嫉妬してしまう自分が苦しいあなたへ。ヨガ哲学が教える「感情が勝手に消えていく」心の仕組み

365days

ヨガを推奨しております。
それは、ヨガがポーズをとって体を柔らかくするためだけのものではなく、もっと深く、私たちの「心」という扱いにくい器官を、どのように取り扱えば楽に生きられるかという処世術そのものだからです。

今日は、誰もが一度は抱いたことのある、あの焼けつくような感情。「嫉妬」について、少し静かにお話ししてみたいと思います。

嫉妬。
この言葉を聞くだけで、胸の奥がキュッと締め付けられるような、少し苦い感覚を覚える方もいるかもしれません。
「あの人はあんなに成功しているのに」「どうして私だけうまくいかないの」「あのキラキラした生活が羨ましい」
そう思う自分自身のことを、私たちは「醜い」とジャッジしてしまいがちです。

ですが、最初に申し上げます。
嫉妬があるのが、人間です。
あなたが未熟だから嫉妬するのではありません。
あなたが人間として正常に機能しているからこそ、その感情は生まれてくるのです。
まずはその事実を、否定せずに受け入れてあげてください。

そして、ヨガの深淵な教えはこう伝えています。
嫉妬という猛火は、戦って消すものではなく、ある条件が整った時に「勝手に消えていく」ものであると。

 

なぜ、現代社会はこれほどまでに嫉妬を生むのか

そもそも、私たちはなぜこれほどまでに他人と自分を比べてしまうのでしょうか。
これは個人の性格の問題以前に、私たちが生きている現代社会の構造的な問題でもあります。

私たちは今、人類史上かつてないほどの「可視化された世界」に生きています。
スマートフォンを開けば、指先ひとつで他人の「ハイライト」を見ることができます。
SNSに投稿されるのは、誰かの人生の最も輝かしい瞬間、加工された美しさ、成功の報告ばかりです。
一方で、あなたが今体験しているのは、寝起きのボサボサの髪や、散らかった部屋、あるいは地味な日常の連続です。

他人の「編集された最高の瞬間」と、自分の「編集されていない生の現実」を比べてしまえば、心がざわつくのは当然のことです。
さらに、資本主義社会は「比較」を燃料にして回っています。
「今のままのあなたでは足りない」「もっと美しく、もっと賢く、もっと豊かに」
そう煽ることでモノを売るシステムの中に、私たちは組み込まれています。
つまり、嫉妬や欠乏感を感じるように、社会全体がデザインされていると言っても過言ではありません。
ですから、嫉妬してしまう自分を責める必要はないのです。
あなたは、巨大なシステムの中で、人間らしい反応をしているに過ぎないのですから。

 

ヨガの視点から見る「嫉妬」の正体

では、ヨガの哲学はこの嫉妬をどう捉えているのでしょうか。
ヨガでは、嫉妬を「ドヴェーシャ(嫌悪)」の一種、あるいは「アスミター(我慢・エゴ)」の作用として捉えます。

嫉妬の根底にあるのは、「分離」の幻想です。
「私」と「あの人」は別の存在であり、世界には限られた幸福(パイ)しかない、という思い込みです。
あの人が幸せのパイを食べてしまったら、私の分がなくなってしまう。
あの人が賞賛を得たら、私の価値が相対的に下がってしまう。
この「欠乏のマインドセット」が、嫉妬の正体です。

しかし、ヨガの究極の教えである「アドヴァイタ(不二一元論)」の視点に立てば、私とあなたは繋がっています。
海の水が、波の形として現れているだけで、本質は同じ水であるように。
もし、私たちが本当に深いレベルで繋がっているとしたら、誰かの成功や幸福は、実は「私の一部」の成功や幸福でもあるはずです。
左手が右手に対して「お前だけ指輪をしていてズルい」と嫉妬しないように、全体性(ワンネス)の感覚に近づくほど、嫉妬はその存在場所を失っていきます。

 

嫉妬と戦ってはいけない理由

嫉妬を感じた時、私たちはどうするでしょうか。
多くの人は、それを押し殺そうとします。
「こんなことを思ってはいけない」「人の幸せを喜ばなければ」と、無理やりポジティブな蓋をしようとします。
あるいは、相手の粗探しをして「あの人にも悪いところがある」と自分を慰めようとします。

しかし、これらはすべて逆効果です。
スピリチュアルな法則、あるいは心理学的な事実として、「抵抗すればするほど、それは持続する(What you resist, persists)」というものがあります。
「嫉妬してはいけない」と思えば思うほど、あなたの意識のフォーカスは「嫉妬」に向き続けます。
フォーカスした先にエネルギーは流れますから、結果として嫉妬という炎に、あなた自身の生命エネルギーという薪をくべ続けることになるのです。

