ヨガの上達を加速させる「引き算」のテーマ設定:継続の壁を越える身体的アプローチ

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あなたは今、何かを継続して取り組んでいるだろうか。

語学の勉強であれ、スポーツであれ、あるいは仕事のスキルであれ、物事が成熟の域に達するためには「継続」が必要不可欠であることは、誰もが頭では理解しているはずだ。

私が日々お伝えしているヨガや瞑想においても、この「継続」は文字通り命綱のようなものである。
ヨガの本質を自分自身の血肉とし、本当に自分のものにしていくためには、途方もない年月と反復が必要になるのだ。

現代社会は、本に書かれた知識や人から聞いた情報を、さも自分の体験であるかのように語れてしまう時代である。
SNSを開けば、どこかで仕入れた情報や、消費社会が生み出した「記号(ブランドやステータス)」を身にまとい、自分を大きく見せようとする発信が溢れかえっている。

しかし、知識を右から左へ受け流すだけでは、単なる「伝える人」に過ぎない。
それはテレビのニュースキャスターが、原稿を読み上げているのと同じことである。
記号や情報を消費するだけの状態から脱却し、物事の本質をしっかりと他者に伝えるためには、自らが泥まみれになって現場を取材する記者と同じレベルの「身体的な体験」を持っていなければならない。

だからこそ、ヨガにおいてはマットの上での実直な実践が何よりも大事であり、瞑想においても座り続けるという継続がなければ、その先の静寂に触れることは絶対にできないのである。
自分の皮膚感覚と身体の奥底で体験したことからしか、人に伝わる言葉は生まれないのだ。

 

「テーマ」を決めることが、最強の継続システムになる

では、なぜ人は継続に挫折してしまうのだろうか。

調子が良かったり、モチベーションが高い時に継続することは誰にでもできる。
目標に向かって気持ちが燃え上がっている時や、純粋に練習が楽しくてたまらない時は、継続すること自体に悩むことはないだろう。

しかし、人間のモチベーションというものは、天候や体調、あるいは仕事のストレスなどによって必ず波打つものである。
意志の力(ウィルパワー)に頼って継続しようとすると、モチベーションが底をついた瞬間に、私たちの足はピタリと止まってしまう。

そこで私が提案したいのが、毎回の練習に「テーマを決めて取り組む」というアプローチである。

ヨガを継続し、上達していくためには、漫然と全身を動かすのではなく、一日限りの「型(テーマ)」を設定することが極めて有効なのだ。

テーマを一つに絞るということは、新しいタスクを増やすことではない。
「そのテーマ以外の一切を手放す」という究極の引き算の作業である。
たとえば、「今日はとにかく『吐く息』だけをテーマにする」と決める。

そうすれば、ポーズの完成度がどうであれ、バランスが崩れて足が床についても、吐く息さえ意識できていればその日の練習は百点満点ということになるのだ。

この「許容」が、自分を厳しくジャッジしようとする完璧主義の暴走を止め、モチベーションに関わらず「とりあえず今日もやってみよう」というハードルを劇的に下げてくれる。
テーマという枠組みがあるからこそ、私たちは迷うことなく継続のサイクルに入っていくことができるのである。

 

継続するための「ハードルの上げ下げ」と記号消費からの脱却

継続するための工夫として、環境を整えることも非常に大切だ。
基本的には、継続するためにプラスになることは徹底的に「ハードルを下げ」、継続の妨げになることは「ハードルを上げる」という構造を作るのがよいだろう。
たとえば、ヨガを継続するなら、ヨガマットを常に部屋に敷きっぱなしにしておくとか、5分だけ座ればOKという自分への許可を出しておくことがハードルを下げる行為にあたる。

逆にハードルを上げるのは、ヨガの代わりにやってしまう行動を制限することだ。
ついスマートフォンでSNSを見てしまうなら、練習中はスマホを別の部屋に置いておくといった工夫である。

ここで注意したいのが、現代の私たちが陥りがちな「記号消費」の問題である。
「ヨガを続けるために、まずは有名ブランドの高価なヨガウェアを一式揃えよう」と考える人は多い。

もちろん、お気に入りの道具を揃えることで気分が上がるという側面はあるだろう。

しかし、ウェアという「記号」を消費することで得た高揚感は、決して長くは続かない。
消費によって得られた外発的なモチベーションは、すぐに新しい刺激(もっと新しいウェア、もっと有名なスタジオ)を求めて枯渇してしまうからだ。

