光が、あなたの背骨に沿って美しく輝き、調和しているのを感じてください。あなたの身体は、天と地を結ぶ、光の柱となっています。
準備ができたら、ゆっくりと意識を身体の感覚に戻していきます。手足の指先を少し動かし、呼吸を深めます。そして、あなたのタイミングで、そっと目を開けてください。瞑想の後、世界が少し違って見えるかもしれません。それは、あなたの内なる世界が、本来の輝きを取り戻した証なのです。この感覚を、日常の中へと持ち帰ってください。