嫉妬を消そうと努力すること自体が、嫉妬を現実に繋ぎ止めるアンカーとなってしまいます。
では、どうすれば良いのでしょうか。

 

「ただ、見る」ことで感情は勝手に消える

ここで、ヨガの瞑想的なアプローチが登場します。
それは、「サクシ・バーヴァ(目撃者の視点)」を持つことです。

嫉妬心が湧いてきたら、それを否定せず、かといってそのドラマに入り込むこともせず、ただ一歩引いて眺めてみるのです。
「おや、私の中に嫉妬という感情が湧いているな」
「胸のあたりがザワザワしているな」
「あの人の成功を見て、自分が置いていかれたような寂しさを感じているのだな」

まるで、空に浮かぶ黒い雲を見上げるように、自分の感情を客観視します。
感情は、エネルギーの波です。
波は、必ず生まれて、高まり、そしていつか必ず消えていきます。
諸行無常(アニッチャ)の法則です。
私たちが余計な手出し(ジャッジや抑圧)をしなければ、感情はエネルギーの法則に従って、勝手に通り過ぎていくものなのです。

「嫉妬が消える」というのは、私たちが能動的に消しゴムで消すのではありません。
私たちがそれを「握りしめるのをやめた」時に、自然と手から離れ、霧散していくのです。
ただ、その場に留まり、その焼けつくような感覚と共に座る。
逃げずに、反応せずに、ただ呼吸と共にそこにある。
そうすると、不思議なことに、あれほど強烈だった感情の輪郭がぼやけ、やがて静寂の中へと溶けていく瞬間が訪れます。

 

嫉妬は「憧れ」の裏返しでもある

スピリチュアルな視点からもう一つアドバイスをさせていただくなら、嫉妬は「あなたの可能性」を教えてくれる羅針盤でもあります。

私たちは、自分に全く関係のないもの、自分に到底不可能だと思っているものには嫉妬しません。
道端の石ころに嫉妬する人はいないでしょうし、鳥が空を飛んでいることに本気で嫉妬する人も稀でしょう。
あなたが誰かに嫉妬するということは、その相手が持っている要素や成功が、実は「あなた自身の未来の可能性」の中にも存在していることを、魂が知っているからです。

「私にもできるはずなのに」「私の場所はあそこにあるはずなのに」
その魂の疼きが、嫉妬という形で現れているのです。
ですから、嫉妬を感じたら、こう思ってみてください。
「ああ、私はあれを求めているんだな。そして、私にはそれが実現可能だと、深い部分では分かっているんだな」

嫉妬を「攻撃のエネルギー」として相手に向けるのではなく、「実現のエネルギー」として自分自身に向けてあげること。
「あの人がズルい」ではなく、「次は私の番だ」と設定し直すこと。
そうするだけで、ドロドロとした感情は、クリエイティブな情熱へと昇華されていきます。

 

終わりに:縁側で茶を啜るように

嫉妬してしまう自分を、どうか嫌わないでください。
それはあなたが、より高みを目指そうとしている証拠であり、他者を通して自分自身を見つめている証拠でもあります。

苦しい時は、一度スマホを置いて、静かな場所に座りましょう。
そして、自分という存在の境界線を少し緩めてみてください。
あなたは、ちっぽけな肉体の塊ではなく、もっと大きな生命の流れそのものです。

川の水が、上流で流れていようと、下流で流れていようと、それは同じ川の営みです。
誰かの幸福は、巡り巡って、必ず世界全体の幸福の総量を上げ、あなたのもとへも流れてきます。
他人の幸せを喜べない時は、喜ばなくていいのです。
ただ、「そういう時期なんだな」と、縁側でお茶を啜るように、その感情を眺めていてください。

気づいた頃には、雲は流れ去り、あなたの心にはまた澄み渡った青空が広がっているはずです。
感情は天気のようなもの。
晴れの日もあれば、雨の日もあります。
そのどちらもが、あなたという庭を育む大切な恵みなのですから。

ではまた。



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Kiyoshiクレイジーヨギー
*EngawaYoga主宰* 2012年にヨガに出会い、そしてヨガを教え始める。 瞑想は20歳の頃に波動の法則の影響を受け瞑想を継続している。 東洋思想、瞑想、科学などカオスの種を撒きながらEngawaYogaを運営し、ENQAN(ヨガ)、JIQAN(内観)、瞑想指導にあたっている。SIQANという日本一簡単な緩める瞑想も考案。2020年に雑誌PENに紹介される。 「集合的無意識の大掃除」を主眼に調和した未来へ活動中。