110.沈黙の誓い – 一日話さないで過ごしてみる

365days

私たちは、言葉の海の中で生きています。朝目覚めてから夜眠りにつくまで、私たちは絶えず言葉を発し、聞き、読み、書いています。言葉は、思考を整理し、他者とコミュニケーションをとり、自己を表現するための、人間にとって不可欠な道具です。しかし、その奔流に無意識に身を任せている時、私たちは二つの大切なものを失っているかもしれません。一つは、言葉によって消耗される、膨大な生命エネルギー(プラーナ)。そしてもう一つは、言葉の騒音の奥にある、最も深く、最も真実な「内なる声」を聞く能力です。

ヨガの伝統には、「マウナ(Mauna)」という、この失われたものを取り戻すための、シンプルかつ深遠な実践があります。マウナとは「沈黙」を意味しますが、それは単に口を閉ざすことだけを指すのではありません。それは、言葉という出口を意図的に塞ぐことで、外に向かって流れ出ていた意識のエネルギーを内側へと還流させ、心の働きそのものを静めていく、積極的な精神の修練なのです。

一日、あるいは半日でも、意識的に沈黙を実践してみる「沈黙の誓い」は、現代に生きる私たちにとって、驚くべき気づきと変容をもたらす体験となり得ます。

まず、沈黙を始めるとすぐに気づくのは、いかに自分が無意識かつ反射的に言葉を発していたか、ということです。同意の相槌、意味のない冗談、場を埋めるためのおしゃべり。言葉を発することができないという制約の中で、私たちは、自分の発言の動機を一つ一つ観察せざるを得なくなります。それは本当に伝える必要のあることか、それとも自分の不安やエゴを満たすためのものか。この内省を通じて、私たちは自らのコミュニケーションのパターンを客観視し、言葉の価値を再認識することになります。言葉の力を知る者は、おのずと寡黙になるのです。これは、ヨガの禁戒(ヤマ)の一つである「サティヤ(真実)」の実践にも繋がります。

次に、話すことをやめると、私たちは必然的に「聞くこと」に徹するようになります。普段、相手の話を聞きながら、次に自分が何を話そうかと考えていることに気づくでしょう。沈黙の実践は、その思考の介入を止めさせ、全身全霊で相手の言葉、そして言葉にならないメッセージに耳を傾けることを可能にします。それは、他者への深い共感と理解の扉を開きます。同時に、私たちは世界の音に対して、より敏感になります。風の音、鳥の声、遠くのサイレン。普段は雑音として聞き流していた音のテクスチャーが、豊かな音楽のように聞こえ始めるかもしれません。

そして最も重要な変化は、内側で起こります。言葉という自己表現の手段を失った時、私たちは、普段言葉によって覆い隠していた、あるいは誤魔化していた、自分自身の感情や思考と、真っ直ぐに向き合うことになります。退屈、苛立ち、孤独感、あるいは予期せぬ安らぎ。様々な感情が浮かび上がっては消えていくのを、ただ静かに観察する。それは、感情の波に乗りこなすための、実践的な訓練となります。

この内なる静けさが深まっていくと、思考と感情の層の下にある、さらに深い意識の領域に触れることがあります。それは、言葉以前の、ただ「在る」という感覚。インスピレーションや直感が閃く、静寂の空間です。引き寄せの法則の観点から言えば、この沈黙の誓いは、私たちのエネルギーを内側に蓄え、凝縮させる行為です。分散されていた意図の力を一点に集め、同時に、宇宙からのガイダンスを受け取るための「受信アンテナ」の感度を、最大限に高めるのです。

沈黙の誓いを立てることは、最初は少し不便で、居心地が悪く感じるかもしれません。しかし、それは言葉という牢獄から、一時的に自分を解放してあげる行為です。言葉の断食を終えた後、あなたは、一つ一つの言葉を、より大切に、より意識的に、そしてよりパワフルに使うことができるようになっているでしょう。そして何より、あなたは、どんな状況にあっても立ち返ることができる、自分自身の内なる静寂という、最高の聖域を見出しているはずです。その静寂こそが、あらゆる創造性の源泉であり、揺るぎない平和の礎なのです。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。