白湯とニガリのおすすめ:身体を調和する

日常での身体・栄養の整え方

私たちの日常は、「飲む」という、あまりにも当たり前で無意識的な行為の連続によって支えられています。しかし、その一杯の水に、ほんの少しの意識と手間を加えるだけで、それは単なる水分補給から、自らの身体を浄めることにつなげることができます。

今回紹介するのは、非常にシンプルな方法です。

「白湯を飲むこと」「ニガリを摂取すること」

素朴で地味なこの二つの組み合わせですが、現代人にとっては非常に大事な働きかけをしてくれます。

取り入れるのは簡単ですから、ぜひ実践されてみてください。

 

白湯 – 内なる身体を温める

まず、「白湯」とは何か、その定義から始めなければなりません。白湯は、単に「一度沸かしたお湯」や「湯冷まし」とは、その本質を異にします。

インドの伝統医学アーユルヴェーダの観点から見ると、白湯とは、水を火にかけることで、「風」の性質(沸騰による気泡)と「火」の性質を加え、宇宙を構成する五大元素(空・風・火・水・地)のバランスが整えられた、生命力あふれる飲み物なのです。

それだけでも飲みたくなると思います。

 

*先に注意事項をお伝えしておきますと、理想は朝の空腹時に200~300mlほどを飲むのが良いでしょう。1日を通じて1リットルなど大量に飲まないように注意しましょう。

 

水をただ温めるのではなく、やかんでコトコトと、気泡が立ち上るのを眺めながら10〜15分ほど沸かし続ける。この丁寧なプロセスを経ることで、水はその眠っていたポテンシャルを最大限に引き出され、身体に浸透しやすく、そして消化しやすい、一種の「薬」としての性質を帯びるようになります。

 

アーユルヴェーダと東洋思想における白湯

アーユルヴェーダでは、私たちの健康は「アグニ」と呼ばれる「消化の火」の力に大きく左右されると考えられています。アグニが力強く燃えていれば、食べたものは適切に消化・吸収され、生命エネルギーへと変換されます。しかし、アグニが弱まると、食べ物は未消化物「アーマ(毒素)」となって体内に蓄積し、あらゆる不調や病気の根源となるのです。

白湯を飲むという行為は、この弱ったアグニに薪をくべるように、内側から消化の火を力づける、最もシンプルで効果的な方法とされています。

また、「冷えは万病のもと」と説く東洋医学の思想においても、身体、特に内臓を芯から温める白湯の効能は、気血の巡りを改善し、生命エネルギーの停滞を防ぐ上で欠かせないものとされてきました。

温めることで体温も上がり、免疫も整い、健康への相乗効果も期待できます。

 

白湯がもたらす具体的効能

  1. 消化力の向上とデトックス促進

    白湯は、弱った胃腸を優しく温め、消化酵素の働きを活性化させます。これにより、食事の消化吸収がスムーズになり、未消化物(アーマ)の発生を防ぎます。さらに、体温の上昇は血流やリンパの流れを促進し、全身の細胞に溜まった老廃物や毒素の排出を力強くサポートしてくれるのです。

  2. 便秘の緩和

    腸が冷えていると、その働き(蠕動運動)は鈍くなります。白湯は、この腸を内側から直接温めることで、その動きを活発化させます。朝一番に一杯の白湯を飲む習慣は、眠っていた腸を目覚めさせ、自然なお通じを促すための、穏やかで確実な後押しとなります。

  3. 基礎代謝の向上と冷え性の改善

    内臓の温度が1℃上昇すると、基礎代謝は約10〜12%向上すると言われています。白湯を習慣的に飲むことで、身体の深部体温が安定し、エネルギーを効率的に燃焼できる、いわば「燃費の良い身体」へと変わっていきます。これは、多くの女性が悩む末端の冷え性の根本的な改善にも繋がります。

  4. 美肌効果

    肌は内臓の鏡、という言葉があります。血行が促進されることで、肌の隅々の細胞まで酸素と栄養が届けられ、顔色が見違えるように明るくなります。また、デトックス効果によって体内の老廃物が排出されることで、肌のくすみや吹き出物といったトラブルの改善も期待できるでしょう。

