私たちの内側には、誰一人として例外なく、ユニークな宝物が眠っています。それは、他の誰にも真似のできない、あなただけの「才能」や、経験を通じて培われた「知識」という名の輝く宝石です。しかし、多くの人はその宝物を自分だけのものとして金庫にしまい込み、その存在価値を十分に発揮させることなく、人生を終えてしまいます。ヨガの叡智は、これらの内なる宝は個人の所有物ではなく、世界という共同体に貢献するために、宇宙から一時的に「預かっている」ものであると教えています。
この考え方は、あなたの人生の目的である「ダルマ」と深く関わっています。ダルマとは、単なる職業や社会的役割ではなく、あなたがこの世界で果たすべき、魂レベルでのユニークな使命や貢献のことです。そして、あなたの才能や情熱は、そのダルマを指し示す、最も信頼できるコンパスなのです。あなたが料理をすることに無上の喜びを感じるなら、その才能は人々を癒し、繋げるために。あなたが複雑なデータを分析することに長けているなら、その知識は社会が抱える問題を解決するために。あなたがただ、そこにいるだけで場の空気を和ませることができるなら、その存在そのものが、世界への贈り物なのです。
才能や知識を自分の中だけで留めておくことは、川の流れを堰き止めるようなものです。溜め込まれた水は、やがて淀み、その生命力を失ってしまいます。しかし、その堰を取り払い、惜しみなく分かち合う時、エネルギーは再び生き生きと流れ始め、新たな源泉から絶えず新鮮な水が流れ込んでくるのです。これは、ある思想家が指摘したように、知識やスキルというものは、他者と共有し、共に実践する「稽古」の場でしか、真に成熟しないという真理とも通じています。教えることは、最も効果的な学びの方法である、という言葉通り、分かち合うという行為を通じて、あなた自身の理解はさらに深まり、才能は磨かれていくのです。
この「分かち合いの循環」は、引き寄せの法則が働く上での、最もダイナミックなエンジンとなります。自分の才能や知識を惜しみなく世界に提供する行為は、「私には、与えるべき価値あるものが豊かに備わっている」という、自己価値と豊かさ意識の、この上なくパワフルな宣言です。その高らかな宣言は、宇宙の隅々にまで響き渡り、共鳴する人々、感謝、そして新たな機会や物質的な豊かさとなって、あなたの元へと還ってきます。
宇宙は、あなたの才能が最大限に活かされ、世界に最も大きく貢献できる場所へと、あなたを導きたがっています。しかし、あなたがその才能を隠し持ったままでは、宇宙もあなたを見つけ出すことができません。あなたが勇気を出して、自分の光を分かち合い始めた時、宇宙はシンクロニシティという名の標識を次々と示し、あなたを最高の舞台へとエスコートしてくれるでしょう。
「私には、人に分かち合えるような大した才能なんてない」と感じるかもしれません。しかし、それは、あなたが自分の価値を見誤っているだけです。あなたにとっては「当たり前」にできること、息をするように自然にこなせることが、他の誰かにとっては、喉から手が出るほど欲しいスキルや、暗闇を照らす希望の光となるのです。
さあ、今日から小さな一歩を踏み出してみませんか。あなたの得意なことを、ブログやSNSで発信してみる。友人の相談に、あなたの知識を活かして乗ってみる。職場で、後輩にあなたのスキルを丁寧に教えてあげる。大切なのは、完璧であることではありません。不完全であっても、今のあなたにできる最高のものを、愛と誠実さをもって分かち合う、その「意図」です。
あなたの内なる宝物を、世界は待っています。それを惜しみなく分かち合った時、あなたは与える者であると同時に、最も豊かな受け取り手となるでしょう。なぜなら、真の豊かさとは、所有の量ではなく、あなたの内側を通り抜けていくエネルギーの流量によって測られるものなのですから。あなたの才能は、あなただけのものではありません。それは、世界をより良くするための、宇宙からの大切な預かりものなのです。


