経営者がこぞって読み漁る「怪しい本」の正体。船井幸雄氏が選んだ3冊と、ヨガの本質について

自己啓発

かつて、「経営の神様」とも呼ばれたコンサルタント、船井幸雄氏をご存知でしょうか。

数多くの上場企業の経営指導にあたり、その鋭い先見性で一時代を築いた方です。

論理と数字が支配するビジネスの世界において、圧倒的な実績を残した彼が、晩年、経営者たちに「必読の書」として薦めていた3冊の本があります。

それは、マーケティングの教科書でも、帝王学の指南書でもありませんでした。

『あるヨギの自叙伝』

『ヒマラヤ聖者の生活探求』

『波動の法則』

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一見すると、「えっ、そっち?」と驚いてしまうようなラインナップです。

いわゆる「精神世界」「スピリチュアル」に分類される書籍たち。

なぜ、冷徹なまでのリアリストであるはずのトップ経営者たちが、こぞってこれらの書物を読み漁り、バイブルとしているのでしょうか。

今日は、この「不思議な3冊」を入り口に、現代社会が抱える病理と、そこから抜け出すためのヨガ本来の叡智について、少し深く潜ってみようと思います。

 

資本主義の頂点で見えた「限界」

現代社会は、物質的な豊かさを追求する資本主義をエンジンとして回っています。

「もっと多く、もっと速く、もっと効率的に」

経営者たちは、このレースの先頭を走り続けてきました。

しかし、富を築き、地位を得て、頂点に立った時、彼らの多くが直面するのは「虚無感」です。

数字を追いかけるだけのゲームには、終わりがありません。

10億稼げば100億が欲しくなり、100億稼げば次は権力が欲しくなる。

エゴ(自我)の渇望は、海水のようなものです。飲めば飲むほど喉が渇く。

その終わりのない競争の中で、心身をすり減らし、家庭を壊し、あるいは病に倒れる経営者を、船井氏は数多く見てきたのでしょう。

彼がこの3冊を薦めた理由。

それは、「目に見える世界(物質世界)のルールだけでは、もはや幸せにはなれない」という、強烈なメッセージだったのではないでしょうか。

論理(ロジック)の限界を超えた先にある、直感や霊性(スピリチュアリティ)の領域にこそ、次なる時代の、そして人間本来の生き方の鍵がある。

そう確信していたからこその、選書だったのだと思います。

 

『あるヨギの自叙伝』:奇跡は「物理法則」である

パラマハンサ・ヨガナンダによるこの自伝は、スティーブ・ジョブズが自身のiPadに唯一入れていた電子書籍としても有名です。

ここには、物質化現象、予知、同時存在など、常識では考えられないような「奇跡」が次々と描かれています。

しかし、ヨガナンダはそれらを「魔法」として描いているわけではありません。

彼は、それらが「より高度な物理法則」に基づいた現象であると説きます。

意識が物質を支配するという、宇宙の根源的な法則。

ヨガとは、身体を柔らかくする体操ではなく、この宇宙法則を自らの心身を使って実験し、体得していく科学(サイエンス)なのです。

現代人は「科学で証明できないものは存在しない」と考えがちです。

しかし、それは「現在の科学レベル」で測れないだけの話かもしれません。

ヨガの行者(ヨギ)たちは、何千年も前から、瞑想という実験室の中で、量子力学がようやく辿り着こうとしている「意識と物質の相関関係」を解き明かしていたのです。

経営者たちがこの本に惹かれるのは、そこにビジネスの小手先のテクニックを超えた、世界を動かす「根本原理」が書かれているからでしょう。

 

『ヒマラヤ聖者の生活探求』:老いも死もない世界へ

ベアード・T・スポールディングによるこの探検記は、ヒマラヤの奥地で数百歳を超えて生きる聖者たちとの交流を描いたものです。

彼らは老いることなく、病むこともなく、極寒の雪山で裸で暮らし、必要なものを空間から取り出します。

おとぎ話のように聞こえるかもしれませんが、ここで語られているのは「制限の解除」です。

「人は老いるものだ」「冬は寒いものだ」「食べなければ死ぬ」

私たちが「常識」として強固に信じ込んでいる信念(思い込み)こそが、私たちの現実をその通りに創造しているのだとしたら?