  5. 精神的な安定

    温かい液体がゆっくりと食道を通り、胃に広がる感覚は、私たちの神経系に深く作用します。特に、交感神経の興奮を鎮め、副交感神経を優位にすることで、心身をリラックス状態へと導きます。慌ただしい朝に、一杯の白湯を静かに味わう時間は、それ自体が瞑想的なひとときとなり、一日を穏やかな心で始めるためのアンカーとなるはずです。

 

ニガリ – 海の記憶が宿るミネラルの雫

次に、もう一つの主役である「ニガリ」についてです。

ニガリとは、海水から塩を製造する過程で、塩の結晶が取り除かれた後に残る、ミネラルを豊富に含んだ液体(ご紹介しているニガリは粒状)のことです。その主成分は「塩化マグネシウム」であり、まさに現代人が最も不足しがちと言われる必須ミネラル、マグネシウムの塊なのです。

ニガリは、単なる化学物質の集合体ではありません。塩化マグネシウムを単体とるのとは違うと観じております。それは、生命の源である海そのものがぎゅっと凝縮されたエッセンスとなっているからです。

 

生命活動の鍵を握る「マグネシウム」

マグネシウムは、私たちの体内で実に300種類以上もの酵素の働きを助ける「補酵素」として、生命活動の根幹を支えています。エネルギーの通貨であるATPの生成、筋肉の収縮と弛緩のコントロール、神経伝達の安定化、体温や血圧の調整など、その働きは多岐にわたります。しかし、現代の食生活(精製された穀物や加工食品の多用)やストレスによって、私たちは慢性的なマグネシウム不足に陥りやすい状況にあるのです。

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ニガリ(マグネシウム)がもたらす具体的効能

  1. 便秘の根本的解消

    ニガリが持つ最も有名な効果の一つです。マグネシウムは、腸管内で水分を吸収し、保持する性質があります(浸透圧性)。これにより、硬くなった便に水分が引き込まれて柔らかくなり、自然な排出が促されます。これは、腸を無理に刺激する下剤とは異なり、身体の仕組みに沿った非常に穏やかな作用です。

  2. 精神の安定と睡眠の質の向上

    マグネシウムは「天然の精神安定剤」とも呼ばれます。神経細胞の過剰な興奮を鎮め、精神を安定させる神経伝達物質「セロトニン」の生成を助ける働きがあるためです。また、筋肉の弛緩作用と相まって、心身の緊張を和らげ、深く安らかな眠りへと誘います。

  3. 筋肉の弛緩と疲労回復

    筋肉の収縮にはカルシウムが、弛緩にはマグネシウムが必要です。この二つのバランスが崩れ、マグネシウムが不足すると、筋肉は過剰に緊張し、肩こり、頭痛、こむら返りといった不調を引き起こします。ニガリを補うことは、この緊張を内側から解きほぐし、身体の疲労を回復させる助けとなります。

  4. 生活習慣病の予防

    マグネシウムは、インスリンの働きを助けて血糖値のコントロールに関与したり、血管を弛緩させて血圧を正常に保ったりと、生活習慣病の予防にも重要な役割を果たしています。

 

白湯とニガリの相乗効果 – 究極のセルフケア

ここまで見てきたように、白湯には「温め、巡らせ、浄化する」という陽のエネルギーが、ニガリには「緩め、鎮め、満たす」という陰のエネルギーが宿っています。この二つを組み合わせることで、私たちの身体の内側で、完璧な調和のシンフォニーが奏でられるのです。

最もシンプルで効果的な実践方法は、朝一番に作った一杯の白湯に、ニガリをほんの数滴(1〜5滴程度から)垂らして、ゆっくりと味わうことです。(もちろん、白湯だけで飲んでも、ニガリを調理に使っても何も問題ありません。)

この一杯は、

  • 白湯の温熱効果で内臓を目覚めさせ、

  • ニガリのマグネシウムが腸の働きを穏やかに促し、

  • 温められた血流がマグネシウムを全身の細胞へ効率的に運び、

  • 神経の興奮を鎮めて、一日を穏やかで安定した心でスタートさせる、

という、まさに究極のモーニングルーティンとなり得ます。

これは単なる健康法ではありません。

それは、自分の身体という、かけがえのない器の状態に意識を向け、その声に耳を澄まし、調整をする大事な時間となります。

派手なサプリメントや目新しい健康法に飛びつく前に、まずはこの、私たちの足元に古くから存在する、シンプルな自然の恵みに立ち返ってみてはいかがでしょうか。

 


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。