アーサナを超えて – ヨーガスートラが説く、坐法の真の意味

ヨガを学ぶ

ヨーガスートラは、古代インドの哲学者パタンジャリによって編纂されたヨガ哲学の古典的テキストです。約200の短いスートラ(格言)から成り、ヨガの実践方法から心の状態、そして解脱に至る道筋を体系的に示しています。 現代では、ヨガといえばアーサナ(ポーズ)を連想することが多いですが、ヨーガスートラにおいては、アーサナはあくまでヨガの八支則の一部であり、真のヨガの実践は、アーサナを超えた領域に存在します。 本稿では、ヨーガスートラにおける坐法(アサナの特別な形態)の真の意味を、その歴史的背景、哲学的意味、そして現代社会における意義を交えながら、詳細に考察します。

 

ヨーガスートラにおける坐法:アーサナの真髄

ヨーガスートラにおいて、坐法は、単なる身体の姿勢ではありません。 それは、より高度なヨガの実践、特にプラナヤーマ(呼吸法)や、瞑想(ディヤーナ)を行うための、重要な準備段階であり、心の状態を制御するための、重要なツールです。 ヨーガスートラでは、坐法について、具体的なポーズの種類や、詳細なやり方は明確に記述されていません。安定して快適に座れることくらいの記載です。 しかし、坐法には、以下の様な重要な意味が込められています。

  • 安定した姿勢の確保: 坐法は、身体を安定させ、心を落ち着かせるための姿勢です。 安定した姿勢は、集中力を高め、瞑想の効果を高めます。 揺れたり、不安定な姿勢では、心が落ち着かず、瞑想に集中することができません。

  • 身体の調整: 坐法は、身体のエネルギーの流れ(プラーナ)を整えるための姿勢です。 正しい姿勢をとることで、身体のエネルギーがスムーズに流れ、心身が調和します。 姿勢の歪みは、エネルギーの流れを阻害し、心身の不調を招きます。

  • 心の状態の制御: 坐法は、心の状態を制御するための、重要な準備段階です。 正しい姿勢をとることで、心が落ち着き、雑念が減少し、瞑想に集中することができます。

  • 意識の集中: 坐法は、意識を集中するための姿勢です。 安定した姿勢をとることで、私たちは、より容易に意識を集中させることができます。 集中力は、瞑想や、プラナヤーマにおいて不可欠な要素です。

 

坐法の歴史的背景:古代インドの修行

ヨーガスートラが編纂された古代インドでは、坐禅や瞑想は、重要な修行方法でした。 坐法は、長時間の坐禅や瞑想を行うための、最適な姿勢として考案されました。 古代インドの聖賢たちは、長時間の修行を通して、心の状態を制御し、解脱を目指しました。 坐法は、その修行を支える、重要な要素でした。

様々な坐法が存在し、それぞれが異なる特徴を持っています。 例えば、バンダ(身体のエネルギーを制御するテクニック)を意識した坐法や、特定のチャクラ(エネルギーの中心)に意識を集中する坐法などがあります。 これらの坐法は、修行の目的や、個人の体質に応じて選択されました。

 

ヨーガスートラの坐法とアーサナ:身体の調整と心の準備

ヨーガスートラにおいて、アーサナ(身体のポーズ)は、坐法のための準備段階と捉えることができます。 アーサナは、身体の柔軟性や筋力を高め、姿勢を整えるための、重要な実践です。 身体の柔軟性や筋力が不足していると、正しい坐法を保つことが難しくなります。 そのため、アーサナは、坐法、そして更なる高度なヨガの実践を行うための、重要な基礎となります。

アーサナと坐法は、どちらも身体の調整を目的としていますが、その目的や、アプローチが異なります。 アーサナは、身体全体を調整することを目的としていますが、坐法は、瞑想やプラナヤマを行うための、特定の姿勢を維持することを目的としています。 アーサナは、ダイナミックな動きを含むこともありますが、坐法は、静的な姿勢を維持することが求められます。

 

ヨーガスートラが説く坐法の真髄:心の状態の制御

ヨーガスートラのサダーナ・パーダ(修行の章)では、坐法は、プラナヤーマや、瞑想を行うための、準備段階として位置づけられています。 安定した坐法は、意識を集中させ、雑念を取り除き、心の状態を制御するために不可欠です。

  • プラナヤーマとの連携: 坐法は、プラナヤーマを行うための、最適な姿勢です。 安定した姿勢を保つことで、私たちは、より深く、より効果的に呼吸法を実践することができます。

  • 瞑想への導入: 坐法は、瞑想への導入として機能します。 安定した姿勢を保つことで、私たちは、より容易に意識を集中させ、瞑想状態に入ることができます。

  • 心の静寂: 坐法を通して、私たちは、心の雑念を静め、心の静寂を体験することができます。 この心の静寂こそが、ヨーガスートラが目指す、心の状態の制御、そして解脱への第一歩です。

 

現代社会における坐法の意義:情報化社会における心のオアシス

現代社会は、情報化、グローバル化、競争社会といった要因により、人々は常に忙しく、ストレスを抱えがちです。 情報過多、そして、絶え間ない刺激は、私たちの心を騒がせ、集中力を低下させます。 ヨーガスートラが説く坐法は、そんな現代社会において、心のオアシスとなる可能性を秘めています。

安定した坐法を通して、私たちは、心を落ち着かせ、集中力を高め、心の状態を制御することができます。 これは、現代社会を生き抜くために、非常に重要なスキルです。 瞑想や、マインドフルネスの実践を通して、私たちは、自分自身と向き合い、心の平安と、自己実現への道を歩むことができます。

 

坐法の実践:より深いヨガへの誘い

ヨーガスートラが説く坐法は、単なる身体の姿勢ではありません。 それは、より深いヨガの実践、そして心の自由への道筋を示す、重要な指針です。 正しい坐法を通して、私たちは、心身のバランスを整え、心の状態を制御し、真の自己と繋がることを目指すことができます。 アーサナを超え、坐法を実践することで、ヨーガスートラの教えをより深く理解し、より充実したヨガライフを送ることが出来るでしょう。 ただし、正しい坐法を習得するには、経験豊富なインストラクターからの指導が不可欠です。 無理のない範囲で、継続的に実践することで、坐法の真髄を体感できるはずです。

 

結論:アーサナを超えた探求、心の自由への道

ヨーガスートラは、アーサナを超えた、心の状態の制御、そして解脱への道を示しています。 坐法は、その重要なステップであり、現代社会においても、その普遍的な価値は失われていません。 坐法を通して、私たちは、心の平安と、自己実現への道を歩むことができます。 継続的な学習と、実践を通して、ヨーガスートラの智慧を、日常生活に活かしていきましょう。

 

 

ヨガの基本情報まとめの目次は以下よりご覧いただけます。

 

 


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。