ヨガブームの影で、ヨガの本質が骨抜きにされ、単なる「消費財」として扱われている現状に、違和感を覚えている方も少なくないはず

BLOG-雑文集

静寂の中に座り、目を閉じてみても、心の中が騒がしい。そんな経験はないでしょうか。
現代においてヨガはかつてないほどの広がりを見せています。スタジオは乱立し、SNSには美しいポーズの写真が溢れかえっています。
しかし、光が強ければ影もまた濃くなるのが世の常でございます。
ブームの影で、ヨガの本質が骨抜きにされ、単なる「消費財」として扱われている現状に、違和感を覚えている方も少なくないはずです。

今日は少し厳しい視点から、現代ヨガが抱える病理について、そしてそこから私たちがどのようにして「本来の道」へとピボット(方向転換)していくべきかをお話しします。
手元のメモにある、ビジネスや人生についての断片的な思索も織り交ぜながら、現代を生き抜くためのヨガ哲学を紡いでいきましょう。

 

現代ヨガが抱える構造的な欠陥と問題点

現代のヨガシーンを眺めていますと、「何か大切なものが抜け落ちているのではないか」と感じることがあります。それは、ヨガが資本主義の論理に過剰に適応しすぎた結果かもしれません。
辛辣に聞こえるかもしれませんが、現代ヨガの問題点をリストアップして検討してみましょう。

1. 「見られる身体」への過剰な執着(ルッキズムの強化)
ヨガは本来、内面への没入(プラティヤハラ)を目指すものですが、現代では「いかに美しくポーズをとるか」が最優先されています。SNSでの「映え」を意識したアクロバティックなポーズは、承認欲求を満たす道具に過ぎません。これではエゴを消すどころか、肥大化させています。

2. スピリチュアルの「ファストフード化」
「これをやればすぐに幸せになれる」「引き寄せの法則で人生が変わる」といった、安易な救済を謳うビジネスが横行しています。しかし、マインドセットが変わらないまま、表面的な「やり方」だけを真似ても、人生は好転しません。精神性を安易なパッケージ商品として切り売りしているのです。

3. 「安売り」による価値の毀損
多くのインストラクターやスタジオが、価格競争に巻き込まれています。しかし、プロフェッショナルは本来、自らの提供する価値を安く売るべきではありません。5,000円の価値を信じられない人が、50,000円の価値を提供することはできないのです。

4. 他者との関わりの希薄化
「自分探し」という名のもとに、自分の内側に閉じこもる傾向があります。しかし、人間は他者という鏡を通してしか、自分を深く理解することはできません。自分の中だけで完結する独りよがりなヨガは、広がりを持たないのです。

 

行動によってのみ、認知は書き換わる

さて、これらの問題点から抜け出すためにはどうすればよいのでしょうか。
まず理解すべきは、「頭で考えているだけでは何も変わらない」という事実です。

私たちはつい、本を読んだり動画を見たりして「わかった気」になりがちです。しかし、行動によってのみ、私たちの認知(世界をどう見るか)は書き換わります。
ヨガのアーサナ(ポーズ)も、実はそのための訓練装置です。身体を動かし、不快や恐怖と向き合い、それを乗り越えるという「行動」を通じて、脳内の回路を物理的に作り変えているのです。

マインドセットが変わらないと、いくら高尚な「やり方」を学んでも、それはザルで水を掬うようなもの。
変化とは、渦中にいる時には気づかないものです。「あれ、いつの間にか楽になっているな」と、後になって振り返った時に初めて気づくものなのです。だからこそ、結果を急がず、淡々と行動を積み重ねる必要があります。

 

足元の金塊に気づくビジネスセンス

ヨガを仕事にしたい、あるいは人生を豊かに生きたいと願うならば、「ビジネスセンス」を磨くことを恐れてはいけません。ビジネスとは金儲けのことではなく、「誰に、何を届けるか」という真剣な他者への配慮だからです。

多くの人は、他人の庭にある銅(他者の成功や評価)を欲しがります。
しかし、あなたの足元には、あなただけの経験や苦悩という「金塊」が埋まっているのです。
「これはあなたの良い点ですね」と人から言われること。それがたとえ社交辞令であったとしても、そこには真実の欠片があります。
自分にとっては何の努力もいらない、息をするようにできること。朝から晩まで「考えよう」と思わなくても勝手に考えてしまっていること。
そこに陣を敷くことこそが、人生という戦に勝つ方法です。

お客様が本当に求めているものは何か。
買い手になって考えているでしょうか。
独りよがりなこだわりを押し付けるのではなく、相手のニーズと自分の情熱が交差する点を見つける。それがプロフェッショナルの仕事です。

 

不可逆モードへのシフトチェンジ

人生もビジネスも、最初から正解がわかっているわけではありません。
やってみたことが、たまたまそこにニーズが無かっただけ、ということも往々にしてあります。それは失敗ではなく、データ収集です。
だからこそ、ピボット(方向転換)しながら、柔軟に変わっていく必要があります。

重要なのは、「新しい世界で全力でやる」こと。これを続けることです。
中途半端に片足を残したままでは、新しい風景は見えてきません。
「危ぶむなかれ、行けばわかるさ」という言葉がありますが、まさにその通りでございます。
行動し、他者と関わり、摩擦を恐れずに進むことで、自分自身が研磨され、思いがけない能力開発が行われます。

一度、覚悟を決めて「不可逆モード」に入ってしまえば、もう心配は不要です。
後戻りできない場所まで来てしまった人は、前に進むしかないからです。その潔さが、迷いを消し去ります。

 

終わりに:縁側で待つ、静かな革命

現代社会の喧騒から離れ、自分の足元にある金塊を掘り起こすこと。
他人の評価軸ではなく、自分自身の「納得」を基準に生きること。
それこそが、現代における本当のヨガの実践ではないでしょうか。

今できることをやらないと、永遠にそこに留まることになります。
未来への不安も、過去への後悔も手放して、ただ「今、ここ」にある自分の課題に全力で取り組む。
そうすれば、結果は後からついてきます。マインドが離陸すれば、現実も必ず浮上します。

もし、道に迷ったら、いつでもこの縁側に座りに来てください。
難しいことは何もありません。ただ静かに座り、呼吸を整える。
そこからまた、新しい一歩を踏み出せばよいのです。
ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。