ヨガの教えに「アビニヴェーシャ(生命への執着、死への恐怖)」というものがあります。

私たちは死を恐れるあまり、生を縮こまらせています。

しかし、この本に出てくる聖者たちは、「私は肉体ではない」ということを完全に悟っています。

自分を有限な肉体と同一化せず、無限の生命エネルギーそのものだと認識した時、肉体のリミッターは外れるのです。

「もう歳だから」「私には才能がないから」

そんな言い訳をしてしまう時、この本は私たちの脳天をガツンと殴ってくれます。「その限界を決めているのは、お前自身だ」と。

 

『波動の法則』:すべては「振動数」

足立育朗氏によるこの書は、これら精神世界の話を、現代的な「波動(振動数)」という概念で解き明かそうとしたものです。

「すべての物質、意識、感情は固有の周波数を持って振動している」

これは、現代の量子物理学とも共鳴する視点です。

愛、感謝、調和といったポジティブな意識は、高く精妙な波動を持ちます。

逆に、怒り、恐怖、嫉妬といったネガティブな意識は、低く粗い波動を持ちます。

そして「類は友を呼ぶ」ように、同じ波動のものが引き寄せ合う。(だから、引き寄せたいというエゴは、そのエゴの振動数に適ったものと出会う)

ビジネスでも人生でも、「なぜかうまくいく人」と「なぜかトラブル続きの人」がいます。

それは能力の差というより、その人が発している「ベースの周波数」の違いなのかもしれません。

いくら口先でうまいことを言っても、心の中が不安や不満で満たされていれば、その低い波動が現実化してしまう。

また、そのうまくいくいかないという捉え方もまた、周波数である。



ヨガや瞑想が目指すのは、まさにこの「意識のチューニング」です。

乱れた周波数を整え、宇宙(自然)のリズムと同期(シンクロ)させていくこと。

そうすれば、努力して何かを勝ち取るのではなく、必要なものが自然と直観として入ってくる。

 

スピリチュアル・マテリアリズムへの警鐘

ただし、ここで一つ注意が必要です。

これらの本を読んで、「よし、瞑想して超能力を手に入れよう」「波動を高めてお金持ちになろう」と考えるのは、ヨガの本質から外れています。

それは、精神性を利用してエゴの欲望を満たそうとする「スピリチュアル・マテリアリズム(精神的物質主義)」という罠です。

船井幸雄氏も、最終的に伝えたかったのは「現世利益」ではないはずです。

彼が晩年に行き着いたのは、「包み込み」や「調和」といった境地でした。

エゴを拡大させるためではなく、エゴを手放し、大きな流れに「委ねる」ために、これらの叡智を使うこと。

「自分さえ良ければいい」という分離の意識から、「すべては繋がっている」というワンネス(統合)の意識へのシフト。

現代社会の問題点、環境破壊も、格差も、戦争も、すべては「分離の意識」から生まれています。

ヨガ(Yoga)の語源は「結ぶ」。

バラバラになった私たちを、もう一度、根源的な命のつながりへと結び直すこと。

それこそが、今、最も必要とされている「経営戦略」であり、「生きる術」なのではないでしょうか。

 

終わりに:本を閉じ、座る時間を持つ

これら3冊は、確かに素晴らしいガイドブックです。

しかし、どれだけ本を読んでも、知識として蓄えるだけでは現実は変わりません。

「知っている」ことと、「体感している」ことの間には、天と地ほどの開きがあります。

ヨガナンダも、ヒマラヤの聖者たちも、特別な人間ではありませんでした。

彼らはただ、徹底的な「実践者」だったのです。

毎日、静かに座り、呼吸を整え、自分の内側にある小宇宙と向き合い続けた人たちです。

もしあなたが、ビジネスの重圧や、人生の行き詰まりを感じているなら。

まずは本を置き、スマホを置いて、5分でもいいので目を閉じてみてください。

情報のインプットをやめ、内なる静寂に耳を澄ます。

その静けさの中にこそ、船井氏が伝えたかった、そしてヨガが数千年にわたって守り伝えてきた「本当の答え」があります。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。