ルーチン化がもたらす心の静寂と「今ここ」への回帰。なぜ習慣は人生をシンプルにするのか【ヨガ的な習慣の力】

自己啓発

ルーチンを作ると、やっぱり物事が捗りますね。
これは単に仕事の効率が上がるという表面的な話ではありません。
もっと深いレベル、私たちの魂や精神の領域において、滞っていたエネルギーがサラサラと流れ出すような感覚です。
生活のリズムが整うと、不思議と呼吸も深くなり、焦燥感が消えていきます。

現代社会において「ルーチン(習慣)」というと、どうしても「成功するためのツール」や「生産性を上げるためのメソッド」として語られがちです。
しかし、ヨガの視点から見ると、ルーチンにはもっと本質的で、霊的な意味合いが含まれています。
それは、荒れ狂う思考の波を鎮め、私たちが本来いるべき場所――「今、ここ」という聖域――へと戻るための儀式のようなものです。

今日は、なぜルーチンが私たちの心を救うのか、そしてヨガ的な視点から見た「正しい習慣との付き合い方」について、少し深く掘り下げてみたいと思います。

 

決断疲れという現代病からの解放

私たちは朝起きてから夜眠るまで、無数の「決断」を強いられています。
「何を着ようか」「朝食は何を食べようか」「どのメールから返そうか」「SNSに何を投稿しようか」。
情報過多の現代において、この些細な選択の連続は、私たちが思っている以上に脳と精神を疲弊させています。
これを心理学では「決断疲れ(Decision Fatigue)」と呼びますが、ヨガ的に言えば、貴重な「プラーナ(生命エネルギー)」の漏洩です。

プラーナは有限です。
本来、創造的な活動や、自分の魂が喜ぶことに使われるべきエネルギーが、日常の雑多な迷いに吸い取られているのです。
ルーチンを作るということは、この「迷う」というプロセスを省略することに他なりません。
朝起きたら白湯を飲む。マットの上に座る。決まった時間に窓を開ける。
行動を自動化することで、私たちは思考を使わずに済みます。
脳のメモリを解放し、エネルギーの漏れを防ぐ。
すると、余ったエネルギーが自然と内側に向かい始め、本当に大切なことに集中できる「静寂のスペース」が生まれるのです。
スティーブ・ジョブズが毎日同じ服を着ていたのは有名な話ですが、あれはまさに、決断のエネルギーを節約し、本質的な創造に注ぐためのヨガ的な実践だったと言えるでしょう。

 

「タパス(熱)」が不純物を燃やす

ヨガの八支則の中に「ニヤマ(推奨事項)」という教えがあり、その一つに「タパス(苦行・熱)」があります。
苦行というと、滝に打たれたり断食したりといった激しいものを想像するかもしれませんが、現代におけるタパスとは「規則正しい生活を意志の力で続けること」と解釈できます。

毎日同じ時間に、同じことを繰り返す。
これは地味で退屈なように見えますが、実は強力な浄化の炎を生み出します。
私たちの心(マインド)は、常に新しい刺激を求め、変化を欲しがります。「今日は面倒だな」「雨だからやめようかな」という言い訳(エゴの声)が絶え間なく湧いてきます。
ルーチンを実践するということは、この気まぐれなエゴの声を、静かに聞き流す練習でもあります。

「やりたいからやる」「やりたくないからやらない」という感情の波を超えて、「ただ、やる」という淡々とした境地。
そこに到達したとき、私たちの内側に「摩擦熱(タパス)」が生まれます。
この熱が、心身にこびりついた古い癖(サムスカラ)や、ネガティブな思考パターンを焼き尽くしてくれるのです。
ルーチンが定着してくると、ある種の高揚感や清々しさを感じるのは、この浄化作用によるものです。
川の水が、同じ場所を流れ続けることで川底を深く削り、よりスムーズに流れるようになるのと同じように、習慣は私たちの人生の流れ(ライフライン)を太く、安定したものに変えてくれるのです。

 

過剰ポテンシャルを下げ、流れに乗る

スピリチュアルな観点、あるいはトランサーフィンのような現実創造の視点から見ても、ルーチンは非常に有効です。
私たちが何かを達成しようとするとき、最大の障害となるのは「過剰ポテンシャル(重要性)」です。
「絶対に成功させなければならない」「失敗したらどうしよう」という強い執着や力みは、かえってバランスを崩す力(平衡力)を呼び寄せ、物事を停滞させます。

ルーチン化された行動には、この「過剰な重要性」がありません。
歯を磨く時に「絶対に成功させよう」と意気込む人がいないように、ルーチンになった行為は、極めて軽やかなエネルギーで行われます。
「ただ、やる」。そこには執着も恐怖もありません。
この「重要性を下げた状態」こそが、物事を最もスムーズに具現化させる秘訣です。

毎朝ヨガをする、毎日本を数ページ読む。
それを「必死に」やるのではなく、「当たり前のこと」として淡々と行う。
すると、その行為は過剰ポテンシャルを生むことなく、現実に静かに浸透していきます。
ルーチンは、私たちが望む現実(パラレルワールド)へと移行するための、最も抵抗の少ないレールを敷いてくれるのです。

 

儀式としてのルーチン

ルーチンを単なる「作業」ではなく、神聖な「儀式」として捉えてみましょう。
朝、一杯のお茶を淹れる。その湯気を見つめ、香りを嗅ぐ。
その一連の動作を、祈りのように丁寧に行うこと。
それは、散漫になった意識を「今、ここ」という一点に回収する儀式です。

現代社会は私たちを常に「未来(不安)」や「過去(後悔)」へと引きずり回します。
しかし、決まった所作を丁寧に行うその瞬間だけは、私たちは時間の呪縛から逃れ、永遠の現在に留まることができます。
茶道のお点前がそうであるように、型(ルーチン)があるからこそ、私たちはその型の中に宇宙を見出すことができるのです。

 

習慣という「器」を作る

最後に、ルーチンを作る上でのアドバイスを一つ。
それは「完璧を目指さない」ということです。
ルーチンを作ること自体が目的化し、できなかった自分を責めてしまっては本末転倒です。
それはまた別の「執着」という重荷を背負うことになります。

ルーチンは、あくまで水を汲むための「器」です。
大切なのは中に入っている水(あなたの命や生活)であって、器そのものではありません。
体調が悪い日や、どうしても気分が乗らない日は、器の形を変えてもいいし、時には休んでもいい。
「絶対にやらねば」というエゴの規律ではなく、自分の身体や魂の声に耳を傾ける優しさを持つこと。
それもまた、重要なヨガの実践です。

「サボってしまった」と落ち込むのではなく、「今日は休むという選択をした」と認識する。
そしてまた翌日、淡々と元のレールに戻ればいいだけです。
その柔軟性(しなやかさ)こそが、長く続く秘訣であり、強さでもあります。

もし今、生活が乱れ、心が落ち着かないと感じているなら、まずはほんの小さなルーチンから始めてみませんか?
朝、窓を開けて空を見る。
寝る前に3回だけ深呼吸をする。
そんな些細なことで構いません。
その小さな杭を生活の中に一本打ち込むだけで、カオスだった日常に秩序が生まれ、安心感という波紋が広がっていくはずです。
そしてその静けさの中で、あなたは本当の自分自身と再会することでしょう。

私たちENGAWA STUDIOも、そんな皆様の日々のルーチンの一部でありたいと願っています。
静かに座り、呼吸を整える。
ただそれだけのことが、人生をどれほど豊かにするかを、共に味わっていけたら幸いです。

ではまた。


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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、BTY、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。