生活をシンプルにする【ミニマリストの先へ】ヨガ的な「減らす」暮らしと心の整え方

自己啓発

生活をシンプルにすることを推奨しております。
それは、単に部屋を片付けるとか、少ない持ち物で暮らすという表面的なことだけではありません。
生き方そのものを、複雑な糸が絡まった状態から、一本の美しい線にしていくような作業です。
シンプルであることは、楽(らく)であること。
そして、楽であることは、本来の自分(Self)に還っていくための最短のルートでもあります。

現代社会は、私たちに「複雑さ」を強要してきます。
多様な選択肢、多すぎる情報、複雑な人間関係、終わりのないタスク。
私たちはまるでジャグリングをするかのように、多くのボールを空中に投げ続けながら生きています。
「あれもやらなきゃ」「これも手に入れなきゃ」
そうやってボールを増やせば増やすほど、私たちの心は散漫になり、本当に大切なものを見失ってしまいます。

今日は、ヨガの思想をベースに、衣食住、人間関係、そして思考に至るまで、生活を全方位的に「シンプル」にしていくためのヒントを書いてみたいと思います。
それは「ミニマリスト」という流行りのスタイルを超えて、魂が深呼吸できるような暮らしへの招待状です。

 

「持たない」という贅沢(住まいとモノ)

まずは、一番わかりやすい物理的な空間から始めましょう。
ヨガには「アパリグラハ(不貪・不所有)」という教えがあります。
これは「必要以上のものを所有しない」という意味ですが、さらに深く読み解けば「執着を手放す」ということです。

モノは、ただそこにあるだけで、私たちのエネルギーを奪います。
視界に入るたびに、「片付けなきゃ」「使ってないな」「高かったのにな」という微細な思考(ノイズ)が発生するからです。
部屋が散らかっていると心がざわつくのは、このノイズのせいです。

生活をシンプルにする第一歩は、このノイズを減らすことです。
「いつか使うかも」という未来への不安や、「昔はこれが好きだった」という過去への執着を手放していく。
残すのは、「今、ここで」心地よいと感じるもの、役立っているものだけ。

すると、空間に「余白」が生まれます。
縁側のように、何も置かれていない、ただ光と風が通り抜けるスペース。
この余白こそが、私たちの心に静寂をもたらすのです。
モノが少ない部屋では、一輪の花の美しさが際立ちます。
少ないことは、貧しいことではなく、一つひとつを深く味わうための贅沢なのです。

 

「食べない」という休養(食と身体)

食生活もまた、現代人は複雑にしすぎています。
栄養成分表示とにらめっこしたり、流行りのスーパーフードを追いかけたり。
しかし、ヨガ的な視点で見れば、食事はもっとシンプルで良いものです。

「何を食べるか」よりも「どう食べるか」、そして時には「食べない」という選択も大切です。
私たちはしばしば、空腹だからではなく、ストレスや習慣、あるいは口寂しさから食べてしまいます。
内臓は常に働き続け、消化活動に膨大なエネルギーを費やしています。

たまには、胃腸を休ませてあげること。
シンプルな調理法で、素材の味をそのまま頂くこと。
そして、「足るを知る(サントーシャ)」の心で、腹八分目で箸を置くこと。
身体が軽くなれば、心も自然と軽くなります。
食事がシンプルになると、味覚が研ぎ澄まされ、玄米を噛み締めるだけの甘みに感動できるようになります。
それは、高級レストランのフルコースにも勝る、豊かな体験です。

 

「繋がらない」という自由(情報と人間関係)

スマホは便利な道具ですが、私たちを24時間、世界中と繋ぎ止める鎖にもなり得ます。
通知音に反応して、即座に返信する。
SNSで他人のキラキラした生活を見て、無意識に自分と比較する。
この「常時接続」の状態は、脳にとって凄まじい負荷であり、生活を複雑にする最大の要因です。

デジタル・デトックス、つまり「繋がらない時間」を持つことは、現代における必須の防衛策です。
夜の数時間はスマホの電源を切る。
寝室には持ち込まない。
それだけで、夜という時間が本来持っていた静けさが戻ってきます。

人間関係も同様です。
「人脈」という言葉に踊らされて、名刺の枚数を増やしても、心から信頼できる人がいなければ虚しいだけです。
義理だけの付き合いや、会うと疲れてしまう関係を、勇気を持って手放してみる。
本当に大切な数人の友人や家族と、丁寧に向き合う。
関係性をシンプルにすることで、愛の濃度は高まります。
エネルギーの漏れを防ぎ、大切な人との時間に注ぐのです。

 

「考えない」という知恵(思考とスピリチュアリティ)

そして最後に、最も難しく、かつ重要なのが「思考のシンプル化」です。
私たちの悩みの大半は、事実そのものではなく、それに対する「解釈」や「妄想」から生まれています。
「あの人は私をどう思っているんだろう」「もし失敗したらどうしよう」
こうした思考の迷路は、出口のない複雑さを極めています。

ここでもう少しスピリチュアルな視点を入れてみましょう。
私たちが「複雑だ」と感じているのは、エゴ(自我)の仕業です。
エゴは、自分を特別で、重要で、複雑な存在だと思いたがります。
問題をこねくり回し、ドラマチックな悲劇の主人公になりたがります。

しかし、魂(Spirit)のレベルでは、すべては極めてシンプルです。
「今、ここ」に存在すること。
ただ、それだけです。
過去への後悔も、未来への不安も、「今」には存在しません。
あるのは呼吸だけ。

瞑想は、この思考の複雑さを削ぎ落とし、シンプルな「ただ在る(Being)」という状態に戻る練習です。
思考が湧いてきたら、「ああ、考えているな」と気づき、また呼吸に戻る。
この単純な繰り返しが、心の絡まった糸をほどいていきます。
「わからないことは、わからないままでいい」
「起こることは、すべて必然である」
そうやってコントロールを手放し(サレンダー)、大いなる流れに身を委ねたとき、人生は驚くほどシンプルに展開し始めます。
自分で漕ぐのをやめれば、川は勝手に私たちを海へと運んでくれるのです。

 

結論:引き算の先にある「私」

生活をシンプルにするプロセスは、玉ねぎの皮を剥くようなものです。
一枚ずつ、不要なものを剥がしていく。
見栄、執着、不安、常識、他人の目。
そうして最後に残った芯の部分。
それこそが、純粋な「あなた自身」です。

何も持たず、何も飾らず、ただ縁側に座って風を感じているあなた。
その姿は、どんな装飾品よりも美しく、満ち足りています。
生活をシンプルにすることは、何かを我慢することではありません。
余計なものを捨てて、本当の自分を輝かせるための、最もクリエイティブな行為なのです。

今日から一つ、何かを手放してみませんか。
カバンの中の不要なレシート一枚でも、スマホの不要なアプリ一つでも構いません。
その小さな「減らす」行為の積み重ねが、やがてあなたの人生を、風通しの良い、心地よい場所へと変えてくれるはずです。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。