261.反応的な行動から、意識的な選択へ

365days

誰かに批判的な言葉を投げかけられた瞬間、カッとなって言い返してしまう。締め切りが迫ると、パニックに陥って何も手につかなくなる。私たちは日々、外からの刺激に対して、まるで自動販売機のボタンを押されたかのように、決まりきった反応を繰り返しています。この、刺激と反応が直結した状態を「反応的な行動(Reaction)」と呼びます。これは先に述べたサンスカーラ、つまり過去に刻まれた心の轍に沿って、無意識的に滑り落ちていくようなものです。

この反応的な連鎖の中にいる限り、私たちは人生の操縦桿を他者や状況に明け渡した奴隷のようなものです。他人の機嫌に一喜一憂し、環境の変化に振り回される。そこに自由はありません。

ヨガ哲学が指し示す自由への道は、この「刺激」と「反応」の間に、意識的な「空間」を作り出す稽古に他なりません。そして、その空間の中で、自らの応答を主体的に選びとること。これを「意識的な選択(Response)」と呼びます。哲人ヴィクトール・フランクルが遺した「刺激と反応の間には空間がある。その空間に、我々の応答を選ぶ力と自由が存在する」という言葉は、ヨガの叡智と深く共鳴します。

では、どうすればその魔法のような「空間」を生み出すことができるのでしょうか。答えは、私たちが常に携えている、最も身近で、最も深遠なツール、すなわち「呼吸」にあります。

感情が大きく揺さぶられた瞬間、例えば、怒りや不安がこみ上げてきた時、まず、ただ一度、深く息を吸い、そしてゆっくりと吐き出してみてください。このわずか数秒の呼吸が、刺激と反応の間に楔(くさび)を打ち込み、貴重な「間(ま)」を生み出します。この「間」こそが、あなたが自由意志を発揮できる聖域なのです。

この空間の中で、私たちは自分自身に問いかけることができます。「今、私は何を感じているのか?」と、感情に名前をつけ、客観視する。「この怒りの下には、どんな願いが隠されているのだろうか?」と、自分の欲求を深く探る。「この状況において、私の理想とする自分(最高の自分)であれば、どのように応答するだろうか?」と、自らの価値観に照らし合わせて行動を吟味する。

これは、単なる我慢や感情の抑圧とは全く異なります。反応的な行動が感情の爆発であるとすれば、感情の抑圧はダムに水を溜め込み続けるようなもので、いつか決壊する危険をはらんでいます。意識的な選択とは、感情というエネルギーの存在を認め、受け入れた上で、そのエネルギーを破壊的な方向ではなく、建設的な方向へと導く、いわば合気道のような技法です。

この稽古は、マットの上でのアーサナの実践と非常によく似ています。バランスのポーズでぐらついた時、私たちは「反応的」に足をついて諦めることもできます。しかし、そこで一呼吸おき、身体の中心軸を意識し、視点を定め直すことで、揺らぎの中でバランスを取り戻す「意識的な選択」をすることも可能です。日常生活における感情の揺らぎも、全く同じ構造を持っています。

反応的な行動は、過去のカルマの再生産です。同じ轍を何度もなぞるだけで、新たな風景は見えてきません。しかし、意識的な選択は、新たなカルマの創造です。たとえ小さな選択であっても、それを積み重ねることで、あなたは人生の航路を確実に変えていくことができます。

最初は、反応してしまった後で「ああ、またやってしまった」と気づくだけかもしれません。それでいいのです。その気づきが、次への布石となります。やがて、反応の真っ最中に気づけるようになり、そしてついには、反応が起こる直前に、呼吸ひとつ分の「空間」を作り出し、意識的な選択ができるようになるでしょう。

自動販売機のように予測可能な存在から、無数の可能性の中から最善の道を選びとる、自由で創造的な存在へ。その変容の鍵は、刺激と反応の間に、あなただけの静かな空間を育む、日々の地道な稽古の中にあるのです。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。