66.アステーヤ(不盗) – 時間やエネルギーを奪わない、与える生き方

365days

ヤマ(禁戒)の三番目に位置する「アステーヤ(Asteya)」は、文字通りには「盗まないこと」を意味します。私たちはこの言葉を聞くと、まず他人の財産を盗むといった法的な犯罪を思い浮かべるでしょう。しかし、ヨガ哲学におけるアステーヤの射程は、それよりも遥かに広く、微細な領域にまで及んでいます。それは、目に見える物質だけでなく、目に見えない価値、とりわけ「時間」と「エネルギー」という、誰にとっても有限でかけがえのない資源を奪ってはならない、という深い戒めです。

考えてみてください。私たちは日常の中で、いかに無自覚な「泥棒」になっていることでしょう。約束の時間に遅れることは、相手の貴重な人生の時間を盗む行為ではないでしょうか。要領を得ない長電話や、目的の曖昧な会議は、関わる人すべての時間を奪っています。時間は、一度失われたら二度と取り戻すことのできない、最も神聖な財産です。他者の時間を尊重することは、アステーヤの基本的な実践です。

さらに微細なレベルで、私たちは他者の「エネルギー」を盗んではいないでしょうか。自分の不平不満や愚痴を一方的に誰かにぶつけ続けることは、相手の生命エネルギーを吸い取る行為に他なりません。心理学で言う「エナジーヴァンパイア」とは、まさにこのアステーヤに反する存在です。過剰な承認欲求や依存心で相手を疲弊させることもまた、エネルギーの搾取と言えるでしょう。

アステーヤの教えは、私たちに「奪う者」から「与える者」への変容を促します。その根底には、宇宙の豊かさに対する深い信頼があります。なぜ私たちは盗むのでしょうか。それは、心のどこかで「自分には足りない」「このままでは損をする」という欠乏感、すなわち「不足の意識」に苛まれているからです。この欠乏感が、他者が持つものを羨み、欲し、奪おうとする衝動を生み出します。

しかし、ヨガの叡智は、真の豊かさは「与える」ことによってこそ生まれると説きます。これはカルマヨガの精神そのものです。見返りを期待せず、自分の持つものを惜しみなく分かち合う。それは、お金や物である必要はありません。笑顔、優しい言葉、励ましの眼差し、誰かの話を真剣に聴く時間、自分の知識やスキル。これらすべてが、素晴らしい贈り物となり得ます。

引き寄せの法則は、この「不足の意識」と「充足の意識」に敏感に反応します。他者から奪おうとする意識は、「私は持っていない」という欠乏の波動を宇宙に放ちます。その結果、宇宙は「はい、あなたは持っていないのですね」と確認し、さらなる欠乏の現実を引き寄せるのです。

一方で、与える意識は、「私には分かち合うほど豊かにある」という充足の波動を発信します。宇宙の法則において、真空は存在を許されません。あなたが何かを与えることによって生じたスペースには、必ずや新しい豊かさが流れ込んできます。与える行為は、豊かさのエネルギーを自らの内に循環させる、最も確実な方法なのです。

今日一日、自分が他者から何を奪っていないか、そして何を与えられているかに意識を向けてみましょう。あなたの存在そのものが、周囲の人々にとって、時間を奪い、エネルギーを消耗させるものではなく、喜びやインスピレーションを与える源泉となった時。その時、あなたはもはや「盗む」必要などどこにもない、無限の豊かさの中心に立っていることに気づくでしょう。



【ショートメール講座】
1年で、人生はもっと身軽になる。
ブログのエッセンスを365通に凝縮した「あるがままに生きるヒント365」。
毎日届く本質的な言葉が、あなたの運気と視点をアップデートします。
軽やかな日々へのヒントをお受け取りください。

【ENGAWA】あるがままに生きるヒント365
は必須項目です
  • メールアドレス
  • メールアドレス(確認)
  • お名前(姓名)
  • 姓 名 

      

- ヨガクラス開催中 -

ENQAN(エンカン):【軽い身体へ】
野生的な身体と、極限の軽さを研ぎ澄ますヨガ
「その身体は、まだ野生を知らない。」

太陽礼拝から始まる怒涛のアーサナ、そして逆転・後屈が織りなす圧倒的な運動量。
都市の重力に縛られた身体を呼び覚まし、
エゴを解体するダイナミックなシークエンス。

重力から解放された「野生的な器(身体)」を再構築し、
直観が鋭く働く、極限まで軽い身体へとあなたをチューニングします。

『ぐずぐずしている間に
人生は一気に過ぎ去っていく』

人生の短さについて 他2篇 (岩波文庫) より

- 内観クラスも開催中 -

JIQAN(ジカン):【軽い自己へ】
自己をどこまでも軽くし、人生をシフトさせる探究
「自己を『増やす』のをやめれば、人生は軽くなる。」

恐怖、恥、プライド、重いエゴを削ぎ落とし、
自己を極限まで軽くする「自己螺旋探究プログラム」。
身体の解放(ENQAN)を土台に、内観を通じて不足から充足の世界へ。

重い自己を脱ぎ捨て、本来のあなたが歩むべき「王道」へ
平行移動を始めましょう。

『色々と得たものをとにかく一度手放しますと、
新しいものが入ってくるのですね。 』

あるがままに生きる 足立幸子 より

- 瞑想会も開催中 -

engawayoga-yoyogi-20170112-2

SIQAN(シカン):【軽い波動へ】
日本一簡単な「心身脱落」の、ただゆるめる瞑想
「何もしないことが、最大の解決策になる。」

「集中しよう」とする作為を捨て、ただ肩の荷を下ろしていく。
心身脱落・脱落心身の境地へ誘う、
日本一簡単なミニマル瞑想。

身体を弛緩させることで淀んだ重みは消え、
クリアなオーラと軽い波動が自然に訪れます。
「ただ在るだけ」という充足が、本来の状態であることに気づく時間を。

瞑想は時間×回数×人数に比例して深まります。

『初心者の心には多くの可能性があります。
しかし専門家と言われる人の心には、
それはほとんどありません。』

禅マインド ビギナーズ・マインド より

- おすすめ書籍 -

ACKDZU
¥1,250 (2026/04/29 14:11:38時点 Amazon調べ-詳細)
¥2,079 (2026/04/30 02:38:17時点 Amazon調べ-詳細)

ABOUT US

アバター画像
Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。