本当に継続を支えてくれるのは、「呼吸が深くなった」「肩の力が抜けてフワッと軽くなった」という、あなた自身の内側(身体知)から湧き上がる内発的な気づきだけなのである。

 

落ち込むのは、あなたが本気で生きている証拠である

継続して取り組んでいれば、当然のことながら落ち込む時期も必ずやってくる。
思ったように身体が動かないこともあるし、どれだけ練習しても一向に先に進んでいないように感じることもあるだろう。
同じ道を歩んでいる同志の圧倒的な実力を見せつけられ、気力が根こそぎ失せていくこともあるかもしれない。
しかし、ここで絶対に覚えておいてほしいことがある。
そういった強烈な挫折や落ち込みが起こるのは、あなたがその物事に「本気で、一生懸命に取り組んでいるから」だ。

適当にやっていることに対して、人は深く落ち込んだりはしない。
テレビでNHKのアナウンサーの完璧な原稿読みを聞いて、「声が整っていて、落ち着いたトーンで悔しいなぁ!」と深く落ち込む一般人はいないだろう。
自分が人生の時間を賭けて取り組んでおり、かつ一生懸命にやっているからこそ、壁にぶつかった時に痛みを感じるのである。
だから、ひどく落ち込んだ時は、「ああ、自分にとって本当に大事なことに取り組んでいるんだな」と、その痛みすらも静かに受け止めてみてほしい。
大切なことに取り組むというのは、そういう痛みを伴うものなのだ。

 

継続力とは「うまくいかない時」にどう振る舞うかの技術である

人は年齢を重ねるごとに、必ず変化していく。
肉体も変化し、環境も変わり、取り組んでいることへの意義やモチベーションを感じられなくなる時期も来るだろう。
それでも継続するのか、それともやめるのか。
それは非常に難しい問題であるが、あなたが自分の中にある「原石」を磨いているという確信があるのなら、環境要因に関わらずに磨き続けるしかないと私は思う。

「継続してます」「やめてません」という言葉を口にする人は多い。
実際に歯を食いしばって継続できている素晴らしい人もたくさんいる一方で、残念ながら口だけで、本質的な実践からは逃げてしまっている人もいる。
ダメならダメでいいのである。

人間なんて弱い生き物であり、チャレンジしていればダメなことや失敗は山ほど起こるものだ。
しかし、自分の現状をごまかし、記号で飾り立てて「できている」と思い込んでしまうことだけは避けなければならない。
車のブレーキが壊れているのに、壊れていないことにして走り続ければ、いつか必ず大事故を起こす。

自分の現在地を客観的に見つめ、過剰なポテンシャルを手放し、今日のテーマを一つだけ決めて、またマットの上に立つ。
継続力とは、「常にうまくいくことを続ける力」なのではない。
「うまくいかない時に、いかに自分のエゴを手放し、淡々と続けられるか」という技術のことなのだ。

そう偉そうに語っている私自身も、決して完璧にできているわけではない。
自分のことを客観的に見るというのは、本当に難しい作業である。
しかし、だからこそヨガと瞑想というルーティンが必要なのだ。
うまくいかなくても、エゴを削ぎ落とし、少しずつ精進して続けていこうと思う。
縁側で風を感じるように、ただ淡々と、この道を歩き続けていきたい。

 

【Q&A】

Q1. ヨガの練習で「テーマ」を決める際、どのように選べばよいでしょうか?難しく考えてしまいます。
A1. 決して難しく考える必要はありません。その日の自分の心身の状態に合わせて、最もシンプルで「頑張らなくていい」テーマを選んでください。例えば、「今日はとにかく吐く息だけを意識する」「ポーズの形は気にせず、首の力を抜くことだけを考える」といった具合です。テーマを一つに絞ることで、完璧主義というエゴを手放し、身体をリラックスさせるのが最大の目的です。

Q2. 継続の工夫として「記号消費」を避けるべきとありますが、具体的にはどういうことですか?
A2. 記号消費とは、「ヨガをやっている自分」というステータスや、有名ブランドのウェアといった「表面的なイメージ」を消費して満足してしまうことです。これらは一時的に気分を高めてくれますが、長続きするモチベーションにはなりません。外側の飾り付けに頼るのではなく、「今日は昨日より呼吸が深くなった」といった、自分自身の内側にある「身体の微細な変化」にワクワクを見出すことが、真の継続力に繋がります。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。